《無能な俺がこんな主人公みたいなことあるわけがない。》二章 20 『勝利の酒』
アーバンカルに帰還したタクミ達。到著したのは夕方だった。タクミ達はウルガンドで捕まえたベルモンドとゴラとドラを魔法騎士団本部へと連れ帰っていた。三人は邪神教徒の重要參考人として取り調べをけるようだった。
「やあ。無事に帰ってきてくれたみたいだね。」
そこには魔法騎士団本部に帰ってきたタクミの帰りを待っていたウインズの姿があった。
「ああ。頼まれた仕事は無事に終えて來たよ。ローゼも無事だったぜ。」
「そのようだね。話しは聞いているよ。無事にローゼを救ってくれて本當にありがとう。君には本當に謝しているよ。」
ウインズはタクミに向かって頭を下げた。
「そんなやめてくれって!そんなに謝されることでもないぜ。確かにウインズさんに頼まれていたけど俺自がローゼを助けたいと思っていたんだから。だからウインズさんも気にすることないぜ!」
「それでもやはり君には謝しているんだよ。もし君がウルガンドへ行っていなかったらと思うと正直想像もしたくないくらいだよ。ただ君は今回かなり無茶をしたみたいだね。ローゼを救ってもらって言うのもなんだが今回のような無茶はよしてくれよ。あんまり度が過ぎると君の魔法騎士団の立場も危うくなるからね。」
「そうだな。今回は俺もやり過ぎたと思ってるよ。もうこんなことはしないから安心してくれよ。」
「わかっているならいいんだ。それでは私はここで失禮するよ。君も初任務で疲れただろう今日はゆっくりと休むがいいよ。」
そういうとウインズは行ってしまった。
俺も流石に疲れたぜ・・・今日はこれからどうしようかな・・・
そんなことを考えながら歩いていると後ろから聲がした。
「タクミー!」
振り返るとそこにはレミの姿があった。手を振ってタクミに近づいて來る。
「レミか。相変わらず元気だな。どうしたんだ?」
「そういうタクミは隨分お疲れの様子だね。タクミこれからどうするの?」
「どうするって特に何も決まってないけど・・・レミはどうするんだ?」
「それじゃあ暇ってことだね!さっきアトスさんとエリーさんがってくれたんだけど私たちの歓迎會もかねて初任務功の打ち上げをしてくれるんだって!タクミも行くよね!?」
レミがニコッと八重歯を見せながら聞いてきた。
「打ち上げか。いいなそれ!みんな行くんだろ?」
「シュウは來るって言ったけど、ジークは用事があるから來ないみたいだよ。あとドズール隊長も來ないみたいだね。それでタクミは參加ってことでいいんだね?」
「ああ。俺も行くよ!それでどうすればいいんだ?」
「良かった!なら著替えてから外で待っててよ。みんな著替えてくるみたいだから。私も著替えてから行くからタクミも早くしてね!」
そういうとレミは手を振りながら走っていった。
タクミもレミに言われた通り著替えを済ませて外に出た。そこにはアトスとエリーとシュウがいた。皆制服から著替えていた。
「良かった。タクミも來てくれたんだね!」
タクミの姿を見てアトスが話しかけてきた。
「ども。俺も參加させてもらいますね。」
「もちろん大歓迎だとも!疲れを癒すには味しいものを食べるのが一番だって言うしね!今日は流會も兼ねて楽しもうじゃないか!ハハハ!」
そう言いながらタクミの肩を叩くアトス。魔法騎士団の制服から著替えたアトスはなんだか気なじになっていた。
「ごめんなさーい!遅くなっちゃいました!」
レミが息を切らしながら走ってきた。
「よし!みんな揃ったみたいだね!それじゃあ行こうか!」
全員揃ったところでアトスに連れられて打ち上げ會場へと向かった。そこは見たことあるお店だった。
「やっぱりここって有名なお店なんですか?」
店についたタクミはエリーに質問した。
「そうね。やっぱりアーバンカルで一番の味を売りに出してるだけあった人気はあるわね。アトスはここの料理が好きなのよ。私もだけどね。どうして?」
「いえいえ。今のところここにしか食事っていったらここのお店しか知らないんでどうなのかなっと思ってですね。」
タクミ達が到著したお店はシャンバルだった。タクミ達は店にり二階の部屋にそれぞれ料理を注文した。店員に注文を伝えているアトス。
「・・・あと飲みはビーレを人數分頼むよ。」
「ビーレ?」
アトスの言葉に思わず反応したタクミ。
「ん?もしかしてタクミはビーレは嫌いだったかい?」
「あ、いや。嫌いとかじゃなくてビーレってどんな飲みなんですか?」
「そうか。タクミはあまりこの世界に詳しくなかったんだね。ビーレはこの世界で最も飲まれているお酒の一種だよ。味しいから飲んでみるといいよ。」
「お酒っすか!?そういえばこの世界でお酒なんて飲んだことなかったすよ!是非飲んでみたいです!」
アトスの言葉に目を輝かせて反応するタクミ。無理もない約二年ぶりのお酒なのだ。
「お待たせしましたー!ビーレお持ちしました!」
若い店員が人數分のビーレを持ってきた。まさに見た目はタクミの世界のビールのようなものだった。
「おっ、來たな。それじゃあ今回はみんなの歓迎會も兼ねての労會だ。私のおごりだから気兼ねなく食べてくれ!それじゃあ乾杯!」
「かんぱーい!」
運ばれたグラスをもってアトスが乾杯の挨拶をした。そしてこの世界に來て初めてのお酒を口にしたタクミ。
「かぁーーーーー!うまいっすね!」
歓びの聲をあげるタクミ。ビーレの味は苦みはそれほどなかったがのどごしは良く味も味かった。思わず飲み干した。
「タクミの飲みっぷりは気持ちいいな!アハハハ!」
その様子を見たアトスも上機嫌といったじだった。久しぶりのお酒にペースが早くなるタクミ。
レミとエリーは子同士で楽しそうに話していた。シュウは何やらアトスに絡まれているような気がした。どうやらアトスも酔っぱらっているようだった。
タクミも久しぶりにお酒を飲んだせいか酔っぱらってきたようだった。ペースの速さも手伝ってか酔いが回ってきた。
「うっ・・・ちょっと調子に乗りすぎたな。ちょっと外の風當たってきます。」
タクミは夜風にあたろうとテラスに出た。気持ちのいい風が吹いていた。二階から下を覗くと街の通りは夜だがまだ人が沢山歩いていた。
「大丈夫タクミ?飲み過ぎだよ。」
レミもテラスにタクミを追って出てきた。
「心配かけて悪いな。つい調子にのって飲みすぎちゃったよ。しばらく風に當たれば大丈夫だから。」
「そう?ならいいけど。・・・ねぇ、タクミ聞いても良い?」
ベランダから下を見ているタクミの橫にレミが背中からベランダに寄りかかるようにして聞いてきた。
「ん?なに?」
「タクミってこの世界じゃなくて違う世界から來たって言ってたよね?それってやっぱり元の世界に帰りたいって思うの?」
「そうだな・・・帰りたくないっていったら噓になるけど別にこのままでもいいかなって思うこともあるかな。俺は元の世界では本當に何の取柄もなかったんだ。でもここなら俺でも役に立てることがあるんだって思うと別に無理して帰らなくてもいいかなって思うけどな。なんでそんなこと聞くんだ?」
「ううん。やっぱり故郷に帰りたいのかなって思ってね。でもタクミって結構頼りになるからさ、帰っちゃったら寂しいなって思ったの。アハハ、変なこと聞いてごめんね!」
「いや、別にいいけど。まあ當分は帰ることはないと思うぜ?邪神教徒のやつらもほっとけないし。っていうか帰り方もわかんないしな!」
「そっか!ならとりあえずは安心かな!でもいつかは戻れたらいいね!じゃあ私は戻るからタクミも気分が回復したら戻っておいで。」
「おう。俺もレミと話してたらだいぶ良くなったよ。さて酔っぱらってるアトスさんに絡まれてるシュウでも助けてやりますか。」
「アハハ。確かにシュウもタジタジってじだからそれが良いよ!さっきエリーさんがなだめてたしね!」
「アトスさんも酒癖悪い方だな。まったく・・・手のかかる人だな。」
「アトスさんもタクミには言われたくないと思うよ?」
「うるせぇ、ほっとけ。」
「アハハ、ごめんごめん。」
タクミ達は席に戻り宴を楽しんだ。ウルガンドでの死闘を忘れるくらいの盛り上がりを見せ宴は終わりを迎えた。
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