《無能な俺がこんな主人公みたいなことあるわけがない。》四章 13 『キャトル村救出戦 2』
「どうだ!?この生まれ持っての圧倒的な能力差!これこそが俺らとお前ら人間との大きな違いだ!」
巨大化したジックはアイズを見下すように言い放った。
「確かに・・・その能力は凄い、我々人間には無いものだ。だが強大な力も使い方一つで大きく変わるもの」
「この・・・!どこまでも生意気な口を!のくせに強がりおって!!その全を八つ裂きにしてやる!」
巨大化にもじないアイズに苛立った様子のジック。長く鋭くびた爪をアイズに勢いよく振り下ろそうとした。
「のくせに・・・?」
アイズが小さく呟いた。
「うらぁあーーーー!!・・・え?」
ジックの振り下ろした右手はアイズに屆くことはなかった。ジックの二の腕から先はアイズの後方に鈍い音と共に地面に落ちた。そしてジックの二の腕から先は大量のが噴き出していた。
「腕がぁ!!俺の腕がぁーー!!」
吹き出るを殘ったもう一つの手で押さえ悶えるジック。そんなジックをアイズは顔変えずに見た。
「のくせにだとか、人間風とか、貓人族を見下しているかのような口ぶりだったり隨分お前は生まれに拘っているようだ。そんなものに固執するのは下らないと思わないのか?」
「う、うるせぇー!!俺は弱い奴らが粋がるのが気にくわねーんだ!!弱い奴らは隅っこでコソコソ生きてればいいんだよ!!人間が俺に説教してんじゃねー!!」
ジックは今度は鋭い牙の生えている口を大きく開け、アイズに向かっていった。噛みつこうとしているようだ。
「そうか・・・聞く耳を持たないか」
次の瞬間ジックは何かにつまづいたように地面に転んだ。今度は左足の膝から下が無くなっていた。
「ぐぉお・・・!」
地面に倒れ苦痛の表を見せるジック。右手と左足を失いうまく立てない様子だった。一方的にやられているジックを見て周りにいた狼人族たちも戸っているようだ。
「・・・もうこれ以上は無駄だ、私の剣は敵は容赦なく斬るぞ。今なら止をすればまだ死ぬことはないはずだ。お前がこの群れのリーダーなら殘りを引き連れこの村から早急に立ち去れ」
「だ、誰が人間の言いなりになるものかぁ!お前らぁ!!このに一斉に飛びかかれ!大人數で襲えばなんとかなるはずだ!」
ジックは周りにいた狼人族の仲間たちにアイズを襲うように指示を出した。
しかしアイズの力を目のあたりにした狼人族の男たちは襲い掛かるのを躊躇しているようだった。
「・・・何をしている!!俺の言うことが聞けないのかぁ!?」
「どうやらお前より仲間たちの方が戦力差を理解しているようだな。言っておくがこの人數で私に襲い掛かってきたところで私に傷一つつけることは出來ない。ただ私もこの人數差だ、手加減が上手くできず命の保証までは出來ないがな?」
アイズはそう言いながら傍観していた狼人族のほうを見た。そんなアイズを見て後退りする狼人族。
「てめえらぁ・・・!!」
「もうわかっただろう?さあ、諦めてこの村から引き揚げろ」
「こんなことがぁ・・・!こんなことで俺ら狼人族の命運が盡きてたまるかぁ!!」
「・・・狼人族の命運?」
地面に倒れているジックが無念そうに言った言葉がアイズは気になった。倒れているジックに近寄って話を聞こうとした。
「狼人族の命運が盡きるとはどういうことだ?今回の騒と何か関係がある・・・っ!?」
次の瞬間、空から何かが勢いよく降ってくるのに気づいたアイズ。咄嗟に後ろに飛んで距離をとった。何かが落ちてきた衝撃で激しい土埃が舞い上がっている。
「なんだ・・・?」
「やれやれ隨分遅いから様子を見に來てみればなんとけない姿か・・・それが誇り高き狼人族の姿か?」
土埃の中から姿を見せたのは眼鏡をかけた痩せた男だった。紫のローブをに纏っていて、小さな丸眼鏡のレンズの奧には鋭く細い瞳があった。
「おぉ!!ネハン!いいところに來た!このが俺をこんな姿にしやがったんだ!このを始末してくれ!」
突然現れた男はネハンと言うらしい。ジックはネハンにアイズを倒すように言った。しかしネハンはまるでゴミを見るかのような目でジックを見下していた。
「まったく・・・しは使いになるかと思っていたのにこの有り様だ。お使い一つまともにこなせないとは・・・やはり狼人族などの脳筋な集団に期待するのが間違いだったか。その無様な様子、犬っころの死にざまにはふさわしいじゃないか」
「・・・っ!!ネハンてめぇ!なんだその口の利き方は!?どういうつもりだ!?」
「どうもこうもない。もうお前は用済みということだ・・・そこで料にでもなっているがいい。それよりも私は他にすることがあるのだよ」
ネハンはそういうとアイズの方に視線を向けた。
「これは面白いものに會えた・・・」
ネハンはアイズの姿を見て不気味な笑みを見せる。
「どうやら今回の騒ぎの原因はお前にあるようだ。一何が目的だ?」
「ふっふっ・・・まあそう怖い顔しないでくれよ。私はむしろ君の味方だと言っても過言ではないのだよ?異なる世界から來た神託の者よ?」
「っ!?・・・なぜそうだと思う?」
ネハンの言葉にし揺したアイズ。
「そんなのは一目見ればわかるとも!私たちは君を探していたのだ!さあ私と共に來るがいい!すべてはそこで説明するとしよう!」
「悪いがお前についていくつもりはない・・・だがすべてはここで説明してもらうぞ!」
剣を構えるアイズ。
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