《ひねくれ魔師が天才魔法使いよりも強い件について》第76話 起床

???にて

その後、何故か切斷されていたセキュリティが復活し、すぐさま魔警が到著し現場検証が行われた。

意識の無い年二人の柄が確保され重要參考人として事聴取が行われることになった。

だが、両名すぐに意識が戻らなかったためD區の醫療用施設に輸送された。

?「と、ここまでがある程度の狀況確認です。」

塡「・・・満は?」

?「彼は君より酷かった。外傷は君とは変わらない程度だが、蔵への傷が多くてね。今日も治療しているよ。」

塡「そうですか。」

?「治ってすぐの君には悪いと思っているんだけどね、倉庫地帯での事件となると上がうるさくてね。」

塡「それに関しては構いません。もう疲れはとれました。」

上半だけ起こした患者用の服をにまとった年は下を俯いたまま、黒いスーツを著こなした三十代後半くらいの男を會話を進める。

男「まず、軽く経緯の説明をいいかな?」

塡「・・・今日行われる小規模な大會・・・『第一回中學生魔法大會』という大會に俺と満、藤原舞、それと、あと一人で出場する予定でした。」

下を俯いたままの年はゆっくりと口を開き、ある程度省略しながらこれまでに至る経緯を話し始めた。

大會についての集合時間などを連絡する時に藤原舞ふじわらまいに連絡が付かなかったこと、魔法の応用で探知した結果、C地區の倉庫地帯に反応があったこと、倉庫地帯に行くと橫になっている藤原舞と監視対象であるはずの同萬時徳どうまんじとくがいたこと、舞を取り返すため戦闘をしていたら風宮満かざみやみつるが合流してきたこと、そして、二人がかりで徳に敗北し、舞が拐されたこと。

塡「・・・こんなじです。」

男の隣に置いてある電子機年の聲をピンポイントで聞き取り、文字へと変換していく。

最後の言葉を変換したことを確認した男は、年の方へと向き直し、會話を開始する。

男「同萬時徳の目的に心當たりはあるかい?」

塡「・・・これと言ったものは特に。」

男「そうか・・・同萬時徳への印象は?」

塡「これと言った特徴はありませんでした。・・・目立つわけでも目立たないわけでもない、存在はじるけど中心にいるとかそういう奴ではなかった気がします。」

男「明確なイメージとかは?」

塡「正直、特に関わりがあるわけでもないですし、記憶にハッキリ殘る奴ではないと思います。」

し考える様子を見せた男は電子機に表示されている畫面をしいじったあと、「ご協力謝するよ」とだけ言い殘し、電子機を腕に抱え去っていった。

扉がしまった音を確認した年は、パタリとベッドへ仰向けになり、瞼を閉じた。

???にて

塡「・・・またここか。」

?「お前から來て殘念そうな聲を出すとは・・・傲慢な奴だな。」

暗闇から聞こえてくる聲になんの驚きも示さずに、塡はゆっくりと口を開く。

塡「その反応だと俺から來たってことか?」

?「いや、今回は私が呼んだ。」

塡(だったら傲慢と呼ばれる筋合いはないんじゃ・・・)

?「あるさ、なぜならここに來るには雙方の承諾が必要だからな。」

塡「雙方?」

暗闇へと聲が吸い込まれていき、しの間の後に鼻で笑ったような音が聞こえてくる。

?「頭が悪くなったな。」

塡「喧嘩うってんのか。」

?「隨分とかわいい反応をするようにもなったな。」

完全に馬鹿にされているのを承知の上で、塡はイライラしながらも論點を戻す。

塡「で、どういうことだ。」

?「そのままだよ、お前が來たいと思っても、俺が來てしくないならお前はここには來ない。」

塡「・・・お前が俺を呼んでも俺が拒否すればここには來ないのか。」

?「正解だよ、はなまるでもあげようか?」

そろそろ我慢の限界に達しそうな塡など気にも止めず、暗闇からの聲は會話を続ける。

?「前に言われたことを覚えているかどうかは知らないが、またお前は忘れている・・・いや今回は見逃していると言った方が正しいな。」

塡「何が言いたい。」

?「そのままだとも緑青塡。」

塡「くそ、また・・・このパターンかよ・・・」

明るくなる視界に眩しさを覚えながらも塡の意識は瞼を開けることを選んだ。

醫療用施設にて

男との會話から一日が経ったとは思えないくらいにぐっすり寢ていた塡は時計を確認した後、ベッドから上を起こす。

?「あら、起きたんですか?今朝にお見舞いが來ていたんですよ。」

突如、聞こえてくる聲の主をこの施設の施設員と結論付けた塡は不本意ながらも口を開く。

塡「誰が來ていたんですか?」

?「の子が一人と、男の子が二人・・・それと、お母さんが來てましたよ。」

その言葉に塡のが詰まる。

塡にとっての唯一の母と呼べる人。

塡「・・・何か言っていましたか?」

?「後でまた來るそうですよ。夕方くらいに。」

せっせと仕事をしながら塡の質問に答えるは、向かいのベッドに置いてある荷を両の腕に抱えると、スタスタと部屋から出ていった。

塡(・・・心配だからじゃない、気が向いたからだ。あいつはそういう奴だ。)

看護師から言われた言葉を整理させると、ゆっくりと床に足を著け、用意してある履を足へと裝著する。

そのまま、吸い込まれるように廊下へと出ていき、ゆっくりと歩き出した。

何とも殺風景な施設だろうか、単でまとめられたインテリアは元々靜かな施設に、更なる靜けさを呼び込む。

塡(・・・見逃していることがある・・・それがなんなのかを探すためのものが必要だな。)

ゆっくりと足を前に進めながら、塡はいつも通りの思考で頭を回転させる。

塡(書類関連はそう簡単に見る事は出來ないだろう、あいつ蝶波の顔を借りるのもにあわないし、第一許してくれる可能は低い…)

普段通りに回転する頭脳は、蝶波親ではなく、別の人を頼ることを決定した。

塡(正直あいつには頼りたくなかったんだが、背に腹は変えられねぇか。関わりもないし家はもちろん連絡用のコードも知らねぇ。となると・・・秋を頼るか。)

醫療用施設では基本的に魔法が止の為、遠距離での連絡を取り合うには連絡用の電子機を借りる必要がある。

計三階まであるこの施設には、一階の北口と南口にだけ電子機が設置してある。

塡がいた部屋は三階のため、施設にある移用電子機を使用する必要があった。

そこまで大きな施設では無いため、廊下へ出た時から突き當たりにあることは分かっていた。

途中、塡ぐらいの歳の白髪の男とすれ違ったが全く気にも止めず移用電子機へと向かう。

塡(舞が連れ去られたことは話してる・・・捜索が開始されてる可能は高いが、個人的に徳には聞きたいことがある。魔警に捕まって會話が出來なくなるのは避けたいか。)

突き當たりにある移用電子機の前に立った塡は「古い形式だな」と呟きながら一階へとボタンを押す。

すぐさま扉が開いたと思ったら、よく見知った顔が現れた。

蝶波「塡、どこに行くんだ?」

かしたような目で見てくる蝶波にしの驚きを見せながらも、いつも通りの調子で口を開く。

塡「関係ないだろ。」

蝶波「関係はあるんだよ。本來なら、お前は隔離狀態の上、『問題児』として監視されながらの生活を過ごさなければ行けなかった。」

塡「あ?」

蝶波「お前らが犯人だと疑われている。」

考えてみれば當然の結果だ。

明らかに戦闘が行われた場所に、二人の人間がボロボロの狀態で見つかっているなら、必然的に疑われることになるのは目に見えている。

だが、塡には疑問に思っていることがある。

塡「舞の捜索はどうなっている。」

用電子機に乗ったままの蝶波と會話を進める。

塡「それだけじゃない、『問題児』の徳が監視下から外れていることや、倉庫地帯に殘っている五芒星の札からも徳が犯人になる可能は高いだろ。」

蝶波「とりあえず、落ち著けるところに行こうか。」

穏やかな口調で元いた部屋を指差す蝶波の手には、金に輝くコインが握られていた。

部屋に戻るために後ろを振り向いたあと、周囲を見回し、出の経路を確認するがコインのことが脳裏を過ぎり、やむおえず部屋へと戻ることを決定した。

部屋にて

塡「で、どうなってる。」

蝶波「さっき話した通り、現場の狀況から判斷すれば、お前らが一番犯人に近い。」

塡「そこは分かる、俺が言いたいのは教育機関からの報告や、舞の親からの捜索願い、現場に落ちてる魔道から徳の方が犯人に近いはずだろ。」

蝶波「魔警からすればそれは別件らしい。」

つまり、倉庫地帯を荒らした犯人は緑青塡、風宮満が確定、同萬時徳は疑いがかけられている狀態。

そして、同時に藤原舞の行方不明の重要參考人として、同萬時徳が上げられているという狀態。

塡「・・・徳の行方は。」

蝶波「不明だな。最後の痕跡がB地區の倉庫地帯に殘っていたらしいが、それからの痕跡は一切確認されていない。」

塡「舞の捜索はどうなっている。」

蝶波「捜索は開始されてるが、これといって手がかりはないらしい。それよりも、魔警はお前らを倉庫地帯を荒らした犯人として逮捕することによって、一つの事件を解決させたいらしい。」

先日にスーツの男の「倉庫地帯の事件となると上がうるさくてね」という言葉が脳裏を過ぎる。

塡「満はどうなった。」

蝶波「今ちょうど取り調べをけているだろう。終わり次第、『問題児』として監視される。」

塡「俺の監視はいつ始まる。」

蝶波「満の監視がはじまると同時にだろうな。書類上この事件が解決すれば魔警側もそこまでお前らに執著はしないはずだ。」

塡(まずいな。)

魔警よりも早く徳を見つけ出す事には希があったが、もしも『問題児』として登録され、教育機関からの監視が始まれば塡が自由にける事はなくなる。

一秒でも早くき出したい塡にとって、その狀況はまずいと言わざるをえない狀況になっていた。

塡「・・・何故それを伝えに來た。大人しくしていてしいならば、何も伝えず『問題児』として登録されるの待てば良かっただろ。」

蝶波「・・・母親として、自分の子供が『問題児』として監視されるのはいい気分じゃないだろ。」

塡(・・・評判が下がることを恐れているのか・・・いや、同じ學校から新たに二人の『問題児』を出す事を恐れているのか。何にしても取り調べが終わるまでが俺に殘された猶予ってところか。)

蝶波「それと、先に謝っておくよ。すまないな。」

直後、返事を返す間もなく塡の意識は遠のき、は床へと叩きつけられた。

蝶波「・・・本當にすまないな。」

伝わる事の無い言葉を吐き、塡をベッドへ移したあと、「後は頼んだぞ。」という言葉だけ殘し、蝶波はその場を後にした。

魔警は和群國で隨一の安全維持組織である。

魔法という超次元が蔓延る昨今、安易に犯罪を起こせないのは決して人間の善意などではなく、魔警という組織が抑止力になっていると言っても過言ではないだろう。

直接的な戦闘力だけでなく、捜査力や犯罪を未然に防ぐ力などが大きいため、大きな銀行を襲うとしても、偶然そこに居た魔警に取り押さえられて破綻するのがオチである。

それほどの組織がある程度の人數を員してすらも、舞や徳の痕跡を見つけることすら出來ていないならば、塡が死ぬ気で探したところで、魔警が人員を増やし捜査網を広げれば即痕跡が見つかり、逮捕されるのが目に見えている。

だからこそ、蝶波は親として塡子供を殘酷な方法で部屋に閉じ込めることを決意した。

だが、そんなことを知るはずもなく、思春期真っ盛りの塡からして見ればお節介もいい所である。

蝶波(このまま時間が経過すれば塡は『問題児』として登録され、自由にけなくなる。そうすれば安易に舞を探そうなんて思わない。だから・・・これで正しい。)

自分に言い聞かせるように結論付けた蝶波は上がって來た移用電子機に乗り、扉を閉じた。

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