《ファルダーミール -明日の世界-》第47話 クリスタル

ピンポン!

どうやら、やっと地下病院のある階に著いたようだ。

いまだにネムはこちらを睨みながら警戒をしている。

「ネム、著いたぞ」

「わかりましたニャン」

そういって、エレベータの扉が閉まらないように開閉ボタンを押している俺の橫を足早に通り過ぎるネム。

どんだけ、警戒しているんだか......。

そんなことを思いつつ、俺もエレベーターから降りる。

「何処に地下病院があるんですかニャン?」

エレベーターを降り、自販売機などが置いてある広間に出たネムが質問をしてくる。

「こっちだよ」

俺は、自販売機の橫にある狹い通路を進む。

「……」

警戒しているのかなかなかこちらに來ないネム。

「置いていくぞ」

「しかたありませんにゃん」

ネムは渋々といった顔で俺のった狹い通路を通ってくる。

その狹い通路を進んだ先には、無骨な鉄の扉があった。

カヤトはその無骨な扉の取っ手に手をかけ、扉を開ける。

扉を開けた瞬間、病院獨特の消毒臭い香りが漂ってきた。

「失禮しますニャン……」

恐る恐る病室にっていくネム。そんなネムの後ろ姿を見ながら、カヤトはリュックからダンジョンで拾った寶石を取り出していた。

ライフ・クリスタルは現狀、ネムの頭の上に浮いている。

「すいません~!!誰かいますか?」

ネムが呼びかけると、奧の部屋から白を著たが登場する。

そのはネムを見ると 目を細めながら聲をかける。

「おや、いらっしゃい。可らしいお客さんだね~」

「こんにちはですニャン」

「あら、しっかり挨拶ができて偉いわね。君は一、誰なのかな~?」

「俺の連れだよ」

カヤトが割り込む。

「なんだい、カヤト君の連れだったのかい?でもおかしいね~君はダンジョンに行くときは一人だったはずだよね~?」

ごもっともですね。

「それはだな……」

アムネシアを奧の小部屋に連れていき、事を説明する。

「なるほどね~君もなかなか隅に置けないね~」

ニヤニヤといやらしいニヤケ顔するアムネシア。

「違うわ!?」

カヤトは否定する。

「怒るところがまた......」

「ハァ~、もうどうでもいいや」

何を言っても上げ足を取られてしまいそうなため否定することをあきらめたカヤト。

「なんだ、詰まらないな……それよりも、しっかりとライフ・クリスタルは回収してきてくれたのかい?」

「あ?ああ......ほら、ネムの頭の上に浮いているだろう?」

「なんだい、あれだったのかい。大きすぎて別の鉱だと思ってしまったよ。しかし、凄いねあの大きさは!ダンジョンの心臓と呼ばれるだけはあるね。僕もあの大きさのライフ・クリスタルを見たのは初めてだよ。研究が捗りそうだ!!」

一方そのころネムはカヤトと醫さんが奧の小部屋にって行ってしまい暇になってしまったため、誰も寢ていないベットに腰掛けていた。

しうとうとし始めてきた時、小部屋の扉があく。

「やあ、すまないね。ネムちゃん、し話し込み過ぎてしまったよ」

「いえ、別に大丈夫ですけど……あ!」

「ん?どうかしたのかい?」

ネムは目の前の醫の著ている白の隙間から見てしまった。いや、何も見えなかった。本來であればに著けているであろう下著が!!

この時、ネムはカヤトさんが言っていたことは本當だったんですね。と思ったのであった。

「いえ、その。下著履いていないんですね」

「なんだい、そのことかい。下著なんてめんどくさいから履いていないよ!!」

「そうなんですかニャン」

「そうだよ!!」

ドヤ顔するアムネシア。

いや、別にドヤるほどのことではないと思うのだが。

「それよりもアムネシア、約束を果たしてもらおうか?」

「ああ、そうだったね。君のお仲間を治療するという約束だったものね。それじゃ、ネムちゃん、そのライフ・クリスタル貸してくれるかな?」

「あ、はい。わかりました」

ネムは風の魔法で浮かせていたライフ・クリスタルをアムネシアの方へと持っていく。

「ありがとう、ネムちゃん」

「それで、どうするんだ?」

「そんなに焦らなくても大丈夫だよカヤト君」

そういって、どこから取り出したのか。右手にハンマーのようなものを持ち、ライフ・クリスタルを毆りつけるアムネシア。

カン~~~~!!

甲高い音が鳴り響き、ライフ・クリスタルが一部かける。

その欠けたライフ・クリスタルを手に持ち何か呪文を唱えるアムネシア。

「??????????????」

俺には、何を言っているのかは分からない。

「準備は出來たよ?カヤト君、あとはこれを西城君の心臓に刺せばいいだけさ」

サラッと、騒なことを言うアムネシア。

「これを刺すのか?」

「そうだよ」

「死んじまわないか?」

「大丈夫だから早く刺してあげなよ」

「わかった」

俺は西城が寢ているベットの橫に立ち、西城の心臓があるであろう骨部を狙ってライフ・クリスタルの欠片を振り下ろす。

グチュリ

人のに何かが刺さる嫌な音がするとともに、ライフ・クリスタルの欠片が西城のに飲み込まれていく。

次の瞬間、西城のが激しく緑ったかと思うと止んだ。

「うん、ううん?おはようカヤト」

そんな呑気な聲で西城が目覚めた。

「おはよう西城」

「ここは、何処なんだ?カヤト」

「ここは、地下にある病室だ。このの人がお前を治してくれた」

「……ありがとうございます」 

西城はアムネシアの方を向きお禮を言う。

 「いいや、たいしたことではないよ」

その後、隣のベットで寢ていた花子にも同じことをし、今回の冒険は終了した。

後日談ではあるが、目覚めた西城はその日の夜飯を10ハイほど食べたらしい。

  本人から聞いた話だからおそらく本當だろう。

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