《創造神で破壊神な俺がケモミミを救う》第40話
ゼーレ達との念話を解いた後、ガランは獣人達のシェルターへの避難を完了させ、獣士団一萬人を引き連れて防衛用のクーポラに來ていた。
北東からしか帝國兵が來ていなかったことが幸いし、訓練場と中央にある居住用クーポラにはまだ帝國兵が迫ってきていなかった。
防衛用クーポラに辿りつくと、既にレイが魔獣の準備をして待っていた。
ガランから事を念話で聞いていたレイの顔はいまだに信じられないといった顔をしている。
「族長。監視カメラの様子はどうなっている?」
「カメラを見る限り南側を囲まれているようじゃの。北東から襲撃してきた帝國兵はカメラには映っておらんかった。監視カメラの配置をしていたサイラスが故意に監視のを作って帝國兵を招きれたのじゃろう。あのサイラスがそのような事をするとはいまだに信じられんがな・・・」
カメラを見ながら顔をしかめるレイ。
ガランは帝國兵が北東からしか侵していない事を確認すると、ゼーレ達がいる北側と東側の間にあるシェルターへと向かい、帝國兵を撃退する旨をレイに伝える。
「そうか。では一部獣士団を借りても良いか?私はここで帝國兵の相手をしておく。」
「大丈夫なのか?」
「心配するでない。このクーポラは大地さんが一番時間をかけて作したクーポラじゃぞ? サイラスにも知られていない機能もある。帝國兵が攻撃を仕掛けたところでビクともせんわい!」
「わかった。くれぐれも無理はしないでくれよ。」
「わかっておるわい。お前は早くゼーレ達の元に行ってやりなさい。」
レイはガランから獣士団五千人の指揮権をけ取ると、即座に指示を出し配置を整える。
ガランはこの場をレイに任せると、殘った獣士団と防衛用クーポラにいた移用魔獣を率いてゼーレ達の元に向かった。
シェルター付近までガラン達が辿りつくと、帝國兵の軍団が整列して何かに攻撃を加えている姿が見えた。
ガラン達はすぐさまクーポラのに隠れて帝國兵の様子を窺う。
兵の數はおそらく一萬程度はいるだろう。
一方ガラン達獣士団の數は五千に移用魔獣のロマが二千だった。
數で勝る相手に真正面からぶつかるのは分が悪いと判斷したガランは帝國兵の様子を窺いながら作戦を練っていく。
「全員魔法を放て!」
帝國兵は指揮らしき者の聲を合図にシェルターの口に向けて一斉に魔法を放つ。
しかしセキュリティを掛けられているシェルターの扉は壊れるどころか傷すらつかない。
「なんなんだこの扉は! これだけ魔法を放っているのに傷すら付けられないだと?」
どれだけ魔法を放っても傷つかない扉を前に苛立ちを見せる指揮。
様子を見ていたガランは帝國兵がシェルターに集中しているのを確認すると、マヒア率いる狙撃に特化したガンナー部隊に指示を出す。
マヒアは千人のガンナー部隊と共に帝國兵に見つからないように高臺に昇ると、魔法弾薬をライフルに込めた。
準備が整った事を確認したガランが合図を送ると、マヒア達は一斉に狙撃を開始した。
鈍い銃聲が響くと同時に帝國兵のがはじけ飛ぶ。
「敵襲! 敵襲!」
「南東の方角に敵影あり!」
狙撃をけた帝國兵は、マヒア達がいる方角へと意識を向け、魔法師達による魔法攻撃の準備にる。
そこへロマに乗ったガランを筆頭とした二千の兵が一萬の軍団を分斷するように軍団の中心に突撃を開始した。
マヒアに意識を持って行かれていた帝國兵は、ガラン達の奇襲に対応出來ず、蜘蛛の子を散らすように陣形をしていく。
ガラン達が軍団の陣形をしながら攻撃を加え、軍団のの中を抜けると、すかさずマヒアのガンナー部隊が狙撃を行う。
ガラン部隊の突撃とマヒア部隊の狙撃を互に繰り返すことで、著実にその數を減らしていく帝國兵。
しかし林の様に隠れる場所がないことで、徐々に帝國兵もガラン達のきに対応し始める。
ガランの部隊はきに対応し始めた帝國兵達の手によってしずつ數を減らしていく。
「ちっ。やっぱり林の様に上手くはいかねぇか。」
ガランは突撃部隊の數が四分の三に減ったのを見て、研究用クーポラと鍛冶用クーポラの間へと部隊を下げさせる。
「獣人共が逃げたぞ! 追え!」
指揮が聲を挙げると、マヒアの狙撃を防いでいた魔法師以外の兵士達がクーポラの間に逃げたガラン達を追っていく。
クーポラの間に差し掛かると必死に逃げる獣人達の後ろ姿が見えた。
逃げう獣人達の姿を見て、気を良くしながら追っていく兵士達。
しかしロマに乗ったガラン達にはなかなか追いつくことが出來ず、追いかける兵士達はガランの思に気付かぬままクーポラに挾まれた狹い路地に導かれていた。
ガランは背後から追ってくる帝國兵が狹い路地に差し掛かったのを確認すると、帝國兵の背後の路地に隠れている伏兵に合図を送る。
ガランの合図で殘り二千の団員が兵士達の背後を突くと、同時にそれまで逃げていた突撃部隊も兵士達の方に向き直し突撃を再開する。
挾み撃ちにされた指揮は焦った様子で退路を確保するように部下に怒聲を浴びせる。
しかし狹い通路できが上手くとれないうえに、ガラン達から挾みうちにあっている兵士達は慌てふためいており、指揮の指示が通ることなく勝手に陣形をしていく。
その隙を突き、帝國兵の背後に位置する魔法師の団員が魔法を次々と放っていった。
慌てた狀態で適切な防行をとれない兵士達は、次々と団員の魔法を喰らい、瞬く間に大量の軀が出來上がる。
「早く退路を開け!」
「しかしこの通路ではまともに行軍も出來ません!」
指揮の焦りが募る中、ガラン率いる突撃部隊は橫一列に並び、槍を前方に構えたまま狹い路地にひしめき合う帝國兵にぶつかっていく。
ドシャ!グチャ!と生々しい音が戦場に響きわたる。
もはや兵士達に戦意は無く、その後は逃げう兵士を団員が討つという一方的な躙になっていった。
そしてその一方的な躙はガランが指揮の首を討ちとったところでようやく終わりを告げた。
ガラン達がシェルターに戻る頃にはマヒア率いるガンナー部隊も帝國の魔法師を駆逐しており、シェルター前に待機していた。
「マヒア被害の報告を頼む。」
「ガンナー部隊は百人程度やられたよ。そっちは?」
「こっちも四千の五百以上はやられている。」
「そうか。しかし帝國兵の數があまりにもなすぎやしないか?」
「確かに。壊滅させるつもりならもっと帝國兵の數がいるはずだろうな。」
「そうだろ? サイラスならここの守りの仕組みや、獣士団の人數も把握しているはずだ。現に山を背にしている事から警備用の魔獣をあまり配置していない北東から攻めてきている。その割には詰めが甘い気がするんだが。」
「まぁ今考えても仕方ない。とにかく今はゼーレ達の無事の確認が先だ。」
ガランはシェルターの扉の前まで來ると、扉を開けるようにシェルターの獣人に呼びかける。
中にいた獣人はガランの聲に気付くと、シェルターの扉を開け始めた。
「ガランさん! 親方とゼーレちゃんとフィアちゃんが!」
「ゼーレ達に何かあったのか!?」
ドグマの弟子が扉が開くと同時にガラン達に泣きつくように、ガラン達が來るまでの間に起きた事を説明する。
話を進めるごとに徐々にマヒアの顔から焦りが出始める。
話を聞いたガランは即座に獣士団に指示を飛ばしていく。
「これより団を二つに分ける! 半分はリリスを追ったドグマたちの援護。半分はシェルターに殘って戻ってくる俺達のサポートを頼む!」
ガランは獣士団に指示を出した後、マヒアと半分の軍を率いて研究用クーポラへと向かおうとする。
しかしそんなガラン達の行く手を阻むように北東の方角から帝國の一隊が現れた。
「あ~あ。やっぱり第一陣は壊滅したか。魔獣に數を減らされたとはいえ、獣人如きに負けるなんてね。」
飄々とした態度でガラン達の背後に現れたパーマのかかった緑の髪を持つ男は、辺りに散らばる帝國兵を足蹴にしながらガラン達に近づいてきた。
その男は手元の紙を見ながらガランに目を移すと、ニヤッと笑みを浮かべる。
「もしかして君がガラン君かな?」
「お前は誰だ?」
「これはこれは自己紹介を忘れるとは僕としたことが・・・
僕の名前はナーシェン。帝國生兵開発局第一室長を務めさせてもらっている者です。」
「その室長さんが何故俺の名前を?」
「それは君の名前がアーヴ様からもらったリストに載ってるからね。」
「リストだと?」
「そうだよ。一か月前にアーヴ様からボレアス侵攻の命令をけてね。トーム侵略と平行して行う予定だった人実験用のサンプルが集まったから回収しに來いってね。
その時にアーヴ様から重要回収対象者のリストに君の似顔絵と名前が載ってたんだよ。でもここまで來るのは大変だったよ。
警備が薄いって聞いてたから、長い時間をかけて準備して険しい山道を越えてきたっていうのに、魔獣は普通にいて結局戦闘になってね。
僕の部隊も魔獣に結構削られちゃったよ。もらった報より強いんだもんなぁ~。そのかわり魔獣は全滅させてもらったけど。」
「そのアーヴって奴がサイラスの正だったって訳か。それでお前はそのアーヴって奴の命令で俺達を回収しに來たのか?」
「それはもちろん特殊な技能を持つ君達の回収は重要な任務だけど、まずやるべき事は南側の防衛施設の占拠かな。
アーヴ様の話では今はここにはいないけど、ボレアスには凄い力を持つ人間がいるんでしょ? 
だからそいつが戻る前に防衛施設を占拠してそいつに備えたいんだってさ。」
「ちっ。大地をミッテに送ったのもこの襲撃の為だったっ訳か。しかしその話を聞いて黙って俺達がここを通すとでも思ってんのか。」
「まさか。むしろ抵抗してくれないとつまらないよ。リストにある報だと君はリスクなく狂戦士化出來るんだろ? 
正常な形での狂戦化なんて生兵開発に秀でたアーヴ様ですら功したことのないものだよ?
これ程貴重な研究サンプルはないでしょ? 是非とも一度お目にかかりたいなぁ~。」
「どっちにしろお前らを防衛用クーポラに向かわせる訳にはいかねえ。」
「おお! じゃあ狂戦士化を見せてくれるって事だね!? 
ちなみに僕の部隊はここにいる者だけじゃないよ?
東側からも攻めてるはずだから、悠長な事は出來ないよ?」
ナーシェンは研究用クーポラがある場所を見ながら、ガラン達に更なる帝國兵の存在を告げるといやらしく笑みを浮かべる。
ガランはナーシェンの言葉を聞き、帝國兵が東側にも多數いることを知る。
焦ったガランはマヒアに部隊の半分を率いてすぐにゼーレ達の掩護に向かうように指示を出した。
マヒアは一瞬躊躇したが、ガランの指示通りに部隊の半分を連れてゼーレ達の掩護へと向かった。
「おみ通りお前の相手は俺がしてやるよ!」
「一対一ってやつかな。面白いね! 正常な狂戦士化がどれほどの力を生み出すのか気になっていたんだ! お前達は手を出すなよ。」
ナーシェンは部下達に待機を命じるとワクワクした様子で前に進み出てくる。
ガランは相棒である風火剣を鞘から引き抜くと雄びを挙げながらナーシェンへと斬りかかっていった。
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※書籍化決定しました!! 詳細は活動報告をご覧ください! ※1巻発売中です。2巻 9/25(土)に発売です。 ※第三章開始しました。 魔法は詠唱するか、スクロールと呼ばれる羊皮紙の巻物を使って発動するしかない。 ギルドにはスクロールを生産する寫本係がある。スティーヴンも寫本係の一人だ。 マップしか生産させてもらえない彼はいつかスクロール係になることを夢見て毎夜遅く、スクロールを盜み見てユニークスキル〈記録と読み取り〉を使い記憶していった。 5年マップを作らされた。 あるとき突然、貴族出身の新しいマップ係が現れ、スティーヴンは無能としてギルド『グーニー』を解雇される。 しかし、『グーニー』の人間は知らなかった。 スティーヴンのマップが異常なほど正確なことを。 それがどれだけ『グーニー』に影響を與えていたかということを。 さらに長年ユニークスキルで記憶してきたスクロールが目覚め、主人公と周囲の人々を救っていく。
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