《神様との賭けに勝ったので異世界で無雙したいと思います。》第42話 問い
僕たちは引きけた依頼通りドラゴンに會いに來ていた。
人數は勇者メンバーの4人。
僕、姫木さん、秋山さん、栗田さんだ。
「ここですね」
ドラゴンがいるという場所は意外と近かった。
僕たちがエルフの里に來たところから湖を超えて1キロほど。
木々が開けたその場所に鳥の巣みたいなのがあった。
木の枝とかを編み込んだあれである。
だけど大きい……
僕よりなんかよりも全然大きくてなくとも10m以上はあるように見える。
そして、何より目を引くのがその上にを丸めるようにして眠っている一匹の竜。
眠っている間に鑑定しておこう。
――――――
ファフニール(火竜族)
56歳
Lv34
生命 1620
攻撃 1010
防 1060
魔力 550
俊敏 410
幸運 890
スキル 言語、化、竜撃、強化、火炎、龍力
―――――――
ついでに相手は隙だらけなので神眼スキルで能力の詳細を閲覧した。
半分くらい見たことない力だからね。
えーと、言語が意思の疎通ができるようになるスキルで、化はまんまだね。くなる力。
竜撃が攻撃力を高める力で、強化が僕と同じように能力の強化、火炎が火屬系統の攻撃が強くなるスキル。
最後の龍力が強化の上位版みたいなじかな?
攻撃特化のスキルだ……ステータスはレベルを考えたらかなり高い。
この辺りは種族差だろう。
ただ子供のドラゴンって聞いてたけどそれでも56歳もあるのか。
そこで丁度僕たちに気付いたらしいドラゴン……ファフニールが目を開けた。
半分ほど開いてこちらを確認してくる。
「……なんだ、お前たちは?」
聲で地面がびりびりとするような威圧。
鼓に響くその聲量には強者としての凄みがあった。
「エルフの人たちに頼まれてきました。鱗を譲ってもらえないでしょうか?」
「いいだろう」
あっさりと言われる。
え、いいの? と、僕たちがあまりにも簡単に事が運んだのを驚いているとドラゴンはその大きな口の端を持ち上げた。
「ただし、馬鹿に渡すつもりはない」
ああ……やっぱり聞いてた通りの展開か。
「エルフ共から話は聞いているか?」
「問題に答えることができたら譲って頂けると聞きました」
と、姫木さんが答える。
栗田さんと秋山さんはちょっと腰が引けてる。
まあ無理もない。
子供とはいえこの巨は怖い。
「ああ、その通りだ。私にお前たちの知を証明してみせろ」
んーでも、答えれる気がしないんだよね。
聞いた限りでは知恵でどうにかできる問題じゃなくて、本當にこの世界の報に詳しくないと答えることができない。
長壽のエルフでも分からなかった答えを果たして僕たちが分かるかどうか……
「質問は3回まで許そう」
「え、いいんですか?」
エルフの人たちはそんなことは言ってなかったけど。
僕がそう聞くとドラゴンはどこか馬鹿にしたように言ってきた。
「どいつもこいつも馬鹿ばかりで退屈していたところだ。それに、エルフ共に答えることが出來なかったのに人族に分かるとは思えないからな」
おおっと、舐められてるね。
だけど好都合だ。
それでこちらが有利になるのなら好きなだけ舐めてもらいたい。
「では、問おう。この世には決して破壊することができないものが存在する、それはなんだ?」
予想通り知識を試される問い。
んーとりあえずファフニールに待ってもらいみんなと相談することに。
「アダマンタイト鉱石というものがとてもいと習いましたけど……」
と、姫木さん。
優等生らしく真面目な回答。
「……世界、とか?」
と、秋山さん。
わりと捻った回答に思えるけど違う気がする。
世界ならこの地面も世界の一部と言える。
地面を掘って破壊できた、と言われればそれで終わりだ。
「あ、ダイヤモンドとかどうでしょう?」
最後が栗田さん。
けどそれも違うだろう。
この世界にダイヤがあるかどうかが分からない。
質問すれば分かるだろうけど、いことで知られるダイヤモンドは意外と脆いことでも知られている。
ハンマーで簡単に砕ける映像を以前テレビで見たことがある。
「質問はどの程度まで有効なんでしょう? 答えはこれですか? っていう質問は許されると思いますか?」
「答えは何ですか? とかじゃない限りおそらくできると思います……それも考えられてる問題と質問なんじゃないかなと」
ファフニールが、ほう? と嘆の息をらした。
「その通りだ。どうやら思っていたほど馬鹿ではないらしいな」
お、ここでそれが聞けたのは大きい。
細かいことだけど確認しなくても良くなったからね。
本格的にファフニールは僕たちには分からないと思っているようだ。
けど、その導のような挑発に乗るわけにはいかない。
「もしその形で質問したらかなり限定的にしか絞れないよ? もっと範囲を広くしないと僕たちじゃ答えには辿り著けないと思う」
んー……と、頭を悩ませる。
悩ませるけど答えを斷言できるほどに搾り込める質問は思いつかない。
「ふっ、好きなだけ悩むがいい、どうせ分かるまい」
と、完全に舐め切った様子のファフニール。
僕たちが頭を悩ませていると姫木さんが言ってくる。
「あの、佐山さん」
「ん?」
「質問と回答ですが、お任せできないでしょうか?」
「え、僕?」
姫木さんはこくりと頷く。
秋山さんと栗田さんの方を見ると何も言ってこない。
どうやら異論はないらしい。
「正直私たちでは全く分からないので」
この世界の知識が必要な問題なら僕と皆にそれほど違いはない気はするけど……
すると皆は言ってくる。
「いいんです。皆分からないなら誰が答えても同じですよ。それなら佐山さんに任せたいなって」
「まあ……それに駄目で元々ですからね」
「な、なんとなく佐山さんならどうにかしてくれる気がするんですよね……ガリウスさんにも勝ってましたし」
皆の信頼が凄いプレッシャーを與えてくる。
だけど……ここまで言われたら引きけない訳にもいかないな。
「分かった、任された」
僕は退屈そうに待っていたファフニールに向き直った。
「回答者はお前か」
「そうなりました」
「誰だろうと同じだ、さっさと終わらせるぞ」
さて、狀況のおさらいだ。
質問は次のものだ。
『この世には決して破壊することができないものが存在する、それはなんだ?』
一見するとこの世界の人間じゃない僕たちには難解に思える。
今までエルフに出された質問と同じように知識量がものを言う問題。
だけど、僕には3回の質問の権利が與えられている。
それはこのファフニールの油斷だ。
絶対のチャンス。
これは無駄にするわけにはいかない。
「さあ、質問は?」
僕はし悩んだ末に一つ目の質問をした。
「もし質問、あるいは回答をした場合……その質問と回答が正しいかどうかを確かめさせてもらえますか?」
目の前のファフニールと後ろの皆が一斉に首を傾げた。
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8 141初心者がVRMMOをやります(仮)
親の頭があまりにも固いため、ゲームはおろか攜帯すらもっていない美玖(みく)。このたびめでたく高校一年生になりましたので、今まで母方祖母に預かっていてもらったお金でVRMMORPGをやることに決めました。 ただ、周囲との兼ね合い上、メジャーなものはやりたくない。親の目を盜んですることになるから、ヘッドギアは小さなもの。そして月額料金は発生せず、必要に応じて課金するもの、と色々條件を絞ったら、「TabTapS!」というゲームにたどり著いた。 ただ、このゲーム初心者がやるにはかなり厳しいもので……
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