《無能な俺がこんな主人公みたいなことあるわけがない。》四章 12 『キャトル村救出戦 1』

丘を駆け上がりキャトルの村の慘狀にローゼ達は絶句した。

あまり大きくはない集落ではあったが、建はほとんどが火を放たれ燃えていた。所々から悲鳴のようなび聲が聞こえてきた。どうやら狼人族による侵略がまさに行われている最中のようだった。

狼人族が逃げうシャムミルと同種族の貓耳の生えた人々を追い回しているのが確認できた。

「なんて酷いことを・・・」

ローゼが悲慘な狀況に言葉を詰まらせると同時に真っ先に切り込んだのはアイズだった。剣を握りグリドラを走らせ目の前で追われていた貓人族の元へ向かっていた。

「なんだお前は!?」

「問答無用だっ!!」

一閃・・・アイズは二人の狼人族を一瞬で切り伏せた。

「あなたは・・・」

狼人族に追われていた中年の貓人族の男は腰を抜かしたように座り込んでいた。突然現れたアイズに驚いた表を見せた。

「怪我はないか?」

「は、はい・・・・」

「おとーさーん!!」

座り込んでいた男にシャムミルが勢いよく飛びついた。

「おまえ・・!シャムミルか!?無事だったのか!?」

「うん!この人達は私たちを助けに來てくれたのよ!お父さん無事だったのね!良かった!!」

どうやらこの男はシャムミルの父親だったようだ。父の無事を確認できたシャムミルは涙を浮かべながら父のにしがみついていた。

「そうだったのか。シャムミルも無事でいてくれて良かった・・・!」

「お父さん!お母さんは!?お母さんは無事なの!?」

シャムミルが凄い勢いで父に尋ねた。

「・・・母さんはここにはいないんだ」

無念そうに父親が答えた。

「お母さんはどこにいるの!?」

「母さんはお前を逃がした後に狼人族に連れていかれてしまったんだ・・・あいつら一度母さんを連れ去ったあとに引き上げて行ったんだが、それから夜になってまたこの村にやってきたんだ!あいつらが來たのはシャムミルがくるし前だったんだ」

「そんな・・・」

父親の言葉を聞いて絶の表を見せるシャムミル。

「ふぅー・・・せっかくの親子の再會に水を差すようで悪いけど、落ち込んでいる暇はないよ。まずはこの狀況をどうにかしないとね」

サリスだった。

「あなた方は一・・・?」

「安心しな、私らはあんた達の味方だよ。襲撃をけているってことは他にケガ人はいるんだね?」

「はい!至る所で狼人族が私たちの仲間を襲っているので・・・」

「なるほどね。それならばアンタはケガ人の元へ急いで私を案してくれるかい?戦いの方はアイズとローゼに任せていいかい?」

「ああ・・・ケガ人を頼むよ」

「わかりました!任せてください!」

「ほら!ぼやぼやしてる暇はないよっ!死にさえしてなければ私がどうにかして見せるから!さぁ行くよ!」

呆気にとられているシャムミルの父親をサリスが急かした。

「ローゼ、ここは二手に分かれよう。そっちのほうは任せても構わないか?」

「任せてください!私もアイズさんやサリスさんに負けないように頑張りますから!」

「ああ、頼りにしているよ。でも無理はしないように。深追いはいけないよ」

「はいっ!気を付けます!それでは行ってきます!」

「ではまた後で會おう!」

アイズとローゼはそれぞれ分かれ村人の救出に向かった。

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「こっちの方です!!」

サリスがシャムミルの父親に案されケガ人の元へ向かっていた。案された先には爪のようなもので引っかかれたような傷を負っている者がいた。背中から流して倒れていた。

「これまた酷い傷だね・・・」

サリスはすぐさまケガ人の元へ近寄り治癒魔法による手當てを始めた。

「凄い・・・!傷はみるみる塞がっていく・・・」

サリスの手際を見てシャムミルの父親が驚いていた。シャムミルが不安そうな表で父親の袖を摑んでいた。

「・・・貓耳のお嬢ちゃん」

「は、はい!?」

「ここにいるあんた達の仲間も、お嬢ちゃんの母親も絶対に助けてやるからそんな顔してるんじゃないよ。せっかくの可い顔が臺無しだよ」

サリスは治療を行いながらもシャムミルを勵ました。言い方はぶっきらぼうなじがあるがその優しさはシャムミルには伝わった。

「・・・はい!」

シャムミルは目に浮かんでいた涙を拭いた。

「・・・よしっ!とりあえず傷は塞いだよ!次のケガ人の所へ行こうか!」

サリスは次のケガ人の元へ急いだ。

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「ぐわぁ!!」

「ぬわぁ!!」

アイズによって次々と狼人族が倒されていった。それでも狼人族の數は多くアイズを囲むように何人もの狼人族が集まってきた。

「何者だ貴様!?」

「複數でかよわい者を一方的に追い回すとはお前たちには誇りはないのか!?」

「誇りだぁ!?何言ってるんだ?俺らは気高き狼人族だ!それをこのような貧弱な貓人族のような奴らと亜人族と一括りにされるのが我慢ならねーんだよ!これは俺らの狼人族の誇りをかけた戦いなんだよ!」

「・・・なんてくだらない。そんなのは誇りとは言わない。そんなちっぽけなモノはここで私がすべて切り伏せてやる!」

「この人間風がぁ!!お前ら人間は俺らより劣ってるんだよ!調子に乗るなぁ!!」

「劣っているかどうかそので確かめるがいい・・・!」

アイズは次々と襲い掛かってくる狼人族の男たちを返り討ちにしていった。

「この・・・!強いぞ!」

アイズの剣の強さに狼人族の男たちは攻めあぐねているようだった。

「おいおい、人間一人にけーね!お前ら一何やってるんだよ」

狼人族の群れの奧の方から一人の男が出てきた。姿を見せたのは他の狼人族よりも一回り大きく、長は2メートルほどはある巨の男だった。

「・・・お前がこの群れのリーダーか?」

「そうだ。俺がこの群れを率いているジックだ!まあ今は戦士長が不在だから代理だがよ!」

「戦士長・・・?それはシャムミルを追っていた男のことか?」

「ほう?お前ザック戦士長に會ったのか?ザック戦士長は俺の兄貴なんだが良く無事だったなぁ?」

「そうか兄弟か・・・それにしてはあまり似てないようだな。お前の兄の方がまだ隨分知を持っているようだったが?」

「てめぇ・・・!人間の分際で生意気な口をききやがって!その生意気な顔をすぐに苦痛に歪めてやるよ!!」

ジックはそう言うと全に力を込めた。すると筋大化してただでさえ巨大ながさらに一回り以上巨大化した。

その大きさはアイズの倍くらいになるほどだった。

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