《異世界スキルガチャラー》P.M.6〜8時 呪われた街へ
第1部 2章 「ゴーストタウンの囚われ」
午後6時。
初任務をけた啓斗とルカ、そして同行する雙子は、馬車の中で會話をわしていた。
「で、そのリュートタウンって一どういう場所なんだ?」
啓斗がシーヴァ達に聞く。
「そうだな……昔は王國で1、2を爭うほど魔法研究者が多い街で、治めていた貴族家も相當の実力者だった」
「そうね、リュートタウンで発見された新魔法も結構あったし」
2人の顔は、とても神妙だった。
どうやらシーヴァをもってしても上機嫌で話せる容ではないらしい。
「でも、4年前にその貴族一家が全員失蹤したの。當時、かなりの人數の捜索隊を出したはずなんだけど、どこにも見つからなかった」
「そして失蹤から……確か一週間後くらいだっただろうか。死んだはずの貴族の目撃報が街中から寄せられるようになった」
そこで啓斗とルカは背中に冷たいものが走るのをじた。
「最初は皆ただのイタズラだろうって気にも止めていなかったんだけど、日に日に目撃報は増えた」
「しかも、目撃されるのは必ず貴族の親夫妻のみ。街の人々と警備隊は真相究明に躍起になった」
「だけど、全く正が分からないまま目撃報だけが増え続けて、毎日20件以上も目撃されるようになった」
そこでシーヴァが小さく笑う。
「いや、すまない。1日にここまで目撃されたらもはや何かけを狙っているようだからね」
「だが……最初の目撃からちょうど2ヶ月が
経った時、あっちゃいけないことが起きた」
「亡霊を目撃した街の人の約半數が原因不明の突然死を遂げたんだ。全く同じ日、1秒のズレもなく同じ時間に」
馬車の中に重たい空気が立ち込める。
「そんなことがあったんだからもう街は大パニック。その日から1週間以に研究者や普通の街人含め全員が街から逃げてっちゃった」
「貴族一家の呪いだと誰もが口を揃えて言う。だから、その「呪い」が街の外に出ないように結界を張って街を封鎖したんだ」
「それがリュートタウンに今現在誰もいない理由よ。私達は今、その呪われた街に向かってる」
そう言ってシーヴァとゼーテは話を終えた。
「……まあ、その呪いの亡霊が出たら私の銀眼で消滅させればいい訳だけど」
ゼーテが投げやりな口調で言う。
「亡霊っていうのは人間の魂が魔力によってこの世に無理やり居殘ってる魔法概念だから、私の力でその繋がりを無理やり外せば勝ち」
だが、シーヴァが更に厳しい聲になって話を遮った。
「いや、そう簡単には行かないと思う」
「え?どうしてよ、何回かこの方法で理が効かないあの面倒な亡霊ども倒してるのに」
「……実は、4年前の報告書を資料庫で偶然見つけてね。そこには、極裏に解呪専門の魔法使いとその護衛20名が調査に向かったが、帰ってこなかったと記録されていた」
「僕達は、そんな危険極まりない場所に向かっている。覚悟はできたか?」
シーヴァが啓斗とルカを互に見る。
「……ものすごく怖そうだけど、でも、皆となら大丈夫な気がする」
ルカは青い顔をしながらも笑顔でそう言った。
そのおで馬車の空気は幾分か和らいだものの、鬱な雰囲気は消し切れなかった。
「……なあ、シーヴァ」
ずっと黙って下を向いていた啓斗がようやく顔を上げる。
「……この話を聞いて覚悟が決まったら相當な主人公だな」
苦笑いの真骨頂のような顔でそう言った。
「ああ、そうだな。まあ、大丈夫だ!いざとなったらどうにかしよう!うん!」
そういうシーヴァの何の拠もない自信に満ちたシメで會話は終わった。
1時間後、件くだんの街、リュートタウンに到著した。
馬車の者ぎょしゃの撤収時の異常な速さと焦り合にドン引きしながらも、啓斗達は街にっていった。
「ここがリュートタウンの一番端の地區だ。街の中は當時のままのはず」
シーヴァとゼーテが先を歩き、ルカが真ん中、啓斗が最後尾という形で歩く。
(別にシャレじゃないが、まさに「ゴーストタウン」だな。人の気配が本當に全くしない)
啓斗はそんなことを思いながら、誰もいないレストランや商品がそのままになっている洋服店などを見渡す。
「……まずいな、地図が風化して分からなくなっている」
何かがられていたであろう壁を見上げてシーヴァが溜息をつく。
「えー!?どうするの!?」
ルカは恐怖を紛らわすためだろうか、必要以上の大聲で言う。だが、すぐにある事を思い出す。
「あ、ケイト君!その腕の奴って地図出せたよね!?出して!」
ルカに勢いよく言われ、啓斗は腕時計のマップ機能を呼び出す。
「……へぇ、アンタのそのよく分かんない機械ってそんな事までできるんだ」
ゼーテが心して言う。
マップには「リュートタウン 口通り」と表示されていた。
「まあ、確かにマップなんだが……実際に歩いた場所しか表示出來ないぞ?」
啓斗の言葉に、し上がったテンションも降下していった。
「……ケイト君、街の全マップを出せるかい?詳細が見えなくてもいい」
だが、シーヴァの顔はかなり良くなった。
「あ、ああ……出せるが、ほぼ真っ白だぞ?」
啓斗は詳細のよく見えない全マップを表示する。
「いや、これで十分だ。街の中心に目的地の屋敷がある。ここからなら北に真っ直ぐだ。それを確認できただけでも良い」
シーヴァはそう言って悠然と歩き出し、ゼーテがぴったりとその橫に付く。
啓斗とルカの2人も続いて歩き出した。
「著かないな……」
その後かれこれ30分は歩いたが、中々目的の屋敷に辿り著かない。
「おかしい……そこまで遠い距離じゃなかったはずだが」
シーヴァも首を傾かしげる。
啓斗は何となくもう一度マップを確認し、驚愕した。
「おい、シーヴァ。まずいことになったぞ。俺達、意味不明なルート・・・・・・・・で街を彷徨さまよってる」
「なに!?僕達は1度も曲がっていないぞ!?」
シーヴァも目を見開き、他2人も意識を地図に奪われた所で、突然道の向こうから「それ」は現れた。
「え、あう……あああ……」
それは、騎士団の鎧を著た集団だった。
「あれは……僕らの前に送られた騎士達か? いや、様子がおかしい!」
「襲ってくる! 気をつけて!」
ルカがそうぶと同時に、騎士達は斬りかかってくる。そのきは、人形のように単調だった。
「くっ!やっぱり何かにられてるな!しかも、こいつら死だ!」
啓斗が攻撃を避けながら言う。彼は、この騎士達が鎧の隙間から覗かせた顔が明らかに干からびているのを見たのだ。
「シーヴァ、どうする!?私が作魔法を吹き飛ばそうか!?」
ゼーテの提案は狀況を打開しうるものだが、シーヴァはそれを卻下した。
「ダメだ!「眼」の使用限界は2分しかない!こいつらに使っていられない!」
「じゃあ、どうするのよ!? ケイトの攻撃が全然効いてなのいよ!?」
啓斗は、會話の最中に【マジックソード】で騎士を斬り付けたが、出はしたものの一切怯む様子を見せていない。
「り人形にされた死……ここは……」
シーヴァが決斷し、眼帯を取り去った。
「僕が囮になる!その間に君達は屋敷を探し出せ!」
「シーヴァが殘るなら私も!」
ゼーテも騎士達に向かい合う。だが、シーヴァはゼーテを啓斗達の方に押しやった。
「ダメだ!お前の力は屋敷の探索に必要だ!行け!」
シーヴァがそう言った瞬間、街の建がき出し、シーヴァと3人を分斷する。
「行け!ここは僕一人で十分だ!」
どうやら【黒眼】で無理やり移させたらしい。
「……分かった。ゼーテ、ルカ、行くぞ!」
啓斗が走り出す。
「う、うん!」
ルカも一瞬迷ったが、すぐに啓斗に続いた。
「シーヴァ……絶対!無事でいてよ!」
ゼーテも啓斗とルカを追って走り出した。
「1人目は分斷功だねー。あの男の子、カッコイイ格してるぅー」
「さーて、次はだーれにしよっかなー」
街の上空、空飛ぶ布団に寢そべって、ニコニコしながら喋る年がいた。
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