《加速スキルの使い方!〜年は最速で最強を目指す〜》前世の記憶
深い深いまどろみの中。俺は不思議な浮遊に包まれている。ふわふわと摑み所のない覚が俺を支配している。
すると何かに引き寄せられるようにがまどろみから引き上げられる。そして目を開けると、そこは真っ白な世界だった。
壁も床も天井も真っ白で、そんなものあるのかも怪しいくらい何もないのだ。
見渡す限りどこも真っ白。いや、その中に一つだけ、この何もない世界に異があった。
「え?コレ.....ちゃぶ臺?」
俺が知・ら・な・い・は・ず・の・のの言葉を発する。それにちゃぶ臺の下の床は畳になっていた。
ちゃぶ臺の上にはお煎餅。
なんだ、ここを俺は知っているぞ。
そう、ここは、ーーー神の世界だ。
「あ、ようやく思い出したみたいだね」
その聲が聞こえた方を向く。そこにはいつのまにか襖が出現し、そこから和服姿の青年が現れた。
し長い金髪の髪を後ろでちょろりと結び、黒縁のメガネをかけ、左右それぞれ違う赤と青の瞳を持つ、和な雰囲気の絶世の青年だ。
俺はこの人を知ってる。
「えっと........久しぶり.....です。叡智の神フィルメトラ.......様」
叡智の神フィルメトラ。
森羅萬象全ての事を知り、世界を導く者にその知識を與えると言われる叡智を司る神だ。
世界には様々な神がいて、その神様がスキルを授けるとされている。
武系なら武闘の神ガレルーシャ。魔法系なら魔導の神フィクスス。鍛治系なら創練の神ヴァリロス。栽培系なら土の神ドーラスなどだ。
そして基本叡智の神フィルメトラは、知に関するスキルを授けると言われる。
そんな神が今目の前に立っている。
普通なら恐れ多くて平伏する場面だが、あいにくこの人神はそういう堅苦しいのを嫌う。
「どうしたんだいその取ってつけたような敬語は。まぁ、まだ記憶が定著しきってないから仕方ないんだけど」
「ええ。まだ慣れなくて」
慣れない口調に思わず苦笑いでフィルメトラに答える。この會話もどこか懐かしい。
「まぁ座りたまえよ。積もる話は山ほどあるだろう?」
「ええ」
フィルメトラに勧められて俺は畳に正座で座る。久しぶりだからし位置が悪い。
「さて、まず何から話そうか?取り敢えず、思・い・出・し・て・來・た・ん・だ・ろ・う・?」
「ええ、まだ報が多過ぎて把握しきれていませんが」
「じゃあ最初から始めた方が良さそうだね。君の記憶を整理するためにも」
俺は頷く。実際今も次々と報という名の俺の記憶が蘇ってくるのでありがたい。
「じゃあまず最初に。イクス君、君はーーー」
「すでに一度死んでいる」
あれは晴れた日だった。
俺の名前は阿澄優あすみゆうという名前で、大學四年生。就職はせずそのまま大學院に行く事を目指していた。
その日は夕方大學での卒業研究の帰りで、仲のいい友人と馴染みの焼屋に行って帰る途中だった。
「優。今度お前合コン行ってみないか?」
「今は研究で忙しいから無理だ」
「えー、行こうぜー。お前が來ると子がすぐ集まるから楽なんだけど」
「テメェ、俺をダシに使う気満々じゃねぇか」
「まぁまぁ、優。広樹もお前を楽しませようと思ってんだしさ」
「それはありがとう。でも悪いが本當に忙しいんだ。また今度にしてくれ」
「絶対だからな!」
そんな他もない會話をしながら、帰路に著く。友人の広樹と弦も同じ方向なので大抵時間が合う日は一緒にご飯を食べてから帰る。
(明日は先に実験記録取って教授にレポート提出で、それから.......)
頭で明日のことを考えながら歩いているその時、反対車線に稚園のバスが見えた。
バスの中から子供達が出てきて、親と一緒に手を繋いで歩いて帰る。ごくありふれた一コマだ。
「あ!ママー!」
そう言って小さなの子が反対の歩行者通路からこちらの通路にいる母親に手を降っている。
その時、の子は早く母親に會いたかったからか、こちらに向かって走ってきた。
だが、その時の真ん中の道路を向こうからトラックが走ってきてきた。しかもバスの影に隠れてトラックからはの子が見えていない。完全に死角にってしまっている。
母親が慌てて「ダメッ!!」とぶがの子はもう止まれない。
このままでは轢かれてしまう。
そう思った時にはすでにがいていた。
俺はカバンを放り捨て、地面を蹴って飛び出す。
前のめりに倒れるようにとにかく前に前に駆け出す。
(間に合、え......っ!!)
そして前に腕をばし、ばして、ーーーの子に屆いた。
俺はとにかくこの場から離すべくの子を突き飛ばす。後ろには何もないし、何かにぶつかることもない。り傷くらいは許してしい。
あとは俺も、そう思った時にはキキィイイイイイイイ!!!とブレーキの音を響かせながら目の前にトラックが迫っていた。
ドンッ!!
全に鈍い衝撃が発生。バキボキッという嫌な音がの中からしたと思うと、その衝撃に耐え切れず俺は飛ばされた。
「ぐっ、がっ!!」
數メートル浮き上がりかなり飛ばされる。そしてゴスッと地面に落下し、そのあと數メートルゴロゴロとを打ちつけながら転がっていく。
(........ダメ、だったか........)
どうやら間に合わなかったようだ。全が痛くて指先も微かにしかかない。
「おい、優!!しっかりしろ!!」
「誰か!すぐに救急車を!!」
「しっかりしてください!」
みんなが必死に俺に呼びかける。ヤバイ、しづつ意識が遠のいていく。
そうだの子は.......
僅かにく目でさっき突き飛ばしたの子を見つける。の子は突き飛ばされて泣いているようだが、特にケガはなさそうだ。
「ぁ、ぁあ.........よかっ.........た........」
そうして俺は意識をなくした。
「ーーーっとゆうわけで今に至ると」
「うん。そこまでは思い出せたようだね」
フィルメトラはそう言ってお茶を啜る。俺はせんべいを食べる。この味も久しぶりのものだ。
「で、そのあと君はこの天界に連れてこられて、今の君、イクス・アーラスとして転生したということさ。本當はもうししてから記憶の継承をしようとしたんだけど、なんとか上手くいってよかったよ。今の君の脳が継承の負荷に耐えられるか心配だったんだ。失敗したら弾け飛んで致し」
おい、なんてことをしてくれる。
でもまぁそのおかげでフィアを助けられたからよしとしよう。
「でもなんか実がないです。あくまで知識がそうだと言ってるだけで」
「まだ完全に定著してないからだろう。時期に定著するさ」
「あれ?でも阿澄優以外の知識もありますよ?」
「それは僕からのプレゼントさ。君が地球にあるすべての事について検索できるようにしてあげたのさ。人類が築いてきた叡智をすべて記憶させると脳が破裂するからね、検索で調べられるようにしてあげたよ」
試しに俺が今食べているせんべいの作り方について試しに検索してみる。するとし頭痛がした後、次々と知識が湧き出て來る。
「すごい.......どんどん出てくる。でもいちいち頭痛がするのはめんどくさいな」
「それはまだ使い始めだからさ。いずれ痛みもじなくなるよ」
なるほど。それなら取り敢えずフィルメトラの話を聞きながらせんべいについて調べていくか。帰ったら作ってみよ。
「それで、俺のスキルについてなんですけど」
「うん。僕があげた【加速】スキルだね」
「このスキルは俺が選んだ、と」
「そうそう」
そうなのだ。俺の持つ先手スキル、【加速】スキルは俺が選んだ。
「やぁ、はじめまして阿澄優くん。僕は神様です」
「....................え?」
俺が目を開けると目の前には形のメガネイケメンが立っていた。しかも自分のことを神様だと言う。何言ってんだこの人。
「何言ってんだコイツ、って思ってるね?」
「心が読める!?」
「いや僕にそんな能力はないよ。顔に書いてあったよ。.........とゆうか思ってたんだね」
自稱神様が落ち込んでいる。取り敢えず狀況がわからないので。
「それで、ここは一どこですか?」
周りは何もない真っ白な空間。全く何もない空間にぽつんとある畳にちゃぶ臺。ちゃぶ臺の上にはせんべいとお茶。
「ここは天界。神々が住まう場所さ」
「.........てことは俺はやっぱり死んだのか......」
「そうなるね」
あの時の痛みは今でも殘ってる。あれが噓だとは思えない。そうなるとここはやっぱり死後の世界で、目の前の人は神様なのか?
「後悔はしているかい?」
神様はそう言って俺を真っ直ぐに見つめる。
だから俺も真っ直ぐに言い切る。
「していません。確かに殘して來たものはあるけど、それでも子供の命を救えたのだから後悔しません。それにあのまま何もしなかったらその方が俺は後悔します」
「..........そうかい」
そういうとフィルメトラは優しく微笑んだ。
なんだか神様にそうやって微笑んで貰えると俺も嬉しい。やっぱりあの選択は間違っていなかったんだと思えるから。
「さぁ、神様。俺を連れて行ってください。.........できれば天國がいいなぁ〜なんて」
「ん?ああ、違う違う。君は楽園に連れて行かないよ」
え?どういうことだ?俺を天國に連れ行かない?てっきりここは中継場みたいなものだと思ったんだけど.......も、もしかして
「ま、まさか地獄!?そんな!俺何も悪いことしてないですよ!?」
「いやいや。それも違う違う。ごめんね説明不足だったよ」
「??」
焦る俺に神様は「コホンっ」と咳払いすると、どこからか持ち出したホワイトボードに書き出して行く。
「本來人間は死んだらそのまま直接冥界か楽園に送られ、ここに來ることは普通はあり得ないんだ」
「え?じゃあどうして俺はここに?」
「それも今から説明しよう。君にはこれから三つの選択肢を上げようと思う」
「三つ........」
「まず一つ。このまま楽園に送られる。しかも楽園でも特別な上位の分を與えて送ってあげる選択」
つまり普通に楽園に行くよりもより良い楽園生活が送れるってことか。なかなかいいな。
「二つ。阿澄優としての記憶を失い、地球で生まれ変わる。この時君のむスキルを授けて上げよう」
「スキル?それってゲームとかでよくある?」
「そうそう」
神様が今度は新しいボードを出現させ、そこにスキルとはなにかと書き込んでいく。とゆうか手書きなんだな。
「スキルは君たちの言うところの《才能》だ。例えば【言語理解】のスキルなら外國語とかの言語を理解しやすくなったり、【剣】スキルなら天才的な剣の才能を授ける、といった合さ」
「ヘぇ〜」
「スキルにはランクがあってね。高いほどすごい才能を発揮する。君たちの歴史だとニュートンやアインシュタインなんかはSランクの【學者】スキル。織田信長はランクSの【覇王】スキルだったね」
「すごい。そんな有名人が」
そんな才能を自分で選んでいいと言うことか。これなら次の人生では功を約束されたようなものだ。
「しかも君に授けるスキルは全て最高ランクであるEXで授けよう。【剣】スキルなら人類史最強の剣豪に、【學者】スキルならニュートンやアインシュタインを超える大天才に」
「おぉ!」
「ここまでが二つの選択肢だ。そして最期の選択肢なんだが。三つ目は今の記憶を持ったまま別の世界で転生する」
「別の.....世界......」
正直そう言う選択肢があるんじゃないかとは思ってた。こういうのはいわゆるテンプレやお約束といったやつだ。神様がいるんだからあり得ない話じゃないと思ってた
「でも転生なんですね。こののまま転移はできないんですか?」
「君のは死んでいるが、修復して送ることもできないことはない。けど、世界を渡る時には大きな枷となる。君たちの世界で異世界召喚なんてものがあるが、あれは世界と世界の隔てりを、が通ることのできるほどのを開ける必要がある。そんなことをすれば君たちの世界に大きな影響を及ぼす」
「つまり召喚はリスクが高いからできないと?」
「そうなるね。それで、どうする?急がなくてもゆっくり考えればいい」
このまま天國に行くか、地球へ帰るか、もしくは異世界に行くか。どれを選んでも最高の人生になることは間違いない。
だったら悩む必要はないな。
「決めました。俺は異世界に行きたい。この目でまだ見たことない世界を見てみたい!」
「決まりだね」
「それで、異世界ってどんなところですか?」
「僕の管轄する世界は大似たようなものが多いかな。君の想像している異世界とほぼ同じと思っていい。時代は君たちの時代の中世くらいで、君たちの科學の代わりに魔法が発達した世界だ」
「魔法!魔法があるのか!」
ゲームやアニメで魔法に憧れたのは俺だけではないはず!魔法があるとなると俄然期待が高まる。
「それじゃあスキルを選びたまえ。スキルは數え切れないほどある。この本に書いてあるからじっくり考えてみるといい」
神様がまるで電話帳の三倍くらいの本を渡してくる。中を見ればスキルとスキルの説明がビッシリ細かく乗っていた。速読や論文読みは得意だが、これを読むのは中々骨がいるぞ。
「じゃあ決まったらこのベルで呼んでくれ。僕はし別の神界に行ってくるよ。なんでも神同士が喧嘩を始めたらしくてね。このままだと星が滅びかねない。......まったく、ガレルとフィクススめぇ......!僕の仕事を増やしやがって.....!!」
笑顔の神様の顔に怒りマークが浮かんで握り拳を掲げてる。てか喧嘩で星が滅ぶとかどんだけだよ。
「じゃあまた」
そう言って神様はいつのまにか手に刀と肩に弓を擔いで現れた時と同じように襖を開けて出て行った。思ったけど和服や畳、刀や弓といいあの神様和が好きなんだな。
「さて、読みますか」
それから俺は候補を絞りながら3日かけて本を読して行った。
何も食べたり飲まなかったが、不思議と空腹や睡魔に襲われることはなかった。あ、死んでるからか。
「ふぅ、戻ったよ」
「あ、おかえりなさい神様」
「そういえば名前を言ってなかったね。僕は叡智の神フィルメトラ。フィルでいいよ。様とか堅苦しいのは嫌いなんだ」
「じゃあ、フィル。選んだよ、スキル」
「おっ、じゃあ聞かせてくれるかい?君の選んだスキルを」
スキルは富にあってどれにするか悩んだ。【剣】【賢者】【魔法剣】【全屬魔法】など一つを選べないほどあった。
でも、最終的に俺は実は最初から気になっていたものを選んだ。それはーーー
「俺は【加速】スキルにするよ」
「【加速】スキルかい?」
フィルが意外そうに俺を見てくる。まぁ數多あるスキルの中で、クズスキルなんて呼ばれてるらしいスキルを選んだんだからそれもそうか。
でもだからこそそこに可能をじた。EXによるスキルの可能を。
どうせ二度目の人生。だったら楽しく生きてもいい気がする。
「本當にそれでもいいのかい?」
「ああ。俺はこれで第二の人生を歩んでみたい」
「.......わかったよ。だったら【加速】スキルを君に授けよう。け取りたまえ」
フィルが片手を俺に向ける。するとが暖かいに包まれたと思うと、頭の中にスキルの使い方が流れ込んでくる。そして、EXとしての能力も。
「驚いた。まさか【加速】スキルにこんな使い方があるなんて」
「フィルも知らなかったのか?」
「僕も全てのスキルの能力を知っているわけではないからね。それに超越したスキルはその人の潛在能力で発言する能力も変わってくる。どうやら君とこのスキルは相が良かったようだね」
『全ての加速』これは使い方次第ではどこまでもびるだろう。
これからどういう風にびていくか楽しみだ。
「さて、これでスキルの方は決まったね。あとは記憶の方だけど、これは君が転生して記憶の継承に耐えられるまで長してから行うよ。だいたい15〜16歳くらいかな?」
「わかった」
「よし、それじゃあ全部決まったから転生と行こうか」
俺は立ち上がっていつのまにか現れていた魔法陣の上に立たされる。フィルが何やら呪文を唱えると、途端に魔法陣がり出し高速で回り始めた。
それと同時に俺がり出して足の先から粒子になって行く。痛みはない。ただただ溫もりに包まれている。
「それじゃあね阿澄優くん。君の第二の人生が幸福であることを願うよ」
こうして俺は転生し、阿澄優からイクス・アーラスへと生まれ変わったのだ。
「そういうわけだ」
「そうでしたね。思い出してきました」
フィルの説明で俺もようやく記憶との整合が取れた。
「それで君ぃ〜自分で選んでおいて散々に言ってくれたねぇ〜?んん〜??」
「そ、それはまだ思い出してなかっただけで.........あ、あははははは!すんませんしたぁああああッ!!」
フィルがものすごい笑顔。俺はめっちゃ謝った。だって覚えてなかったんだぜ?仕方ないじゃん?
「まぁ、仕方ないね。イクス・アーラスとしての価値観ではそうなんだから。けどこれで君のスキルは信じられるものだったってことがわかっただろ?」
「ええ。思い出せました。俺のスキルを」
あの時のスキルの選択。それは間違ってなどいなかった。それはフィアを、みんなを救えた今だから言える。
「ごめんな。散々バカにして」
相手は人ではないけど、でもそう謝らなければならないと思った。このスキルがあったおで俺は大切な人達を守れたんだから。
「そういえば気になってたんですけど、フィルはどうして俺をこうして転生させてくれたんです?」
最初から疑問だった。確かに俺は子供を助けたが、でも言ってしまえばそれだけ。これと言って俺は特別な人間では無いし。
「それなんだけど実はね.......」
フィルがちゃぶ臺に肘を付き、口元を手で隠して真剣に俺を見つめてくる。只ならぬ様子に俺も背筋がびる。それほど大事なことなのか?
「僕が......ーーー」
ゴクリと唾を飲む。そしてフィルは口を開き、ーーー
「小さいの子が大好きだからさっ!!」
靜寂が支配する。
あまりの衝撃に俺も固まる。アニメならここで「ぱっぽー」と鳩が鳴いてるタイミングだ。
數分置いてようやく狀況を理解した俺は取り敢えず、
「ただのロリコンじゃねぇか!?」
でツッコミをれる。コイツ、なんて清々しい顔でとんでもねぇことを暴しやがる。
「違う!僕はロリコンでは無い!ただ小さいの子が大好きなだけなんだ!」
「それを世間一般ではロリコンって言うんだよ!」
「失敬な!僕はYESロリータNOタッチをわきまえる紳士だぞ!」
「立派なロリコンじゃねぇか!?」
まさかの神様の癖に俺は敬語も忘れてんだ。つまりあれか?俺は小さいの子を命懸けで助けたからその褒として転生した、と?なんだかものすごく頭が痛くなったぞぉぉぉ〜.........
閑話休題。
一旦二人とも落ち著いてお茶をすする。
「それでロリ神様」
「待ちたまえイクスくん。僕の呼び方が聞き捨てならない癖丸出しの呼び方になってるよ。あと敬語もなんか他人行儀に」
「ハハハハハ、そんなことありませんよ。ロリの神フィルメトラ様」
「違うからね!?僕は叡智の神だからね!?」
再び閑話休題。
「まったく、神をロリコン呼ばわりしたのは君が初めてだよ」
でしょうね。
「でもねイクスくん。僕は小さなの子を助けたから君を転生させたわけでは無いんだよ?」
「え!?」
「なんだいその心外そうな驚きは」
絶賛株価大暴落中の神様だもん。
そんな俺の反応に、「はぁ」とため息をついて俺を見る。
「僕は君の行力を評価しているんだ。困っている人を助けるのは當たり前、なんて言う人は沢山いるが、実際に行に移せるのは極々僅かだ。普通の人間はあの場面では咄嗟にくことも、ましてや自分のことを考えずただただ相手を救うことを考える人はいない。そんな君だから僕は助けて選択肢をあげたんだ」
「そう、だったんですね......」
なんだかそうして褒められると恥ずかしい。こうした一面だけなら、この神様はとても尊敬できる。
などと思っていると突然意識がぼんやりとしてきた。ここに來る前と同じような浮遊がを支配する。
「おっと、そろそろ時間か。久し振りに話せて楽しかったよイクスくん。ここへは夢の世界から行けるようにしておいたから、來たくなればいつでも來るといい」
フィルが言ってる言葉はわかるが、だんだん目の前がはっきりと認識できなくなって來たあ。
「さぁ、行きたまえイクス・アーラス。みんなが君を待ってるよ」
こうして俺は意識を手放した。
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