《ファルダーミール -明日の世界-》No/11

『それは……その……』

  顔を赤らめながらモジモジとしだす、キツネ

「……それじゃ」

 『待つのじゃ!?』

「なんだ」

 『それは…………さび……からじゃ』

  蚊の鳴くような聲で呟く神。

「へ?」

  聲が小さすぎて聞こえなかったため聞き返すカヤト。

  『えぇい!?久しく人が來たから嬉しいのじゃ!?それじゃから、すぐ立ち去られるのが寂しいのじゃ!!……ハァーハァー』

   覚悟を決めて、勢いよく話す狐神。早口で喋ったためか、息切れをおこしている。

 「……」

  カヤトは神を見つめる。

 『……うにゃ~!!』

  沈黙に耐えられなくなったのか、神が変な聲をあげる。

 「……」

 『何かしら反応したらどうじゃ!お主よ!?』

 「と、言われてもな。なんと返していいものか悩んでいた」

 『それならば、せめて「そうなのか」ぐらいの一言いったらどうじゃ!』

 「すまんすまん、そこまで考えが及ばなかった」

 『……』

  プク~とハムスターのように頬を膨らます神さま。

 「すまない、神がまさか悲しむようなを持っているとは思わなくてな」

  神とは本來、無の存在であり、人とはあまり関わらない筈なのだが、どうやらこの狐耳神は違うようだ。

 『それは、あれじゃ。生まれて間もない神じゃよ!!』

 「ほうー、そうなのか。これは、初知りだ。じゃ、お前は生まれてからどのくらい経つんだ?」

 『……お主、失禮じゃな。いくら神と言えども一応はなのじゃぞ?』

 「……」

 『なんじゃ!?その反応は!そうは見えぬというのかの!!小さいからと言ってバカにしてはならぬぞ!?』

  こちらに指を指しながら、勝手に起こりだす狐神。

「いや、別にそういう意味を込めて反応をしたわけじゃないのだが……」

 『噓を!……噓を?…………どうやら、本當に我をバカにしておるわけではないようじゃな』

 「あぁ、そうだよ」

  この神さま、なんというか……表現がかだな。

  俺の中での神のイメージが音を立てて崩れていくのをじる。

 『すまぬの~』

 「こちらも、誤解するような反応をして悪かった……」

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