《村人が世界最強だと嫌われるらしい》理不盡な戦爭 14
その後も、幾度もの冒険者達による襲撃が繰り返され、一週間が経とうとしていたころだった。もう食糧も底を盡きようとし、皆の気力も限界に近づいていた。
烈毅は、あれから何度か冒険者達に、自分は人を殺す気などないただの人間だということを主張し続けてきた。だが、効果などなく、その襲撃は収まることはなかった。
烈毅、ナーシェ、ファイアを除いた三人は、もうけるような力など殘っておらず、今夜は何も口にせずにすぐに寢てしまった。
その中、起きている三人は、焚き火を囲んで話し合いをしていた。
「もうそろそろ限界だな。正直、相手が俺たちの言い分を聞き分けてくれるとは思わない。だから、もうここから逃げた方がいいと思う」
「そうね……だけど何処に? わたし、メルクリア以外に友達いないわよ?」
「俺もだよ。流石に外の國には友達はいない。ファイアはどうだ?」
『友達と言うより、知り合いというか、良きライバルというか、まぁそんなじのやつならいないでもない』
「へぇ、お前と同等に戦える奴ってなると、魔獣とか神獣とかか?」
『神獣には勝てん。我が全力で戦って引き分けに持ち込めるかどうかってところだ。それに、奴らは神の加護を持っておる。それが何よりも厄介だ』
「魔獣は?」
『魔獣は加護を持ってない。故になんとか勝てるくらいだ』
「ふ〜ん……正直、神獣と魔獣はどう違うか俺にはさっぱり分からないんだよねぇ」
「私もそう思う〜」
『全くの別だぞ……神獣は神に仕える獣で、滅多な事がない限り下界には降りては來ない。それに、神獣は人を殺さない。それとは逆に、魔獣は誰彼構わず殺し盡くす。奴らは復讐心を煽られ、その負の力に飲み込まれた猛獣。理などこれっぽっちもない奴らだ』
「神はいるんだな、この世界には」
『當たり前だろ!? 神がいなければこの世界に勇者など存在しなかったんだぞ?』
「それもそうか……そうなると、ナーシェは神と話したことあるんだよな? どんな奴なんだ?」
「話すというよりは、神様が一方的に喋りかけて來たじね。男の人の聲だったよ? 姿は確認出來なかったけれどね」
「ふ〜ん……」
その話を聞き、烈毅はこの世界に送られた時に出會った神の顔を思い浮かべる。
「あいつ、今も俺の事見てんのかな……」
そんなことをぼそっと呟く。
「何か言った?」
「あ、いや、何でもない……」
『それよりどうするんだ? 外に逃げるのか、和解を諦めず求めるのか』
ファイアは、逸れていった話を元に戻す。正直、烈毅は今すぐにでもここから離れたかった。何故なら、それが一番手っ取り早いのだから。だが、逃げたところで、どうせ逃げた先にも追っかけてくる。そうなるとしたら、今逃げても後に逃げても結果は変わらないのだ。
「う〜ん……俺が魔王の使いじゃないって証明できればいいんだよなぁ〜」
「でもそんな手段ないでしょ? 神様にでも説得してもらわない限り無理よ」
『我が言うのではダメなのか?』
「いや、お前も魔王の使いとか思われていてもおかしくはない。俺と一緒に戦っている時點で仲間だと思われてるだろ」
『そうか』
「うん。……ってか、さっきナーシェなんて言った?」
「へ? いや、だから、手段なんか無いって……」
「その後だよ」
「神様にでも説得してもらわない限りは無理よ……って言ったけど」
「神様なら、説得力あるんだな?」
烈毅は怪しげな笑みを浮かべる。それに気づいたのか、ファイアはため息を深くつき、『そんなことできるわけが無い』とダメ出しをする。ナーシェは、未だにわからない様子だ。
「良し。今後の方針が決まったな! とりあえず、俺を人間だって理解してもらう為にも、まずは神様に會いに行くことにするか!」
「は?」
『はぁ……そんなことだろうと思ったわい……』
「烈毅、それは百パーセント無理よ? 神に合う方法なんてこの世界には無い。ましてや、村人の貴方が神に會おうと思うことがそもそもの間違えで……」
「何事もやってみなければわからない!」
「無理よ! それなら、必死に何度も何度も呼びかければ、いつかは分かってくれるかも知れないじゃない!? そっちの方が絶対に良いわ!」
「じゃあ、この一週間、俺の発言に耳を傾け、攻撃を辭めた奴が一人でも居たか? いないよな? それに、あいつらはまだこれからも攻めてくるだろ?」
「そしたらまた返り討ちに……」
「そしてまた攻められる。今に死人だって出てしまうかもしれない。だけど、俺達が一度ここから離れて、しの間でも戦爭が無くなったとしたら? しかも、その戦爭をしない間に俺らは和解できるかもしれない力手にれられる。一石二鳥だろ?」
「それは……そうだけど……」
「俺だって、神に絶対に會えるとは微塵も思っていない。もし會えなかったのなら、さっきお前が言ったみたいに何度も何度も言えばいい。だろ?」
自分勝手な意見を言っているというのはわかっている。だけど、もしかしたら自分への誤解が解け、それで平和に暮らせるのなら、それは烈毅にとっても、四人にとっても幸せな事である。
それに、烈毅達が神を探し続けている間は、ベルム國とメルクリア國の冒険者達を傷つけなくて済む。
烈毅は、その事が素晴らしいと思えた。
だが、それは同時に、想像を絶するような過酷さだということを、烈毅は思いもしなかった。
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