《転生屋の珍客共〜最強の吸鬼が死に場所を求めて異世界にて働きます〜》第81話 忘れていた大切なこと
一撃。
顔面に容赦のない拳を放った。
普通の悪魔ならそれだけで絶命するがが吹き飛んだだけで傷一つついていない。
「やはり一筋縄ではいかないか。おい、ビュート。死なないように気をつけろよ」
流石に蠅を配慮して戦うのは面倒だ。
自分のは自分で守ってもらおう。
しかし、中が違うとしても子供を毆るのは気が引ける。だが相手が相手だけに手は抜けない。
起き上がる前に次の攻撃の準備をするーーが、敵もそれを察して倒れた狀態で魔力を飛ばして牽制してきた。
だがルインはそれを避けずにけ止める。不死である彼にとって避ける必要がなく、その一撃は相手が避けさせるための一撃だと知っていたからだ。
蠅の王はルインの強さをでじ取っていた。そして普通に戦っては勝てないと悟って大技を繰りさせまいと牽制をしたがそれは無意味になる。
否、蠅の王は判斷を間違えてはいない。ただ彼には策というものは意味をなさない。むしろそのは彼の武となる。
「ベルのから出て行け蠅の王」
の化。
ルインの中に潛むそれは常にをしている。そしてビュートのような使い魔ではないので言うことを聞かないので自分のを代償としなくてはいけない。
まだ全ては扱えないが今回はその中で一撃が重いのを選択した。
「サタンとやらによろしく言ってくれ」
赤いは巖のように丸まり、凝固する。そしてそのまま蠅の王に目掛けて高速で発された。
「ぐ……ぬっ。ここで死ぬわけにはーー」
あまりの速度に躱せず、両手に魔力を集中させて止めようとするがの塊は回転を増すばかり。
所々鋭利な部分があるので皮が徐々に削られ、足元にはが滴る。
「いいや、お前はもう死んでるんだよ。過去に囚われてねえで今を生きるんだな」
その一言と共に限界がきたのかの塊は蠅の王を壁に叩きつけた。
***
 
窟を抜けて、適當なところでベルを寢かせてから數十分。そろそろ不安になってきた頃に彼は目を覚ました。
「あれルインさん? ここは……私は一何をしていたんですか」
「蠅の王という奴がお前のを乗っ取っていたんだ。まあ、詳しい話は使い魔に聞くことどな」
「ビュート⁉︎ 魔界に帰ってたんだ」
「つい最近だ。ちと野暮用があってな。けどそれも片がついた」
見た目はさほど変わっていないがあの蠅の王を吸収することに功した。これで二度とあんなことは起こらないだろう。
「ルインさんのおかげ……ですよね。何があったかは知りませんがありがとうございます」
「別に禮を言う必要はねえよ。仲間を助けるのは當たり前のことだ」
そう當たり前のことだ。
俺はそんなことをここ數十年間忘れていた。それを気づかせてくれたのは転生屋の奴らだ。むしろこっちが謝しなくては。
「それでも言わせてください。薄っすらとですがルインさんが頑張っているが見えましたから。えっと……お禮と言っては何ですが目を閉じてくれますか?」
言われるがまま瞼を閉じると頰に妙なが伝わってきた。何故か震えているようでそれがなくなってから目を開けてみるとベルは顔を真っ赤に染めていた。
「そ、それじゃあ先にか、帰ってますから」
ここまでの道は蠅の王が一掃したから危険はないが走って戻ろうとなると時間がかかるだろうに。
追いかけてあそこまで送って行っていこうとするとビュートが「ロリコンが!」と一言殘していった。
「何故俺が悪いみたいになっているんだ?」
これだから悪魔は面倒だ。
しばらく魔界は懲り懲りだが、まずは無事にベルを救出できたことを報告しよう。
【書籍化】物語完結後の世界線で「やっぱり君を聖女にする」と神様から告げられた悪役令嬢の華麗なる大逆転劇
転生も巻き戻りもせずに大逆転を遂げる悪役令嬢の物語。 婚約者だった皇太子とその浮気相手の聖女に斷罪されたイリス・タランチュランは、処刑を目前にして牢獄の中で夢を見た。夢の中でイリスはこの物語の神だと名乗るウサギに出會う。ウサギは聖女であるヒロインへの不満から、イリスに向けて「やっぱり君を聖女にする」と言い出した。目が覚めると、イリスの瞳は聖女の証であるルビー眼に変わっていた。同時刻、神殿の大神官の元には有り得ない衝撃的な神託が下り、知らせを聞いた皇帝は愕然とする。自分を陥れた元婚約者とヒロイン、そしてその周囲の人々へ復讐を誓うイリスは、神に與えられたこの設定を存分に利用するのだった。 ※お陰様で書籍化が決定いたしました。詳細は後日ご報告致します!
8 155終末屍物語
2138年4月10日、何の前觸れもなく起こったゾンビパンデミックで、人類の文明社會は唐突に滅んだ。そんな世界で生きていくゾンビの少年と半ゾンビな少女の物語
8 152バミューダ・トリガー
學生の周りで起きた怪異事件《バミューダ》 巻き込まれた者のうち生存者は學生のみ。 そして、彼らのもとから、大切にしていた物、事件の引き金《トリガー》とされる物が失われていたのだが・・・? ある日を境に、それぞれの運命は再び怪異へと向かって進み始める。分からない事だらけのこの事件に、終息は訪れるのか? 大切な物に気づいたとき自分の個性が武器となる・・・!! ―初挑戦の新作始動―
8 53召喚チート付きで異世界に飛ばされたので、とりあえず俺を転移させた女神さまを召喚することにしました
MMORPGのつもりで設定したステータスを持って、相馬(そうま) 徹(とおる)は召喚士として異世界に転移した。女神さまから與えられたのは、ただひたすら召喚――つまりガチャを回すことに特化したチートだった。ソーマは召喚チートを駆使し、この世界で成り上がっていく。これは一人の少年が、魔王を倒し勇者に至るまでを描いた物語。※こちらの作品はまったり進行でお送りいたします。 この作品は『小説家になろう』様でも掲載しています。
8 61強奪の勇者~奪って奪って最強です~
「周りからステータスを奪っちゃえばいいのに」 少女がそんなことを抜かす。 俺はそれを実行し、勇者になった。 「強奪の勇者とは俺のことよ!!」
8 62ぼくには孤獨に死ぬ権利がある――世界の果ての咎人の星
1990年の春、地方都市の片隅で鬱屈した日々を送る普通の女子中學生、永田香名子の前に現れたのは、ハヤタと名乗る宇宙人の家政夫だった。奇妙な同居生活の中で二人は惹かれ合うが、異星の罪人であるハヤタが、科せられた〈情緒回復計畫〉を達成し、罪を贖う時、彼は殘酷な刑へ処せられる運命だった――。リアリズム、ファンタジー、SFが交差する作風で、ひとりの女性の數奇な人生を1990年から2020年まで追い続けた、異色のゴシック・ロマンス小説、決定版にして〈完全版〉!
8 134