《神々に育てられた人の子は最強です》オークションの開始と闇の現れ
「ほう、ここがあのオークションが行われる場所か」
「そうだよ。ふふ。まぁあの霊族の羽が出品されるとは思えない場所だけどね」
俺は今、クロントと一緒にオークション會場の目の前に居た。
周りには崩れた家。明らかに栄養不足の細々としたの年。道には排泄が沢山落ちていて酷い悪臭がする。
ああ、それと、俺は本の黒瀬神夜ではなく、本から生まれた分だ。つまり、三目だな。
「それにしても、シンヤ君は何を著ても似合うね。特に黒は」
今俺が著ている服は、いつものあのチート裝備ではなく、何故か貴族が舞踏會などで著るような、いたるところがキラキラした服を著ていた。
「こんな服は初めて來たんだが、似合っているかどうかはよくわからんよ」
鏡なんて見た事ない。神界にはそんなものは存在しないし、學校でも殆どの時間、椅子に座っているだけだった。
なので、自分の姿を見たことがない俺にそう言われてもよくわからない。
「さっ、もうそろそろ時間だよ。行こうか」
「ああ」
クロントは、目の前にある小さな扉を押す。すると、ギィと言う音がなり、開いた先には真っ暗な闇があった。
「行こうか」
クロントは再度そう言い、闇の中を進んでいく。燈は一切なく、足元も見えないはず。
俺は【魔眼】によっても闇も効果はないが、クロントは違う。何度も來ているのか?
暗闇の中、慣れた足取りはそう思わせる。
ん?
「クロント様ですか。いつも贔屓ごひいきさせていただき、ありがとうございます」
暗闇を進んだ先に、一つの扉とその橫に男がいた。
そして、その男とクロントはどうやら知り合いだったようだ。
「ああ。じゃあ、いつもの頼むよ」
「はい。あの、そちらの方は……?」
「私の連れだよ。ちゃんと持っているよ」
「わかりました」
クロントは手に持っていた何かをその男に渡し、男は懐から一つの仮面を取り出した。その仮面はクロントの手にわたり、クロントは仮面を付け、扉の奧へと進んだ。
「貴方は初めてです。これからオークションの説明をさせて頂きます。あっ、心配には及びません。オークションには間に合うよう致しますので」
「わかった」
「では、簡単に説明させていただきます。このオークションに參加するには、必ず、贔屓ごひいき様であっても、參加料として、大金貨10枚を払って貰います。
次に、この會場では、必ずここで渡される仮面を被ってください。オークション會場の中では、他のお客様も仮面を被っております。この仮面には、數字が書かれており、ここではその數字が貴方の名前の代わりと自分の席の番號となります。
最後に、會場では暴力行為は止です。もし行えば、各場所で隠れているAランク冒険者、Sランク冒険者が取り押さえる、または、やり過ぎた場合はその場で斬首されることもありますので、お気をつけください。
これで、このオークションのルールの説明を終わります。
る際は、この仮面を付けて、場してください」
渡された仮面には、右側の斜め上にNO.6891と書いてある。これが、ここでの俺の名前で、席の番號だそうだ。
俺は説明された通り、大金貨10枚を払い、仮面を付けて扉の奧に進んだ。
階段は地下へと進んでいく。
その先にあったのは、大人數の人々が座っている席と、仮面を付け各々綺麗なドレスやシャキッとしたタキシードを著た人達だった。
その者達は片手にグラスを持ち、中には赤ワインのようなものがっている。自分の席に座り、くつろいでいるようだ。
俺は自分の番號である席を探した。
すると、一人の小柄な男の子が立ち上がり、こちらに手を振ってきた。
あれは、クロントだな。
そう思うと、クロントの元に行く。クロントの場所は隣が空いており、そこにはNo.6891と書いてあった。
俺の席だ。
場した順に席が決まっているのか。
「やぁ。説明は意外と長かったようだね。ギリギリ間に合ったよ」
『レディィィィィィィスエェェェェェェンドジェントルメン!!今宵もまた、何萬枚もの金貨、大金貨、はたまた白金貨と言う巨額がく時が來ましたぁぁ!!』
多くの人々が座っている席の真ん中にあるステージからピエロの格好をした司會者が現れ、オークションの開始の合図を言い放つ。
ピエロは何も持たずに、このオークションないを響かせるほどの聲を出す。何らかのスキルだろうか?
まぁそれよりも、確かに時間ギリギリだったようだ。
『うぉぉぉぉぉぉお!!』
ピエロの言葉に観客達は大きく盛り上がる。
『それでは、早速オークションを始めていきましょう!
まず初めに出てくる商品はぁぁぁ、こちらぁぁぁ!』
ステージの右端から商品を運ぶが出てくる。商品は布が被せられているが、形が丸い。
ピエロは、その商品に被せられた布をバッと取った。
そこには、何かの卵があった。
『トップバッターはワイバーンの卵だぁぁぁあ!!』
ピエロが商品の名を呼ぶと、參加者たちからは、歓喜の聲が湧き上がる。
『ワイバーンの卵とは、昔から幸運を呼ぶ卵としても有名であり、ワイバーンが生まれたあかつきには、魔法職の一つであるテイマーになることが出來まーす!
しかも、今回の卵は鑑定士からよると、最上級の品質を持った卵だそうです!
それでは、これより最低金額を設定します。
最低金額は〜、こちら!
金貨50枚からとさせて頂きます!』
商品の説明を終わらすと、すぐさま最低金額を決めてオークションが始まった。
至る所から金貨の枚數が飛びい、すぐに大金貨へと変わった。
『決まりましたぁぁぁあ!!No.286の方が、大金貨30枚で落札ぅぅぅう!』
オークション商品とは、ここまで盛り上がるのか。
落札した人がステージに上がり、落札した商品であるワイバーンの卵を持ち上げ笑っている。
その客を見て、他の客は拍手をする。凄いな。
このように、次々と商品が現れては、高額で落札されていく。
『炎龍の糞』
『サイクロプスの角』
『キラーエイプの皮』
『古代のローブ』
『魔法の巻スクロール×2』
『賢者の石』
鑑定してみれば、賢者の石以外本だ。それに、さっきピエロが言っていたが、ワイバーンの卵と他の商品は、変わらず良い品質を持っていた。
というか、鑑定士は賢者の石が偽だとわからなかったのか?
『炎龍の糞』はなんでも風に當てれば自然と炎が出るというものらしい。
『サイクロプスの角』は、魔力が溜められていて、武にすれば魔剣となるという。
『キラーエイプの皮』は防力が高く、保溫も高いため、防に使われることが多い。
『古代のローブ』には、昔の人が使っていたと思われ、常時屬魔法付與エンチャントされていた。
『魔法の巻スクロール』は特殊な布に魔法が封印されていて、それを紐解けば魔法が発し、魔法の巻スクロールに封印されている魔法の魔力が無くなると、魔力を送れば再利用できるとされている。
『賢者の石』は、まぁ、偽だから言うことは無い。
『それでは、今日の超目玉商品んんん!!
霊族の羽ぇぇぇぇぇええ!!!!』
『わぁぁぁぁぁぁぁああ!!』
やっと來たか。ここにいる誰もが目を輝かせ、手にれたいと願うもの。
初めて見るものに、しワクワクといった、久しぶりのに浸っていると、商品が運ばれてきた。
すると、その時俺のに異変が起こった。何かが來る。
そう直した俺は、すぐさま隣にいたクロントに黒金貨50枚を渡す。
突然のことにクロントは目を見開いていたが、そんな顔を見る余裕もなく、俺は一瞬でその場から黒い煙となって空へと舞消え去った。
◇◆◇◆◇◆◇◆
シンヤ君が消えた。
真っ黒な煙となって、すぐ隣にいたはずのシンヤ君が一瞬で。お金だけを僕に渡して消えた。
どうなっているのか、僕は訳も分からずシンヤ君のいた椅子を見ていた。
が、それをほんの一瞬。僕はシンヤ君のことを忘れ、あるものに見惚れていた。
商品として運ばれてきたものは、しくも羽をもがれたがっている巨大な水晶と、そのに付いていたと思われる虹に輝く羽だったーーー
◇◆◇◆◇◆◇◆
ーーー一方ここは、魔法學園クルウェントにある、コロッセオの中。
何故、こんなことになったのかは、誰もわからない。
今は正午近い時間。風はゆっくりと吹き、寒くもなければ暑くもない、ちょうどいい溫度。
編試験の為に行われた対戦はもう終わりを告げ、今行っていたのはスミスとシンヤのいわば教員試験。いや、ただスミスが気になっただけの腕試しである。
なのに、ただの腕試しであった筈なのに、その腕試しという、楽しそうなイメージの言葉は、一瞬で絶という言葉に塗りつぶされることとなった。
『それ』が目覚めてしまったのだ。
何が原因なのか。何が引き金になったのか、誰にもわからなかった。
それも當然だ。何故なら引き金などなくとも、『それ』は現れるのだから。
一同はわからないまま、『それ』の姿を見る。
「シンヤ君……」
「どう…なってんの……?」
「なんなのあれ……?」
「わからない。わからないけど、あれは……」
「ああ。あれは、化けだ」
「ご主人様……!」
「ご主人!」
コロッセオの中にいる誰もが、その人の名前を呼んだ。
學園長はただ『それ』を見つめていた。
四人の教員は『それ』を恐怖と疑問の目で見ていた。
二人の子供は『それ』を見つめ、主を早く助けようと歯を食いしばった。
二人のは『それ』の姿を見て言葉も出せず、『それ』が元に戻ると信じると同時に、『それ』のから溢れ出すものに震えていた。
「人間がぁ……!汚ねぇ面ツラ見せんじゃねぇよ……!!」
その言葉は、『それ』に変わる前の人の人格を押し殺して発したように、震えながら言った。
その言葉には、誰もが恐怖をじ、絶へと突き落とされる程の暗い闇が含まれていた。
この姿が現れたのは、ほんの數十分前のことであるーーー
【書籍化/コミカライズ決定】婚約破棄された無表情令嬢が幸せになるまで〜勤務先の天然たらし騎士団長様がとろっとろに甘やかして溺愛してくるのですが!?〜
★書籍化★コミカライズ★決定しました! ありがとうございます! 「セリス、お前との婚約を破棄したい。その冷たい目に耐えられないんだ」 『絶対記憶能力』を持つセリスは昔から表情が乏しいせいで、美しいアイスブルーの瞳は冷たく見られがちだった。 そんな伯爵令嬢セリス・シュトラールは、ある日婚約者のギルバートに婚約の破棄を告げられる。挙句、義妹のアーチェスを新たな婚約者として迎え入れるという。 その結果、體裁が悪いからとセリスは実家の伯爵家を追い出され、第四騎士団──通稱『騎士団の墓場』の寄宿舎で下働きをすることになった。 第四騎士団は他の騎士団で問題を起こしたものの集まりで、その中でも騎士団長ジェド・ジルベスターは『冷酷殘忍』だと有名らしいのだが。 「私は自分の目で見たものしか信じませんわ」 ──セリスは偏見を持たない女性だった。 だというのに、ギルバートの思惑により、セリスは悪い噂を流されてしまう。しかし騎士団長のジェドも『自分の目で見たものしか信じない質』らしく……? そんな二人が惹かれ合うのは必然で、ジェドが天然たらしと世話好きを発動して、セリスを貓可愛がりするのが日常化し──。 「照れてるのか? 可愛い奴」「!?」 「ほら、あーんしてやるから口開けな」「……っ!?」 団員ともすぐに打ち明け、楽しい日々を過ごすセリス。時折記憶力が良過ぎることを指摘されながらも、數少ない特技だとあっけらかんに言うが、それは類稀なる才能だった。 一方で婚約破棄をしたギルバートのアーチェスへの態度は、どんどん冷たくなっていき……? 無表情だが心優しいセリスを、天然たらしの世話好きの騎士団長──ジェドがとろとろと甘やかしていく溺愛の物語である。 ◇◇◇ 短編は日間総合ランキング1位 連載版は日間総合ランキング3位 ありがとうございます! 短編版は六話の途中辺りまでになりますが、それまでも加筆がありますので、良ければ冒頭からお読みください。 ※爵位に関して作品獨自のものがあります。ご都合主義もありますのでゆるい気持ちでご覧ください。 ザマァありますが、基本は甘々だったりほのぼのです。 ★レーベル様や発売日に関しては開示許可がで次第ご報告させていただきます。
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