《ひねくれ魔師が天才魔法使いよりも強い件について》第77話 走
息子のためを思って息子を拘束した母親が部屋から去った後、ベッドから飛び起きた年は狀況の整理をする間もなく、窓ガラスを破壊し、部屋から飛び去った。
塡「二人・・・『教育機関』が追ってきてるのか。」
街中を駆け回る年の後ろを二つの影がし離れて追尾する。
塡(あいつは教育機関の目から逃れられていた。あいつに出來たなら俺に出來ないわけがない。)
相手がどう思っているかは知らないが、塡は友人の一人だと思っている年、『風宮満』と協力してもなお倒せずいた、この事件の張本人『同萬時徳』の顔が脳裏をよぎる。
塡(まずは撒くことを優先して行する方が良さそうだな。)
不意に路地裏にった塡は自の『自己的式オリジナルマジック』である、『波』を発させ建の上へと飛び上る。
途端に二本のナイフを屋上へと突き刺しナイフを結ぶように一本のワイヤーを仕掛ける。
塡(さて、どう対処してくる。)
それを追うように二つの影は屋上へと飛び上った途端に、多大なると炎が二つの影を襲う。
塡(・・・油斷をっているのか?いや、それならわざわざ引っかかる必要は無い。途中で撒かれたフリをすればいいだけのことだろ。じゃあ何が目的だ?)
次々と建を飛び移る塡は周りを見渡し、相手の目的であろうことにたどり著く。
自分が仕掛けたトラップが発し、発が起きた、それによって、周りの視線は一時的に発へと向くことになる。
塡(それが狙いなら・・・)
その一瞬で塡を捕まえる、または追い詰める手が有り、それを発している可能がある。
塡(・・・どうする。敵の手が分からないうちは下手にけない。ならば・・・)
一つの建を飛び越した後に塡ら再び路地裏へとり込む。
周りを見渡すと前方には大通りがあり、後方には怪しげな階段があった。
塡(地下街への階段か。・・・いや、地下は得策じゃない。俺の機力が腐る可能も否めないしな。)
結論を出した後に再び屋上へと飛び上ったところでふと気が付いた
塡(・・・人が・・・居ない。)
「緑青塡、直ちに醫療施設へと帰還しなさい。」
どこからか聞こえてくる聲は人が居ないせいか真っ直ぐに塡の耳元まで飛び込んでくる。
わざと発させたのはその発を理由に、周囲の人間を避難させるためだろう。
塡(明らかに不利なこの狀況を抜けられる一手。同萬時徳あいつは導き出せた。それなら俺でも・・・)
「繰り返す、直ちに醫療施設へと帰還しなさい。従わなければ我々も強手段へと出るならざるを得ません。」
塡(投降の余地を與えた時點で俺が逃げ切れる可能は、二十二パーセントまで引き上がった。それでも低いがないよりマシだろ。)
著々と逃げる準備を進めながら、塡はふと違和を抱く。
塡(なぜ、猶予を與える?なぜ、わざわざ遠回りな方法で俺を捕まえようとする?なぜ、醫療施設へと戻す?)
醫療施設へと戻す理由は何となく分かるかもしれない。
『問題児』の塡と満を同時に監視するためだろう。
だが、それ以上の利點があるだろうか。
というか、一言で言うと無駄である。
猶予を與えずして大人數で囲む方が早く捕まえることが出來るだろう。
わざわざ、周囲の人間を避難させなくても緑青塡は人質をとる人間ではないし、塡だって出來れば民間人を傷付けたくは無い。
そんなことを教育機関の人間が知らないとしても、教育機関の人間ともなると中學生一人に手こずることも無いはずだ。
ではなぜこんなことをするのか。
塡(・・・・・・・・・人手不足?)
確証もない可能が塡の頭を駆け抜ける。
塡(同萬時徳を魔警より先に見つけるために人員をさいているなら?その可能は有り得るんじゃないのか?自分たちの汚點となる人間を捕まえる事で、何も無かったかのように振る舞いたい可能もある。)
々な憶測が飛びう中で、塡は一つの結論にたどり著く。
塡(相手が二人だけなら、俺が敵を撒ける可能は大幅に上がるつまり、ここがチャンス。)
「これが最後の警告です。直ちに醫療施設へと帰還しなさい。」
直後、自の『自己的式オリジナルマジック』である『波』を発させ、大通りを挾んだ反対側の屋上へと飛び移る。
著地の衝撃をエネルギーへと変換させ向かいの建に飛び移る。
それを繰り返し、次々と建を飛び越していたところで敵の強手段とやらが飛び出してきた。
塡(網?!)
建三棟分程の網が下から飛び出し、上空までを覆う。
塡(・・・切斷や燃やされる可能のある網をわざわざ使う理由・・・目的は足止めか!)
思考が結論を出すよりも早く、塡の周囲を箱のようなが覆い、完全に袋のネズミになってしまった。
続けて、箱の至る所から催眠ガスが噴出される。
ガスが充満して五分ほど経った後に箱はどこかに消え、屋上にはぽつんと年が倒れていた。
だが、それはガスを吸って寢てしまったわけではない、あくまで作戦である。
二つの影が塡を回収する時にはきっといきなり起き上がっては颯爽と飛び去ってくれることだろう。
そして、同萬時徳を魔警より早く見つけ、ボコボコにした後、舞を取り戻し一躍のヒーローとなるのだ。
だが、そんなのは塡の夢でしか無かった。
結果として、塡は二つの影に背負われた狀態で醫療施設へとトンボ返りしたのである。
影は年をベッドに優しく放り投げたあと、一人ずつゆっくりと部屋を去っていた。
異様に簡単に眠り著いてしまった塡を殘して。
???にて
一方そのころ、全ての治療を終え、『問題児』として登録されてしまった満の元には一人のが來ていた。
?「塡が迷をかけて申し訳ない。」
満「大丈夫っすよ。たった一週間大人しくすれば良いだけですから。」
蝶波「そう言ってくれると助かるよ。」
満「それに戦いに參加したのは俺っすから。」
蝶波「・・・塡のことを頼んだぞ。私はしばらく學校にも戻れなくなる。その間何するか分からないあいつを止めてやってくれ。」
満「了解っす。」
ある程度の會話をわしたあと、蝶波は部屋を去り、満は何とも言えない表のまま凍り付いていた。
???にて
「こちらA地點、目標にき無し。大人しく寢てやがる。」
「B地點も異常なし。」
「ただの中學生にここまでする必要あんのか?」
「仕事中だぞ、私語は控えろ。」
「へいへい。」
どこからともなく聞こえる聲は軽い調子で一定時間に數回報告をこなす。
常に異常なしと報告されているのにもかかわらず、『問題児』の部屋には異常しかなかった。
あっさりと眠りこけてしまった塡はいまだに大人しく睡眠しているらしく、ベッドは人が寢ているように盛り上がっている。
いつの間にか修繕されたらしい窓は涼しい風を部屋の中へと通していた。
そして、最大の異常、何故それらの異常に影達が気づけないのか。
答えを教えよう。
そもそも塡は運ばれてなんかいない。
というか、捕まってすらいない。
網に足止めをされ、箱で周囲を覆われ、催眠ガスを吸わされた。
こんな事実がそもそもない。
教育機関の影が塡に二回目の警告を施した際に塡がしていた準備。
敵の応援をも想定した大規模範囲への幻。
それが塡が捕まっていないただ一つの理由である。
おそらく、自分に都合の良いいように景を見せる幻なのだろう。
だからこそ、割れた窓は修繕が面倒くさいから割れてないように見えるし、塡が飛び去った反で、荒れている部屋を見ても綺麗な部屋としか認識出來ないし、何も寢ていないベッドを確認し続けては、異常なしと報告をするという異常をきたしていたのである。
だが、この幻の難點として、効果時間が短いことにある。
影達がこの素晴らしい景を見られる時間も持ってあと數秒というところだろう。
だが、そんなに短くても塡にとっては大きなチャンスだった。
何せ、何も監視されていない狀態できが取れる時間が數分もあったのだから。
そのぐらいの時間があれば、ある程度までの偽裝工作は可能になる。
それならばあと二時間程度は自由にけるだろう。
塡(二時間もあれば、徳の目的とまではいかなくても、あいつの隠れ家までは見つけられるはず。舞を・・・)
その時に気付いてしまった、塡の目的に、だからこそ、これ以上答えが分からない問題を頭の中で解き続けるよりも、答えそのものを探しに行く方が早いし、塡自がそれをんでいるのだろう。
先程、塡が幻を発したエリア全域に偽裝を施し、塡は颯爽と飛び去って行った。
塡(・・・蝶波は頼れない。結局あいつに頼らないといけないわけだ。)
ゴブリン達が軍団を作り、人間に危害を加えまくった事件。
首謀者は結局、教師の一人が実験の一環として行ったなどと処理されていたが、それがもし虛偽の申告で、真犯人となる人がもう一度同じことを起こそうとしているなら。
真犯人の郭は自然と浮かび上がってくる。
あくまで塡の予想でしかないが、ゴブリン騒も、今回の事件も目的は藤原舞という人間だろう。
そして、その拐に関わった人間は『同萬時徳どうまんじとく』、『田中合たなかあいなり』、『志島戦しじません』の三人。
その中でも今すぐに會える人、同萬時徳は論外として、志島戦は『問題児』として登録されているため、志島戦を監視している人間にまで塡の報が回っていれば、そのままきが取れなくなる。
かと言って田中合に會うには蝶波を通す必要があるため不可能。
塡(・・・一番可能のある人間は志島だが・・・監視の目を掻い潛って會話なんて出來るのか?だが、手がかりはそいつらしか居ない。書類などは學校が管理しているから結局は蝶波が関わってくる。それに、そろそろ幻が解けて俺を探しに來るはず、さっさと移しないと見つかっちまう。)
その時不意に何かが引っかかった。
塡の脳にある、最大の可能。
塡「地下・・・街?」
自分でも不思議な程にしっくり來ない回答。
それでも、一番の可能がある。
地下街とは、地上だけじゃ敷地が足りないから地下にも建を建てちゃおう!というコンセプトのもと作られたものである。
今でこそ人の行き來が激しくなっているものの、出來た當初は犯罪などが蔓延っていたため立ちるものもなかったとされる。
そして、地下街最大の特徴。
先に述べた通り、出來た當初は犯罪などに使われていたため、を隠す、監視を撒くなどに最高に適してあるのだ。
塡(確かに地下街での會話なら數分程度、監視を撒くことが出來る。だが、問題としては志島をここにどう連れてくるか。俺が直接言いに行くのは本末転倒だ。志島と繋がりがあるかつ、教育機関に全く関わりのない人間・・・・・・・・・)
そんな都合のいい人間を塡が偶然知っているはずもなく、思い悩んでいるところに一つの影が忍び寄る。
?「緑青!」
とっさに警戒態勢をとったがそれも無意味に終わり、聲の主は何も知らない様子で塡に近寄っていく。
秋「こんなところでなにをしている?」
カッコつけたい年頃なのか、見た目にそぐわぬ口調で話しかけてくる年を見て、し安心したのか、取り出そうとしていたナイフをしまい、通常の制へと戻る。
塡「秋・・・今はお前に付き合ってる暇はない。」
秋「そうか、それは殘念だな。せっかくの修行日和なのだが、忙しいなら仕方がない。」
塡「・・・・・・お前はどこに行くんだ?」
秋「ん?なに、常に監視されて疲れている友人にお見舞いをと思ってな。」
塡「・・・・・・それは、なんだ、度を超えるほどの過保護の親がいるとかそういうやつか?」
いつもとは違い、々間抜け面になっている塡を見て不思議そうに不相応な口調で言葉を返す。
秋「お前も冗談を言うようになったのか。だが、その冗談は正直苦笑いしか出來ないぞ。」
嬉しくもない返しをされ、しだけ傷付いた塡は紅しそうになる顔を全力で押さえ付け、話の筋を元に戻す。
塡「じゃあ、どういうことだよ。」
秋「お前も知らんわけでもなかろう。ゴブリン騒が起きた時に、『問題児』として二人の生徒が教育機関に監視されているのを。」
塡「同萬時徳と志島戦のことだろ。」
秋「そうそう、だが、同萬時の方が逃げ出したそうで、そのせいか戦の方の監視が厳しくてな。外出も止になっておる。」
塡「じゃあなんだ、お前はその志島の所にお見舞いに行くんだな?」
秋「そういうことだ。」
奇跡中の奇跡が起こった。
こんな偶然が起きてもいいのだろうか。
そのぐらいの偶然にし罠を疑いそうになる塡は「いや、この馬鹿がそんな事が出來るのだろうか?」という疑いが勝ることでかろうじて奇跡という認識が出來た。
塡「そのお見舞いは検問的なものはあるのか?」
秋「ん?いや、ないと思うぞ。ただ、今までの監視に外出止命令が著いただけだからな。」
それなら手紙のようなものをれてしまえばわざわざ塡がリスクを負う必要はなくなる。
塡「秋、し待て。」
秋「お、おう。」
近所の百貨店に駆け込んだ塡は古くからある紙とペンを購し、近くの平坦な壁で文字を綴る。
手紙には短く「今すぐに地下街に來い」という容と、塡が見つけた地下街への階段の住所に加え、塡が先ほど使用した幻の使用法とともに魔法陣を書いた。
塡「じゃあこれ、その見舞いの品にれといてくれ。」
その言葉を聞いた秋が、手に持っている風呂敷を指差し、「んこれか?これは俺の晝飯だよ。」と返してきた時にはぶん毆ろうかと思ったが、手紙を戦に直接渡すという方法で解決した。
塡「じゃあ頼んだぞ。」
秋「おう、またな。」
元気に手を振りながら別れを告げる秋を見ながら、「出來ればもう會いたくはないがな。」と思いながら、し気だるけに塡は地下街へと降りていった。
じょっぱれアオモリの星 ~「何喋ってらんだがわがんねぇんだよ!」どギルドをぼんだされだ青森出身の魔導士、通訳兼相棒の新米回復術士と一緒ずてツートな無詠唱魔術で最強ば目指す~【角川S文庫より書籍化】
【2022年6月1日 本作が角川スニーカー文庫様より冬頃発売決定です!!】 「オーリン・ジョナゴールド君。悪いんだけど、今日づけでギルドを辭めてほしいの」 「わ――わのどごばまねんだすか!?」 巨大冒険者ギルド『イーストウィンド』の新米お茶汲み冒険者レジーナ・マイルズは、先輩であった中堅魔導士オーリン・ジョナゴールドがクビを言い渡される現場に遭遇する。 原因はオーリンの酷い訛り――何年経っても取れない訛り言葉では他の冒険者と意思疎通が取れず、パーティを危険に曬しかねないとのギルドマスター判斷だった。追放されることとなったオーリンは絶望し、意気消沈してイーストウィンドを出ていく。だがこの突然の追放劇の裏には、美貌のギルドマスター・マティルダの、なにか深い目論見があるようだった。 その後、ギルマス直々にオーリンへの隨行を命じられたレジーナは、クズスキルと言われていた【通訳】のスキルで、王都で唯一オーリンと意思疎通のできる人間となる。追放されたことを恨みに思い、腐って捨て鉢になるオーリンを必死になだめて勵ましているうちに、レジーナたちは同じイーストウィンドに所屬する評判の悪いS級冒険者・ヴァロンに絡まれてしまう。 小競り合いから激昂したヴァロンがレジーナを毆りつけようとした、その瞬間。 「【拒絶(マネ)】――」 オーリンの魔法が発動し、S級冒険者であるヴァロンを圧倒し始める。それは凄まじい研鑽を積んだ大魔導士でなければ扱うことの出來ない絶技・無詠唱魔法だった。何が起こっているの? この人は一體――!? 驚いているレジーナの前で、オーリンの非常識的かつ超人的な魔法が次々と炸裂し始めて――。 「アオモリの星コさなる」と心に決めて仮想世界アオモリから都會に出てきた、ズーズー弁丸出しで何言ってるかわからない田舎者青年魔導士と、クズスキル【通訳】で彼のパートナー兼通訳を務める都會系新米回復術士の、ギルドを追い出されてから始まるノレソレ痛快なみちのく冒険ファンタジー。
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