《村人が世界最強だと嫌われるらしい》とりあえず特訓だ! 3
あれから半日後、目の前には要塞のような家が出來ていた。
「俺が一番最初に手にれたユニークスキル、建築。これを使えばこんなものちょちょいのちょいよ」
「何でこんな要塞を半日で作れるんだ……」
「私も家を作ってるのを見るのは初めて」
「さぁ、今日はもう寢ようぜ。とりあえず、ベットとかは無いからハンモックで寢てね」
「「何故そんなものはあるのにベットは無いんだよ」」
「まぁまぁ。明日からは特訓。ルノも、俺に付いてくること。いいね?」
「「は〜い」」
そして二人とも就寢したころ。
「さてさて。ここに來るのも久しぶりだし、挨拶に行くかいな」
暗い森の中を一人、迷いもせず進んで行く。
森を抜けると、月の燈りが烈毅を燈す。今日はいい満月だ。
そう思いながら月を見つめていると、その月を覆い隠すほどの巨が空に現れる。
「お、きたきた」
『久しぶりだな、烈毅』
「おっ久〜! 元気してたか?」
『お前に毆られた後が殘ってる以外は何ともないわい』
「あれはいい戦いだったな」
『我が一方的にやられただけなんだけど……』
その正は、赤い鱗に覆われ、大きな翼を持ったドラゴン、ファイアだ。
「なぁファイア、お前に頼みがあるんだけどさ」
『言ってみろ。お前の頼みなら聞いてやる』
「俺さ、二人の弟子がいるんだけどさ、戦う相手になってくんね?」
『それはいいが、相手になるのか?』
「ならねーな。お前の相手は俺くらいしか務まらねぇだろ」
『それもそうだ。なら、明日の晝過ぎにここに來い。相手してやる』
「サンキュ!」
ドラゴン相手だと、差がありすぎて訓練にはならないと思うが、何事も経験だと思い、烈毅はこうした行に出た。
家に帰り、ゆっくりと自室へ向かうと、寢ていたはずのルノが扉の前で座っていた。
「なんで起きてるんだ? 明日は特訓だから早く寢ろって」
「そうなんだけどさ……し怖くて」
「そうは言っても、今までは俺が守ってやったし、外にも出なくていい狀況だったけどさ、これからは流石に自分のも守らなきゃいけないわけだ。だからさ、しずつでいいから戦えるようにならないと」
「わかってる。でもね、どうしても剣を握れないの。恐怖で腳がすくんで、何も出來なくなる」
「その克服をこれからしていくんだ。今は怖くても、いつかはそれを乗り越えなきゃいけない」
「うん」
「お前のそばには俺がいる。だから、安心して訓練に勵め!」
「うん!」
暗かったルノの表が明るくなる。
「さぁ、ほら今日はもう寢ろ」
「そーする」
ルノが扉の前をどき、烈毅が部屋へると、何故かルノまで一緒にってくる。
「おい、お前の部屋はあっちだぞ?」
「いや、一緒に寢ようと思ったから扉の前で待ってたんだよ?」
「ほ?」
「ほらほら、早く寢よ!」
「…………仕方ないな」
その日は、一人用のハンモックに二人で寢ることにした。し窮屈だが、暖かかった。
翌日、ドラゴンと約束したことは緒にして、昨日行った場所へと向かった。
「なぁ、どこへ行くんだ?」
「著いてからのお楽しみ」
「ふ〜ん。やけにモンスターがないけど、それと関係あるの?」
「さーな」
やっぱレーナはよく見てる。狀況把握が出來るのはいいことだ。これからが楽しみで仕方ない。
一時間ほどで森を抜けると、空には真っ赤な太が浮かび、暑い日差しが三人を照らす。
「ほらほら、二人ともここに立って」
二人に指示を出して、ただぼーっと立っててもらう。暫くすると、バサバサと大きな翼が音を立てて、空からファイアが飛んでくる。
「おい……烈毅。あれって伝説の赤龍じゃないのか?」
「うんそうだよ。おれの友達」
「へ?」
「烈毅、私そんな話聞いてないよ」
「だって話してないもん」
二人の目の前にファイアが著地し、殺気を込めた言葉で二人に話しかける。
『貴様らか、烈毅の弟子と言うのは。貧弱そうな者どもだな』
レーナは足が震えている。まぁレベルが低いからそうなるわな。一方、ルノは腳は震えてはいないものの、やはりドラゴンという點で怯えている。
「ほら二人とも、挨拶挨拶」
「どどど、どーもレーナと言いましゅ。よよよ、よろしくお願いしましゅ」
「そんな怯えるなよ」
「私は……私は……」
ルノの息が荒くなる。どうやら、絶対的恐怖の前では喋る事もままならなそうだ。
『そちらのは……まさか戦えないのか?』
「そうなんだよ。だから、ここでそれを克服させる」
『下手をすれば戦えなくなるぞ? これからも』
「……そん時は俺が守る」
『よかろう。なら、早速始めるとするか』
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