《加速スキルの使い方!〜年は最速で最強を目指す〜》スキルの悔しさ
選定の日から1週間後。俺は森の中にいた。
「よし、誰もいないな」
辺りを見回して誰もいないことを確認すると、俺はゆっくり息を吐いて言う。
「ーー【加速】っ!」
その瞬間、俺は弾かれたように走り出す。
山の中という足場の悪い中を、俺は【加速】スキルを使って走り回る。速さは馬よりも遅いが、常人ではありえないくらい速い。
俺は毎日こうして森の中で【加速】スキルの練習をしていた。
スキルの練習は同じスキルを持った人に教わるのが基本で、大は親や親戚などだ。魔法系は教會で一斉に教わる。
そんな中俺は一人山の中で練習している。なぜかって?それは単純明快、【加速】なんてスキルを持っているのが村の中で俺一人だけだからだ。だから俺はみんなとは離れて隠れて練習している。
【加速】スキルなんて、クズスキルってバカにされるし、周りがスキルの練習をしている中でそんなスキルの練習なんかしたくない。だから俺は誰にも見つからないここで練習をしているんだ。
「よし、このままーーーうおっ!!」
茂る森を加速しながら疾走する。そのまま50メートル進んだところで、木のに引っかかって俺は転げ落ちた。
土まみれになりながら落ちて、ドンッと地面に落ちる。中が地味に痛いが、けなくなるほどの怪我はしてない。
「..................」
しばらく俺は地面に転がって木々の葉から覗く青い空を見上げてる。そして、
「くそっ!!なんでなんだよ........っ!!!」
歯を食いしばって右手を地面に力任せに打ち付ける。
ここ1週間俺の練習はこんなじだ。【加速】スキルで加速したの制が利かず、すぐにバランスを崩す。
要するに俺はスキルに振り回されていたのだ。
「あああっ!クソッ!!なんで俺はこんなスキルなんだっ!!!スキルはまともに使えなくて振り回されるし!なんだよEXって!ふざけてんのかっ!!」
悔しくて悔しくて口からそんな恨み言が次々に出ては止まらない。こうしてんでいなければやっていけない。
しばらくそうしてんでると、やがてどうでもよくなる。見上げる青い空が眩しい。
「.........もうしやってみるか」
地味に痛いを起こしてもう一度立ち上がる。ここでやめたら自分に負ける気がする。それはとても嫌だ。
せめてこのスキルを完璧に使えるようになってやる。誰よりも早く、誰よりも完璧に。でなければ父さんにも母さんにもティアにもコーサにもみんなにも、それに、フィアにも、俺はを張れない。
俺は目の前に広がる広大な森に目を向けると、一歩踏み出した。
*
「いててて......し無茶しすぎたな.......」
その後結局散々転びまくって、中痣だらけになった。ティアに怒られる事確定だろうな.........。
し痛む腕を抑えながら、俺はぼんやりと広場の方に向かう。広場にはご近所のおばさんや俺より下の子供たちが多くいた。
「あっ!いくすー!」
「ほんとだイクスだ!」
「ねーあそぼー!」
俺を見つけた子供たちがこっちに走ってくる。俺は何かと昔から小さい子に懐かれる事が多くて、よく遊び相手になってあげている。
「どうしたのいくすおにぃちゃん?ふくがよごれてる」
「なんでもないよ。ちょっと転んだだけだ」
ティアよりも小さいの子のユウが俺の格好を見て不思議そうに聞いてくる。スキルの練習してて山を散々転んだと言える訳ないので、適當に誤魔化しておく。
「ねぇねぇ!あそぼ!」
「おう。何して遊ぶ?」
「剣士ごっこしよう!」
「おれはかけっこがいい!」
「だーめ!いくすおにぃちゃんはユウとおままごとするの!」
「はいはい順番な?」
子供たちに手を引かれ遊び相手になる。結構はボロボロなんだが、子供たちの前で弱音を吐けない。俺はなんとか力を振り絞って子供たちの相手をする。
1時間くらいだろうか。子供たちの相手をしていると、フェンというの子が遠くを指差した。
「あ!フィアおねぇちゃんだ!」
「フィア?」
指差す方向を見るとそこには確かにフィアがいた。フィアのスキルは魔法系なので、今の時間まで教會でスキルの勉強していたのだろう。その証拠に手には本と杖を持っている。
「こんにちはみんな。イクスと遊んでるの?」
「うん!フィアおねぇちゃんもいっしょにあそぼ!」
そうしてフィアも遊びに付き合う。が、その前にフィアが俺を連れて行く。
「おねぇちゃんちょっとイクスにお話があるからし待っててね?」
『はーい』
「え?ちょっ、」
そのまま俺は広場の裏の人がいない場所に連れてかれる。
そこまでくるとフィアがこっちを向いて言う。
「服いで」
「........はいっ!?」
こいついきなり何を言ってくる?俺は咄嗟にたじろく。
「お前、一何する気だ......?」
「違う!そうじゃなくて!イクスまた山の中で一人でスキルの練習してたんでしょ?見ればわかる、中怪我してるんじゃない。だから私が直してあげるの」
「あぁ、なんだそう言うことか」
そう言われて俺は納得する。水魔法のスキルの中には治癒系の魔法もあると聞くからそれを試すんだろう。
「上半だけでいいか?」
「下半までいだら習ったばっかりの攻撃魔法を喰らわせるわよ?」
死にたくないので俺はすぐに上半だけぐ。カーフおじいちゃんフィアに攻撃魔法教えないでくれよ、俺の命に関わる。
普段から父さんに鍛えられているので俺は意外にも筋があって引き締まっているが、今はそのも痣だらけだ。
「ほらやっぱり酷い。まっててすぐに治してあげるから」
そうしてフィアは手に持った杖を俺の方に向けて目を瞑り集中すると、力ある言葉を発する。
「《水の癒しよ彼の者に》ーー【癒水】」
フィアがスペルを唱えると、杖から水が発生し、まるで生きのようにいて俺のを包み込む。
するとジンワリと中に染み渡っていき、それと同時に痣の痛みが引いてきた。
「すごい、これが魔法」
「はい、おしまい。はどう?まだまだ習ったばっかりだから作が難しくて」
「大丈夫だ。いつもより元気なくらい。ありがとうフィア」
実際をかしてもどこも痛むところがない。
俺はフィアにお禮を言って、ついさっき子供たちにやっていたようにフィアの頭をでてしまう。しまった.....!毆られる!!
「........ど、どういたしまして。また、何かあったら言ってね?」
「お、おう」
てっきり拳が飛んでくるとばかり思っていたが、フィアは顔を赤くして、俺にそう言ってきた。おもわず俺も恥ずかしくなって顔を赤くしてしまう。おで手を離すタイミングを失った。うーん、この狀況どうしよう.......。
「.......おーい二人ともー。いい加減戻ってこーい」
「うおっ!?」
「きゃっ!」
後ろからの聲に俺たちはバッと離れる。後ろを向いたらコーサがいた。ビックリした。
「お前らイチャイチャするなら家でやれ。その狀態、ほかの奴らに見られたら誤解されるぞ」
そういえば俺まだ上半のままだった。危ない危ない。
「コーサも練習終わったのか?」
「おう!じいちゃんのところでみっちり練習してきたぜ!」
コーサの方も順調なようで、元気よく拳を握る。
そして俺はそれを見てし嫉妬する。
俺もちゃんとしたスキルならこうしてみんなと一緒に強くなっていくことができた。そう思うと俺は逃げ出したくなる。
なんで俺のスキルは【加速】なんだ
なんで俺はみんなと違うんだ
なんで俺はスキルをまともに使えない
なんでなんでなんでなんでなんで.......ッ!!
「イクス?怖い顔してるけど大丈夫?」
「はっ....!」
表に現れていたようで、フィアがし怯えたように顔を覗き込んできた。
「ちょっと気分が悪くてな。お、そろそろ戻らないとみんなが待ってるぞ」
「うん.......」
俺のその言葉にコーサとフィアは何も言わず、先を行く俺の後に続く。
その気遣いに俺は奧歯をし噛み締めた。
俺たちが戻るとまた子供達が寄ってきて遊び相手になってあげる。俺とフィアはの子のおままごとに、コーサは男の子と剣士ごっこにそれぞれ相手する。
そのまま安らかな時間が過ぎればよかったのだが、そうは行かなかった。
ある程度時間が経った時、広場に俺と同い年の男二人がやってきた。
「はは!何やってんだお前ら?こんなところで」
「楽しくおままごとか?」
そう言って俺たちのところまでやってきたのは、同い年のなかでは格がいいゴーテルと、小太りでいつもゴーデンとつるんでるフェスタ。この二人はいつも何かとちょっかいを出してく嫌な奴らだ。
二人が來たことで子供たちはし怯えて俺やフィア、コーサの後ろに隠れるようにする。
それを見てもゴーデンとフェスタはニヤニヤと笑うだけで、特に気にした様子はない。
俺は二人に尋ねた。
「何か用かお前ら」
「はっ、クズスキルに用はねぇよ」
その言葉にフィアとコーサがむっとする。
こいつらはよく俺を目の敵にしてくる。選定の前からもだったが、選定で俺が【加速】スキルだと分かると更に勢いづいた。
原因はまぁ、ゴーデンの視線がフィアに向いているのから想像してくれ。要するにフィアと俺がいつも一緒なのがこいつには気にくわないのだ。
「それよりさフィア。俺たちがスキルの練習してる間、ガキと遊んでる奴なんかほっといて俺と遊ぼうぜ」
その言葉に俺は歯を食い縛る。そして一歩踏み出そうとして、
「そんなことないッ!!」
そんなフィアの一聲に俺は振り向く。
フィアは怒った表でそして俺を庇うように聲を放つ。
「イクスはちゃんと練習してる!あなた達の見えないところで誰よりも!自分のスキルに諦めずに必死に!それをバカにする資格なんてあなた達には、ないっ!!」
普段は見せない剣幕のフィアにゴーデンはたじろく。俺もビックリだ。今までこんなフィアの表なんて見たことない。
そんなフィアに俺は嬉しさと、同時に悔しさを覚えた。フィアに嫌な思い出をさせてしまった自分の不甲斐なさに。
「た、たかが【加速】スキル、練習したところでなにが出來るってんだ!」
最初はフィアの剣幕に押されていたゴーデンだが、怯みつつも俺に向かって言い放つ。
それを見てフィアが言い返そうとしたが、俺はフィアの前に立ってそれを遮る。
これ以上フィアに嫌な思い出をさせるわけにはいかない。
だから不甲斐ない俺はこんなことしか出來ない。
「.......決闘しろゴーデン」
「は、はぁ?お前ごときが?はっ!笑わせてくれる!俺のスキルをしらねぇわけじゃないだろ」
俺のいきなりの決闘宣言にゴーデンは鼻で笑う。それもそのはず。ゴーデンのスキルは【剣】で、しかも同年代のなかではコーサとゴーデンしかいないAランク。どう見ても勝ち目はない。
だけど俺は引くことはできない。フィアが俺のために怒ってくれた。
なら俺も何かかなければいけない気がした。フィアに守られているだけでは俺はもう誰にも、フィア自にもを張れない。
「勝負は一本勝負。先にこれで一撃與えた方が勝利だ」
俺はそう言って念のため持ってきておいた木剣を抜く。
ゴーデンはそんな俺にニヤリと笑うとその手に持った木剣を振るう。
「はっ!雑魚がなに息巻いてやがる。いいぜボコボコにしてやるよ。俺のAランク【剣】でな!」
こうして俺はフィアの心配しる目をけながら、ゴーデンを戦うことになった。
崩壊世界で目覚めたら馴染みのあるロボを見つけたので、強気に生き抜こうと思います
仮想現実を用いたゲームを楽しむ一般人だった私。 巨大ロボを操縦し、世界を駆け抜ける日々は私を夢中にさせた。 けれどある日、私の意識は途切れ…目覚めたのは見知らぬ場所。 SF染みたカプセルから出た私を待っていたのは、ゲームのような巨大な兵器。 訳も分からぬまま、外へと躍り出た結果、この世界が元の場所でないことを確信する。 どこまでも広がる荒野、自然に溢れすぎる森、そして荒廃した都市群。 リアルすぎるけれど、プレイしていたゲームに似た設定を感じる世界。 混亂が収まらぬまま、偶然発見したのは一人の少女。 機械の體である彼女を相棒に、私は世界を旅することになる。 自分の記憶もあいまいで、この世界が現実かどうかもわからない。 だとしても、日々を楽しむ権利は自分にもあるはずだから!
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