《転生屋の珍客共〜最強の吸鬼が死に場所を求めて異世界にて働きます〜》第41話 話し合い
目の前には敵軍の幹部が三人。
それも一人は見覚えがある。
「さて、まずは自己紹介をしようか。彼はロス、僕の側近で奴らが恐れていた兵の持ち主だ。そして人間の彼はゲオル。ドラゴンたちに恐れられている剣士だ」
「俺はカレイド・ノスフェラトゥーグ・ルインだ。ルインと呼んでくれ。さて、お前たちには々と質問したい事があるがまずは時間を巻き戻したはどいつだ」
「私です。先祖代々け継いでいるこの廻の指を使って巻き戻しました。ですが、蓄積されていたエネルギーを全て使い果たしてしまったのでもう使えません」
手を挙げたのはここまで案をしてくれた。
時間を巻き戻したのならエネルギーを消費していない狀態に戻るはずだが、これが所謂タイムパラドックスというものか。
世界はそれほど都合良く作られていないという事だ。一度、巻き戻れただけでも有難い。
「ふむ、では記憶を頼りに最悪な結果を避けなくてはいけないのだな。それもチャンスは一度だけと」
つまり失敗は許されない。
責任が重くのしかかってくるが、修羅場は何度も潛り抜けてきた。今回もきっと何とかなるはずだ。いや、何とかしてみせよう。
「話が早くて助かる。では報換といきましょうか」
指の持ち主であるロスと能力の対象となった俺は記憶が殘っているが、それ以外はまるで何も覚えていないらしいので起こった事をそのまま伝えた。
「る程、仕掛けた罠が覚醒の後押しをしてしまったのか。それは誤算だった。今夜中に何か手を打っておかなくては」
「手っ取り早いのは元を斷つ事ではないか?」
「といいますとあのニッグの仕留めるという事ですかな」
「個人的にはあまり気は乗らないがチャンスが一度しかないのだが、一番確実な方法で行くしかあるまい」
「殘念ながらルインさん。それは確実な方法とは言えません。未來はそう簡単には変わらないように出來ているのです」
言われてみるとそうか。
前もそのせいでループをして大変な目に遭った。
その時は俺を殺せる者はいないと早々に諦め、別の方法を模索していた頃だ。俺を殺せないのなら俺を産んだ親を殺そうと過去へと飛んだ。
俺の親が死ねば俺が産まれる事はない。そう思い決行したのだが、親を殺すと俺は産まれないがそれはつまり存在しない者がタイムトラベルした事になり、矛盾が生じてしまう為に親を殺す事は出來ない。だから親は死ぬ事はなく結局、俺は産まれてしまった。
過去も未來も俺でもどうにもならない何の力で働いていて何も変えられない。
これは今回の件でも言える事だ。
ニッグだけを殺しても他の連中が黙っていない。そいつらにリルフィーを殺され、また俺だけが生き殘るという結果を招きかねない。
「となると奴らを全滅させれば良いのか?」
「一番はそれですね。それとあの終焉に導く竜の討伐。この両方が達してようやく我々がむ結果になるでしょうな」
「終焉に導く竜とやらはニッグを殺せば済む事だ。わざわざ分けなくともよかろう」
「それがそうでもないのが今回の厄介なところであれは既に魂だけの存在で取り憑かれた本を倒して他のへと移してしまうのですよ。ドラゴン限定ですがね」
見抜けなかったのはそれが原因か。
流石に俺も魂を見る目は極めていないので奧底に眠っている魂までは見抜けない。表に出てようやく気づけたがその時には遅かった。
「ではドラゴンを滅ぼさねば其奴は殺せぬのか」
そうなるとゲオルを除く、この二人と彼らが率いている軍も全て殺さなくてはいけなくなってくるが。
「いえ、別のへ移する際に隙が出來ます。そこを突ければ倒せます。問題はその役目は誰がするがですが……」
「ぜひ、俺にやらせてくれ」
こいつらを信頼していない訳ではないがつい先程會ったばかりの連中に大役を任せられない。
「分かりました。ではこちらは全力で勝つ事に専念しましょう。となると大幅に策を変えなくてはいけないな。ロス、ゲオル、忙しくなるぞ」 
「そちらは任せる。報はこれに伝えてくれ」
「これは?」
「遠くにいてそれに話しかければ答えられる。こっちも有益な報がり次第そちらに送る」
前使ったのと同じ分だ。
今回は水晶の形にして渡した。
これは保険だ。ないとは思うがこいつらが裏切らないかそっとこれで盜み聞きしてやる。
「それは助かる。では幸運を」
「幸運を」
別れの言葉をわし、これからお互いに耐え難い運命を変える為にき出した。
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