《無能な俺がこんな主人公みたいなことあるわけがない。》三章 8 「異世界人」

「さてここからどうしたものか・・・」

目の前に広がる荒廃とした景をみてドズールが呟いた。

「まあ、とりあえずは邪神教徒の奴等は幻水の指を取らずに帰っていったわけだし任務自功したってことでいいのか?」

タクミが尋ねた。

「そうだな。結果として指を守ることには功した。ただ・・・この狀況をどうしたものかとな。」

ドズールは後ろの方に橫たわっている神獣の方をチラッと見た。神獣もいつの間にか初めにあった時の年の姿に戻っていた。ただにはさっきまでの戦いの影響だろうか無數の傷があった。まだ意識は戻っていないようだ。

ラザリーの魔法の影響でタクミ達の周りを覆っていた霧も無くなっていて視界もはっきりしていた。

「やがてアトスたちも戻ってくるであろう。ひとまずはアトスたちと合流して・・・」

「隊長ーーー!!」

ドズールが話している途中で遠くからび聲が聞こえてきた。聲の方を見るとアトスたちが戻ってきたようだった。

アトスの後ろにはエリーやレミもいた。どうやら無事に全員戻ってこれたようだった。

「クリウス団長!無事に魔裝武である幻水の指を確保しました!・・・この変わり様は一何があったのでしょうか?」

タクミ達の所に近づいてきたアトス達。その狀況に驚きを隠せないようだった。

「うむ。ご苦労であった。説明すると長くなるのだが・・・エリー。ひとまずこの神獣である年を治療してやってくれ。」

「はい、わかりました。ヒール!」

クリウスの指示をけてエリーが傷だらけの神獣を治療し始めた。みるみる神獣の傷が治っていった。

「・・・ん。」

エリーの回復魔法をけて神獣の意識が戻ってきたようだった。

「ここは・・・ハッ!貴様ら一何を・・!?」

意識を取り戻した神獣は驚き飛び起きた。そして周りを確認して狀況を把握しようとしているようだった。

「さっきの魔剣使いは貴様ら倒したのか?」

「いえ殘念ながら討伐するには至りませんでした。しかしながら追い返すことには功しましたのでご安心ください。」

「そうか・・・神獣ともあろうものが、まさか人間に助けられることになるとはな・・・」

クリウスから狀況を聞いた神獣は自らの不甲斐なさを嘆いた。

「・・して貴様らは私の傷を癒してどうしようというのだ?」

クリウスがアトスから幻水の指け取り神獣に見せた。

「申し訳ありませんが貴方と戦っている間に別部隊に指を取りに行かせておりましたので、ここに幻水の指があります。そこで改めて神獣であるあなたにお願いがあります。」

「なんじゃ?」

「おそらく先程の魔剣使いはここに幻水の指があるのであれば、再び指を奪おうとここに來るはずです。なのでしばらくの間私たちにこの指を預けておいてはくれませんか?」

「ほう・・・私では指を守り切れぬと申すか?」

「貴方の力は先ほどの戦闘でをもって知りました。強大な魔力をお持ちなのも承知しております。しかし神の位にも値する貴方とでは魔剣をるシーバスとの相は決して良いものではありません。それはあなたもをもって験されたものと思いますが?」

「確かにな。奴との戦いではワシに分が悪いのはわかったわい。貴様らがいなければワシはとっくに奴に

殺されていたであろう。・・・良いだろう。指を持っていくことを許可しよう。」

「ありがとうございます。必ずこの戦いが終わればあなたの元に返しに來ますので。」

神獣の許可を得たのでクリウスは幻水の指を懐にしまった。

「わしがこの山の守護者としてこもっている間に隨分とこの世界の狀況は変わってしまったようだな・・・。まさかあのような者が現れるとはな。そしてそこの不思議な魔力を纏う者よ。こっちへ來い。」

そういうと神獣はタクミの方を見た。

「え、俺?」

いきなり呼ばれ驚くタクミ。神獣とタクミはし皆から離れた場所へと移した。

「お主・・・先程の戦いで見せた魔力。さてはこの世界の住人ではないな?」

「なっ、なんでそんなことわかるんだ!?」

突然の指摘に驚くタクミ。

「やはりな。初めに言ったと思うが、その指はある人間に頼まれてここに祀っていたのだ。そしてその人間もこの世界ではないどこか違う世界から來たと言いっておってな。お主の魔力がその人間と非常に似ているだったのだ。」

神獣はどこか懐かしそうな表を浮かべている。

「俺以外にも異世界から來ている奴がいるってのかよ!?それでその人は今はどこにいるんだ!?」

おもわぬ報に興するタクミ。

「それはわからぬ。ここでワシに指を託して以來姿を現してはおらぬからな。それにここに指を託したのはもう何十年も前の話じゃ。普通の人間の壽命ならもう死んでいてもおかしくはないの。ただ{自分はすべきことをしたから後はあるべき場所へと帰るから}と言い殘していたな。」

「あるべき場所へと帰るって?そんな・・・じゃあその異世界から來た人はなんて言ってあんたに指を託していったんだ?」

「あやつは人間にしては非常に面白い奴だったわ。しかしその魔力はワシを超えておったの。そいつはワシにいつか必ず自分と同じように異世界から訪れる者が現れるからその時までこの指を守っていてくれとのことだったの。なぜかは理由までは言わなかったがの。そしてお主がそやつ以來の初めての異世界人としてワシの前に現れた人間じゃ。だから指は持っていくがよい。返さなくとも良いぞ。」

「そっか。あんたに指を託した人間の名前ってわからないのか?」

「そうじゃの。あやつは確かケンジと名乗っておったの。この世界では聞かぬ名前だったから間違いはないぞ。」

「ケンジ・・・。まるで日本人みたいな名前だ。」

神獣から出てきた名前を聞いてボソッと呟くタクミ。

前にも俺と同じようにこの世界に飛ばされてきた人間がいたんだ。そしてそいつの名前はケンジ。そしてそいつは何かをし遂げてあるべき場所へと帰っていった・・・。

ケンジって奴は何をし遂げたんだ?そしておそらくは自分の世界へと帰っていたんだろう。

タクミの中に様々な疑問が生まれた。しかし々考えても結局答えは出なかった。

「お主も悩んで居るようじゃの・・・・これはワシの推測じゃがおそらくあやつはここ以外にも魔裝武を様々なところに託しておるのではないか?それを辿っていけばしは何かの手掛かりを得られるかもしれぬぞ。」

「なるほど!確かにケンジって奴がここだけに魔裝武を託したとは考えにくいな。絶対他にもあるに違いない!神獣様ありがとうよ!ちょっとはヒントみたいなものがつかめそうだよ!」

「クックックッ・・・やはりお主もあやつと同じじがするわい。タクミと言ったかの?お主の名前もしかと覚えておくこととしよう。ではワシはこれからこの荒れたエスミル山を元に戻さんといかんのだ。さらばだ。」

そう言い殘すと神獣は森の中へと姿を消していった。

タクミもクリウス達の待つところへと戻った。

「話は済んだようだな。では我らも指をアーバンカルへと持ち帰ることとしよう。撤収するぞ!」

クリウスの合図でタクミ達はエスミル山を後にしてアーバンカルへと戻ることにした。

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