《異世界チートで友達づくり(仮)》消失②
しばらくしてが収まった。と同時にフォック、ヒルメ、リーシャは驚きのあまり目を見開いて必死に今のこの狀況の把握を試みていた。
俺はが収まってからすぐに持っていたロープの端を引っ張り柱にきつく巻き付けた。
「うゴッッ!」
反的に聲をもらしたのは俺でもベルやフォック、ユンベット姉妹でもない。
今はを何重ものロープにより柱に縛り付けられて唖然としているダルだった。
「よし、功だな」
半分くらいできるかどうか不安だったから功して安心して聲がもれる。
「え…こ、ここは…」
「さぁてダル君、ここに呼び出された理由は説明しなくても分かるよね?」
困するダルに隣から顔をのぞき込むように質問をした。
「え、え〜と…さ、さっぱりだな…あは、あははは」
聲が震え冷や汗もダラダラと大量に頬を伝っていた。笑い顔も引きつっている。
「ダルテメェ、よくも騙しやがったな!」
「さすがに知らない人に肩代わりをさせるとは…殘念です」
すぐに狀況が把握できたのか、ダルへの怒りが困よりも先行したのかは分からないがユンベット姉妹は武をしっかりと構えて殺る気満々のようだ。
「俺は元々借金取りの仕事してたんだよ」
「あは、は、は、またまたご冗談を…」
「本當かどうかは直接お前に教えてやるよ」
「あははは、はは、は、は…イギァァァァァァァアアア!!!」
ダルのび聲が『ラルズ王國』の朝に響き渡り俺が死刑執行を行おうと拳を構えてダルを毆ろうとした時だった。
「アオイ!!!」
「ッッ!?」
ベルに急に呼び止められ脳に大音量で響く『ピー、ピー』という警告音と視界の右上のレーダーに気づき足を止めた。
赤い點がこちらに向かってものすごい勢いで向かって來ていた。
速い…!
咄嗟に俺は踏み出そうとした左足のつま先を赤い點の方角に向けて制を整えた。
「!」
スキルを発させると俺を中心にして衝撃波のような空気の振が生じバリバリッと稲妻のようなものも走った。
「「「ッッ!!?」」」
ユンベット姉妹は気絶してベルとフォックとダルも必死に意識を保つように顔が力んでいた。
ちょっとやりすぎた…でも今はいい!
「はァ、ホント、毎度毎度あなたやりすぎですよ…」
「「「ッッ!?」」」
気だるそうな喋り方は1人しか思いつくヤツがいなかった。黒マント2人を連れていった魔族の男だった。
今は口の縁に腕を組んでもたれかかっていた。
「よう、また會ったな」
「俺は會いたくありませんでしたけど…」
「誰?」
「前に襲ってきた黒マントの仲間の魔族っス」
「魔族!?」
「………」
俺と魔族の男との會話の最中にフォックがベル達に説明していた。ダルはじっと黙り込んで様子を伺っていた。
「どうする、ここでやり合うか?」
正直に言うとここではやりたくない。さっきのは俺も咄嗟の事だったしほぼ全力で発させた。それでも気絶していないのだから実力としてはベルやフォック並と言っていい…。
やり合うにはこの店は狹すぎる。
「………」
しばらくの沈黙が続く。空気はこれ以上ないくらい重たくなっていた。
その沈黙を破ったのは魔族の男だった。
「はァ、いえ、今回はいいです…もう俺の目的は達しましたし…」
「目的…?」
「あなた方の足止めですよ…」
何を言ってやがる…コイツ。目的?足止め?フォックはここにいるしさらわれていない。むしろ戦闘準備萬端だ。
「アオイ!━━」
急に名を呼ばれてベルの方に振り向く。
「━スサラちゃんが!」
「クソッッ!今度はスサラか!」
そう言ってから視線を元に戻すと視界全に先程まで口の縁にもたれかかっていたはずの魔族の男の目を覆った顔があった。
「ッッ!?」
「はァ、あなたは強すぎです…作戦のためにちょっとだけ大人しくしていてください…」
そんな聲が聞こえたかと思ったら俺の視界が一瞬にして真っ黒に染まった。
「アオイ!」 「アオイさん!」 「アオイ!」
3人の聲が聞こえたのを最後に俺は意識が遠ざかっていくのをじた。
『魔屬魔法«上級»を習得しました』
「なん…だ、そんな屬…知ら…ねぇ…ぞ」
「アオイ!」
私がアオイが闇に包まれたのを視認してから慌ててハウメタルを構えたけど、構え終わった頃にはその場にもうアオイの姿はなかった。
「アオイ…さん」
フォックちゃんは口元に手を添えて揺を隠せずに小刻みに震えていた。
「アオイが…消え、た?」
私は一瞬にして中の力が抜け落ちていくのをじて地面に膝を著いた。
「はい、跡形も無くこの世から消え去りました…」
全に力がらなくなり頭がクラクラする。
そんな頭で今はアオイの事がいっぱいだった。
初めて會った日の事、一緒に暮らした日々の事、何度も助けてくれた事…。
そしたら自然と視界がぼやけていくのをじた。
そんな時━
「アオイは━━━」
ダルの聲がした。
「アオイは生きてる」
その一言で私はしだけ正気に戻った気がした。
『アオイが…生きている』
そして今までの事を思い出す。どんな事をするにも必ず余裕のある表で強敵を倒して私たちの元に戻ってきてくれていた。
そんなアオイが今更死ぬなんて…
「━━ハハッ…笑っちゃうよねホント」
私は立ち上がり弓を強く握りしめて魔族の男に思いっきり弦を引いて構えた。
「アオイは私の死の魔法でも死ななかったんだもん、こんなことで死ぬわけないよね」
可能は限りなく低いものだというのは分かっていた。けど不思議とそう思えるのだった。
「さぁ、アオイとスサラちゃんを返して!」
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