見渡せばすぐに魔の家なのだと分かった。それ程そこには魔と聞いてすぐに連想させるが置かれている。

「ようこそ。ここは最兇にして最悪、錬の魔ロニ様の研究所だ。泣いて喜べ皆の諸君！」

「殘念ながら全員は集まっていないようだ」

「ほあ？　確かに言われてみれば數が減ってる」

ここにいるのはルイン、リルフィー、セリエのみ。それ以外は辺りをいくら探して見當たらない。

「はぐれたみたいね。これもあんたの転移魔法のせいよ」

「失敗は功の母と言うだろ。天才もこうやって誰も知らないところで失敗を繰り返しているのさ」

「そんな事言われても知らないわよ。ルイン、二人が何処にいるか分かる？」

「大雑把な位置なら。正確な位置を特定するには近くにいかないと分からないな」

幸いな事にベルとアズリエとの距離はそれほど遠くはない。これなら然程時間はかからないだろう。

「じゃあ、先に二人と合流ね。今度はセリエの本で」

流石にロニの転移魔法には懲り懲りのようで転移魔法には準備に時間がかかるそうなのでロニは文句を言わず、セリエの本によって二人の気配がする場所まで転移した。

そこは奇妙な建が立ち並んでいて、見ているだけで頭がおかしくなりそうな場所だった。

「何ここ」

「魔がかに集まり、報を換する『カヴン』という場所で招待狀を持っている魔以外は立ちり止になっているようです」

「招待狀か。ロニは持ってないのか」

「ふん。この天才ロニ様は俗たちと流している暇などない」

「つまり持っていないんだな」

素直にそう言えばいいのにわざわざ回りくどい言い方をしなくとも済むのに。

「でも中にったらこっちのもんよ。堂々としてたらバレやしないって」

「そんなに上手くいくとは思えんが」

招待制という事はここにいる魔はそれなりの実力のある者たちということだ。

魔に後れを取るとは思えないが二人があちら捕らえられているとなろと話は変わってくる。

「いや、招待狀が確認されるのはる時だけ。中は監視のゴーレムがいるだけで警備は大した事はないぞ」

「良く知っているな。ここ來た事はないのだろ」

「一度ここを潰そうと思った事があってそれで調べた事があるのだ」

今もこうして健在という事は失敗したのだろうが、潰そうとするとはよっぽど他の魔が嫌いらしい。

「では先導を任せる。まずは近くのベルの方へ向かおう。気配はあの建の地下からじる」

中心にある丸い塔。

薄気味悪い配のそれは侵出來ないように聳え立つ周囲の壁よりも背が高い。

「あれは見張りの塔だな。ここの建の中だと一番高いが監視の人數はない。地下となると捕まって牢屋にれられているな」

「それで潛は可能なのか？」

「扉には関係者以外はれないようにする魔法が施されているけどこのロニ様なら數分で解除出來る」

潛は容易で中の見張りがないのならベルとの合流は難しくはないだろう。

「では隙を伺って潛するとしようか」

「指図されるのは嫌いだけどここの連中に一泡吹かせられるなら我慢しよう」

こっそりと近くまで行き、周りに人がいなくなったのを確認してからルインたちはベルがいる塔の中へと潛した。