《神様との賭けに勝ったので異世界で無雙したいと思います。》第32話 遠視
「無理……もう無理です……とりあえず無理です……」
秋山さんがいつだかの僕みたいなことを言っていた。
僕たちが今いるのは馬車の中。
僕、姫木さん、栗田さん、そして、絶賛馬車酔い中の秋山さん。
「秋山さん大丈夫? し止めてもらおうか?」
秋山さんの背中をでりながら聲をかける。
大丈夫……じゃないような大丈夫なような……あ、やっぱり無理……と、葛藤してる言葉が返ってくるんだけど秋山さん明らかに無理してるよね……ていうか無理って言ってるし。
キラキラしたものが出そうになっている。
僕としては出した方がすっきりすると思うんだけど、の子には意地があるんです……とか言っていた。
確かにの子がキラキラするのは抵抗があるんだろう。
男にもあるけどの子の方があると思う。
だからなのか秋山さんは必死に耐えていた。
「治癒スキルは?」
「さっきからやってるんだけど効果薄いみたい」
王城を出発してからもう4日。
秋山さんは今だに馬車に慣れていない。
1日目あたりはファンタジーっぽい! とか言ってそれなりに元気だったんだけどね。
「それにしても仲間……見つかるでしょうか?」
栗田さんの言葉に「んー」と、返事とも言えないような言葉を返す。
僕たちがなぜ王城を出たか。
それは、魔王を倒すため。
そのための強い仲間を探すため。
そして、父の手記に書かれていた―――死者の蘇生。
セラさんが書庫から持ってきてくれたそれに書かれていた忌のスキル。
もしも……それが本當に葉うのなら、僕はもう一度リリアに會いたい。
會って話したい。
リリアに、あの言葉に対して自分の気持ちを伝えたい。
だけど、正直どうすればいいのか……手がかりすらないのが現狀だ。
魔王を倒す旅……そして、その死者の蘇生ができるスキルについて調べる。
それがこの旅の目的だ。
々裝備やら食料やらお金に類なんかの餞別は貰っている。
だけど無限にあるというわけでもないのでどこかで稼がないといけないときは來るだろう。
不安はある。
授業である程度の常識は習ってはいるけど果たして僕たちだけでやっていけるだろうかと。
皆がいるから心強いことは心強いけど。
そして、この旅だが……勿論なんのアテもないわけではない。
この世界にも冒険者という存在がいるらしく、その冒険者組合の本拠地……ようするにギルドだね。
世界最大規模の冒険者ギルドがある冒険者の街グラントニオへ向かっていた。
「うぅ……まだですか?」
「まだ半分も來てないよ」
それと無斷で書庫を開けたセラさんだけど……逃亡中だ。
あの人ほんとに半端ない。
自由すぎる。
いや、今僕結構サラッと言ったけど普通にあり得ないことだと思う。
個人が文字通り國レベルの権力から逃げるって……だけど、セラさんだから何とかなりそう……と思うのはやっぱりあの人がセラさんだからなんだろう。
ただ……セラさんが僕に伝えた予言。
それが一番気がかりなところだ。
僕は世界とを天秤にかけての方を選ぶと……僕が破滅を選ぶと言っていた。
果たしてそこまでするだろうか。
セラさんはまず間違いなく的中すると言ってたけど……今は何とも言えない。
あのセラさんが拠のないことを言うとは思えない。
だけどああは言ったものの的中するか分からないのが予言というスキルのはずだ。
未來が絶対當てれたら苦労しない。
だから、僕はその予言に関しては未だに行を起こすことが出來ていない。
しかし、なんにせよ報は必要だった。
「あの、ほんとに休んだ方がいいのでは?」
「うぅ……でも……」
リリアの死は僕たちになくない衝撃を與えていた。
僕は勿論のこと秋山さんの中でも何かしら思うところがあったようで……まあ、それはそれとしてさすがに無理は良くない。
休めるときに休まないと駄目だと思う。
「すいません、この近くに休めるような場所はありませんか?」
者の人に聞いてみる。
するとタイミングよく村があったらしい。
そこに止めてもらった。
そうして小さな村に馬車を止める。
西部劇場みたいなじの村。
だけど人は結構多かった。
グラントニオに行く人が多いのか皆冒険者みたいな裝備をしている。
者の人は馬を休ませて馬車を簡単に點検していく。
僕たちも秋山さんを休ませる。
「うぅ……」
「どこかから水でも貰ってきます」
「飲み水なら殘ってるでしょ?」
「いえ、どうせなら冷たいものがいいかなと思ったので」
なるほど、確かに酔ってるときに生溫い水というのも可哀想だ。
姫木さんと栗田さんはそのまま酒場の方へと向かっていく。
僕は秋山さんを一人にはしておけなかったのでこの場で待機だ。
「ぅう……すみません、佐山さん……」
「気にしなくていいよ。今はゆっくり休んでて」
そうしてしばらく秋山さんの隣でボーっとする。
人は疎らだけどいないわけじゃないらしい。
と、ふいに気になった。
とある大きな一軒家の前に小さな人だかりができてる。
いや、違うな……あそこは、酒場かな?
なんだろう?
「秋山さん、ちょっと頼んでもいい?」
「な、なんですか?」
「あそこ見てほしいんだけど」
見てほしいというのは秋山さんの習得した新しい力のことだ。
―――『遠視』。
僕が言うことでもないけど凄く強い力ってわけじゃない。
スキルではなく魔法なのだそうだ。
目が良くなる力。
うん、まあ地味だよね。
だけど秋山さんは初めて魔法を覚えることが出來たと喜んでいたので水を差す必要もないだろうと思っている。
実際こうして役立つ場面もあるんだしね。
「……なにか、やってますね」
「なにかって?」
「地面に落ちてる……石ですかね? それを拾い合ってます」
「石?」
何それどういう狀況?
気になったけど秋山さんを置いていくわけにもいかない。
ううむ、歯がゆい。
と、その時丁度姫木さんと栗田さんが戻ってきた。
「果実水を貰ってきました。飲めますか?」
「あ、ありがとうございます……」
栗田さんからけ取りを鳴らして飲んでいく。
だいぶ楽になったようだ。
顔も良くなっている。
「あの……あっち行ってみませんか?」
「え? もういいの?」
「だ、大丈夫です……だいぶ良くなったので」
それに……と、秋山さんが言う。
「私も気になりますし」
ふむ……本人がそう言うなら大丈夫なんだろうか?
それに僕も気になるし……
そんなわけで僕たち4人はその人集りの方へと行ってみた。
じょっぱれアオモリの星 ~「何喋ってらんだがわがんねぇんだよ!」どギルドをぼんだされだ青森出身の魔導士、通訳兼相棒の新米回復術士と一緒ずてツートな無詠唱魔術で最強ば目指す~【角川S文庫より書籍化】
【2022年6月1日 本作が角川スニーカー文庫様より冬頃発売決定です!!】 「オーリン・ジョナゴールド君。悪いんだけど、今日づけでギルドを辭めてほしいの」 「わ――わのどごばまねんだすか!?」 巨大冒険者ギルド『イーストウィンド』の新米お茶汲み冒険者レジーナ・マイルズは、先輩であった中堅魔導士オーリン・ジョナゴールドがクビを言い渡される現場に遭遇する。 原因はオーリンの酷い訛り――何年経っても取れない訛り言葉では他の冒険者と意思疎通が取れず、パーティを危険に曬しかねないとのギルドマスター判斷だった。追放されることとなったオーリンは絶望し、意気消沈してイーストウィンドを出ていく。だがこの突然の追放劇の裏には、美貌のギルドマスター・マティルダの、なにか深い目論見があるようだった。 その後、ギルマス直々にオーリンへの隨行を命じられたレジーナは、クズスキルと言われていた【通訳】のスキルで、王都で唯一オーリンと意思疎通のできる人間となる。追放されたことを恨みに思い、腐って捨て鉢になるオーリンを必死になだめて勵ましているうちに、レジーナたちは同じイーストウィンドに所屬する評判の悪いS級冒険者・ヴァロンに絡まれてしまう。 小競り合いから激昂したヴァロンがレジーナを毆りつけようとした、その瞬間。 「【拒絶(マネ)】――」 オーリンの魔法が発動し、S級冒険者であるヴァロンを圧倒し始める。それは凄まじい研鑽を積んだ大魔導士でなければ扱うことの出來ない絶技・無詠唱魔法だった。何が起こっているの? この人は一體――!? 驚いているレジーナの前で、オーリンの非常識的かつ超人的な魔法が次々と炸裂し始めて――。 「アオモリの星コさなる」と心に決めて仮想世界アオモリから都會に出てきた、ズーズー弁丸出しで何言ってるかわからない田舎者青年魔導士と、クズスキル【通訳】で彼のパートナー兼通訳を務める都會系新米回復術士の、ギルドを追い出されてから始まるノレソレ痛快なみちのく冒険ファンタジー。
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