《異世界チートで友達づくり(仮)》ベル・アークス②

「じゃあ俺はこれで…」

と言って立ち上って家を出ようとするとベルがドアの前で両手を広げて行く手を阻む。

「待って!…今からどこ行くの?」

ちょっと頬を赤らめ上目遣いで言ってきたので心ドキッとした。こんなん惚れてまうやろ〜〜!ぶがなんとか表には出さずに済んだ。

「どこって森に帰るんだよ」

俺どんなやつだよ!!森に帰るってター〇ンかよ!!違和ありありの返答をするがベルは気にせず続ける。

「い…家は?」 「…ないです」

「ご…ご飯は?」 「…木の実?」

するとベルが満面の笑みを浮かべて目を輝かせながら言う。

「じゃあ!私んちに泊まりなよ!」

「いやいやいやダメだろ…第一子の家に男泊めるのはどうかと思うぞ!?」

「だって帰るところないんでしょ?家もご飯も」

「うっ……」

なにも言えない…。

俺がこの世界に來てから食べたものといえば«エンジェルツリーの実»ぐらいだもんな…。

それに食っても全然腹にたまんねぇし…。

「だからってダメだ。そもそもお前の親がなんていうか…」

「私一人暮らしだよ?」

「もっとだめじゃねぇか!!」

するとベルがちょっとうつむきしゅんとしてそっと聲をもらす。

「だって…居てほしくても無理なんだもん…」

ベルが自分の服を握りしめる。

「……………」

俺はなにも言えなかった。恐らくベルの両親はもう……。

   この時俺は過去の自分とベルを重ねあわせていた。

   母が死んで俺はたちなおれずにいた時があった。

   それをこいつは2回も経験したのだろう。

そんな過去を持ちながらも俺にこんなにも明るく接してくれた。

「わかったよ。この村にいつまでいるかわかんねぇけどこの村にいる間は世話になるぜ」

そう言って俺はベルに右手をさしだす。

「うん!」

顔を上げたベルは満面の笑みで握手をした。

今日はもう遅いといってベルが外に出してくれなかったので諦めた。

その後ベルがエプロンをつけて料理を始めた。俺も料理はできる方なので手伝おうか?ときいたが

「アオイはそこに座って待ってて」

と言って椅子が2つ向かい合ったテーブル席を指さした。

仕方がないので大人しく座って待ってることにした。

ただ待ってるだけじゃつまらないのでベルにこの世界のことをいろいろ聞くことにした。

   「ベル〜この世界の通貨ってどーなってるんだ?」

「どーしたの?急に」

   「料理ができるまでいろいろ聞こうと思ってさ、邪魔だったか?」

「全然ッッ!むしろ嬉しい!」

「嬉しいのか?」

「うん!じゃあ答えるよ?」

「お願いします」

「この世界の通貨は価値が低い順から銅貨、銀貨、金貨、白銀貨があるんだよ。これは世界共通通貨なんだよ」

「へぇ〜世界共通か〜。結構便利だな。その4種類の通貨の価値の差はどんぐらいなんだ?」

「全部10枚ずつで価値的には繰り上がるよ。銅貨一枚が10zゼニーだから10枚集めると銀貨一枚分の価値ってこと」

なるほど…日本でいう一円玉がないっていう覚か。日本とそこまで大差なくて安心した。

そんなことを考えていると料理がテーブルいっぱいに並べられていた。

「え、もう作り終わったのか?早くねぇか?」

明らかに一品一品の完度が高い割に時間でいうと30分にも満たなかった。

「でしょ〜?料理大得意なんだよね〜」

腕を腰に當て誇らしげにを張っている。

手際良すぎるだろ…。

気を取り直して料理に目を向ける。

「今日のメインディッシュは大豬のステーキだよ!」

「お〜この大豬はベルが狩ってきたのか?」

「いや、違うよ。なんかね村の冒険者が遠出のクエストから帰ってきてたら崖の上から急に落ちてきたんだって〜。信じられないよね〜」

俺じゃね!!!!?????

いやいやいや…いくらなんでもタイミング良すぎるだろ…。

「へ…へぇ〜、すごい幸運だな…」

「でしょ〜?でも絶対噓だよ。そんなことあるわけないもん」

「いや、あながち噓とも言い難いぞ?」

「ど〜して?」

「だってそれ多分俺が投げたやつだもん」

正直に自白した。だってその見つけた冒険者が可哀想だもん。

「ーーープゥッ!!アハハハハハハハハハハハハハ!!!!」

笑われた。まぁそりゃそうだよね…。

「あ、アオイ!面白いこと言うね!アハハハ!!!!」

「お前信じてないだろ…本當だからな!?」

腹をかかえて笑うベルに言葉は通じない。

気を取り直して次の話題にいこうとした。

   「ーーーーオッホン…この話は置いといて質問いいか?」

ちょっと笑いが収まってきた頃に聞くとベルはなんとか聞いてくれた。

「この世界って冒険者がいるのか?」

「え?普通にいるよ。この世界の約6割の人の職業が冒険者なんだよ?」

「そんなにいるのか…やっぱりクエストとかをクリアするとお金もらえるのか?」

「そうだよ。いろんな人から冒険者協會に要がくるからそれをクエストとして各ギルドでり出されるんだよ」

「冒険者になるための権利はあるのか?」

「ん〜特には決まってないから誰でもなれるんだよ。でもその代わり冒険者登録する時にクエスト中の死亡は自己責任になる誓約書に同意しないといけないんだよ」

「そういうリスクがあるのか…ベルは冒険者じゃないのか?」

「違うよ〜私はただの農民だよ」

「冒険者になりたいとは思わないのか?」

「そりゃあ思うよ…でも魔力切れですぐにアウトだもん」

「誰かとチーム組んでやらないのか?」

「この村に同年代の人いないんだもん」

「じゃあ俺が一緒なってやるよ」

「……え?」

キョトンとした様子でベルが俺をみている。

「いや、ベルがいやな……」

「嫌じゃない!やりたい!!!アオイと!」

ベルが機にを乗り出して顔が間近に迫っていた。視線をさげるとの谷間がみえて…。

するとベルの服がけ始めた。

ハァ!!??なんでけて…!!!!

どんどん自分の意思とは関係なくベルの服がけていく。いや、ほんと関係なく!

とっさに俺は目を閉じた。顔が熱くなってるのがわかる。絶対赤くなってる…。

しばらくしてベルが慌てて席に戻る。

「あわわわ!ご、ごめん、!!!」

俺もゆっくりと目を開ける。視界は普通に戻っていた。ベルがなにやら顔を赤らめ視線を逸らしてなにやらボソボソ言っていた。

それを軽く聞き流し俺は考えていた。

なんだったんだ?あれは間違いなくだった。それも俺の意思に関係なく発した。まぁ自分でも調べてみるか…。

「ベル」 「はひッッ!?」

はひ?…まぁいいか…。

「明日にでも冒険者登録してみるか」

「うん!!!」

そう言ったベルは今日一番の笑顔だった。

食事を済ませた俺はベルの「一緒に寢よう」という要をなんとか振り切り、ソファで長かった転生初日に幕を閉じた。

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