《異世界スキルガチャラー》1000連目 「普通の」休日

第1部 3章 「絶の森と龍の巫

リュートタウンの呪いを解き、唯一の生存者のマリーを救出した啓斗達。

その後、馬車の中で疲労がどっと出た4人は、城に帰還した直後に各々の部屋に直行、一日中眠り続けた。

翌日。

「ケイト!喜べ!王が特別に5日間連続で休みをくれたぞ!」

寢起きでボーッとしている啓斗をシーヴァは力強く揺さぶっていた。

「シーヴァ……ノックくらいしてくれ」

シーヴァを押し退けてベッドから這い出しながら言う。

「ああ、すまない。今日はどうする? 街のカフェでも行くか? それとも部屋でゆっくりするか?」

僕はゼーテといつものカフェに行くがね、と謎のドヤ顔で言うシーヴァは、相変わらずのテンションだ。

「……そうだな、休みと言っても何もせずに過ごしたんじゃ意味が無い。俺も行く」

啓斗もシーヴァ達に同行することにした。

「分かった。じゃあ、城のホールで待ってる。1階のだ。素早く來てくれよ!」

を翻ひるがえして去っていくシーヴァを見ながら、啓斗は著替えを始めた。

時刻は午前8時である。

「お、味いな」

啓斗は雙子の行きつけのカフェで朝食を食べていた。

「だろう?コーヒーの味もそうだが、ここは料理も味いんだ」

ブラックコーヒーをすすりながらシーヴァが言う。

「外観の雰囲気も良いし、裝もオープンで気にってるのよ」

ゼーテも同じくコーヒー(ただし飲む前に砂糖とミルクは多めにれていた)を飲みながら言う。

「ごちそうさまでした。……そういえば、ルカはどうしたんだ?」

目玉焼きを完食して一息ついた後に啓斗が最初に口にした言葉がこれだった。

「ああ、ルカもったんだけど、用事があるって斷られちゃった」

ゼーテが窓の外を眺めながら答える。

「僕は訓練場で見たぞ。弓の練習をしてた」

シーヴァが追加注文したチョコチップクッキーを食べながら言う。

それを聞いて啓斗は頭を掻く。

「……神的に一番消耗してるのはルカだろうに。止めに行ってくる」

店主に代金を払うと、啓斗は訓練場へ走り出した。

「ひゅー、ケイトやっさしー」

ゼーテが人の悪い笑みを浮かべる。

「……ゼーテ、何か悪いこと考えてるだろ」

シーヴァはゼーテに疑いの目を向ける。

「いや、別にー?」

そっぽを向いたゼーテだが、心の中ではこう考えていた。

(ルカの方がケイトのこと好きなのは間違いないはず)

(ケイトも無自覚なだけかもしれない。明日にでもお膳立て・・・・してみようかしら)

妹がそんな事を考えているとは知らず、シーヴァはこんな提案をした。

「そうだ、ゼーテ。この前から探していた小説を見つけたんだ。本屋に取り置きするように頼んでおいたから、今から行こう」

そのまま返事を待たずに二人分の代金を払って店を後にする。

「え、ま、待ちなさいよシーヴァ!」

ゼーテは慌ててコーヒーの殘りを飲み干すと、シーヴァの後を追った。

「ルカ、昨日あんなことがあったのに戦闘訓練なんてしてるのか」

訓練場に著いた啓斗はルカに注意していた。

「疲労は蓄積するのが1番いけない。今日明日くらいゆっくり休んだらどうだ」

汗をダラダラ流しながら、それでも弓を手放そうとしないルカの頭を軽く叩く。

「やめろ。やめないなら擔いででも連れていく」

その言葉を聞いて、し顔を赤くした後にルカは渋々休憩を承諾した。

訓練場の砂地に座り込みながらルカは、訓練をしていた理由をこう述べた。

「私、ケイト君と一緒になってからずっと、逃げてばかりだから。これからも魔に襲われることもあるだろうし、しでも役に立てるようになりたくて……」

俯うつむきながら話すルカの顔を、啓斗は無理やり上げさせた。

「ルカ、戦いの時は良心とか不安とかが々混ざり合う。だから、無理して戦う必要も無い」

前に彼めた時と同じように、優しい聲で言う。

「……じゃあ、どうしてケイト君は魔を容赦なく倒せるの?異世界の人なんだから、もっと怖いはずじゃないの?」

そう言われて、啓斗は自分が魔や敵と戦っている時にあまり揺していないことに気がついた。

「……そういえばそうだな。多分、現実味がないからだろう。今でもこれは夢なんじゃないかと思う」

苦笑い気味の顔でそう言うと、消化不良というじだったが一応ルカは納得した。

すると、城の執事が突然現れた。

「ケイト様、ルカ様。リュートタウンから救出されたの安全が確認されました。柄をお引き取り願ってよろしいでしょうか?」

マリーは、呪われた街から生還した人ということで、害のある怨念がついてきていないか城の魔道士たちに検査されていたのだ。

「ああ、分かった。ルカ、行こう」

2人は立ち上がり、執事に続いて城の醫療室へと向かった。

その後、マリーは無事に意識を回復し、ルカの部屋に一緒に寢泊まりさせることになった。

両親と兄達は「しばらく出かけている」ことにしてどうにか誤魔化した。

「久しぶりに平和な1日だった」

午後11時、ベッドに腰掛けて啓斗はそう呟いた。

そのまま橫になって寢ようとした時、ふと思い出してガチャ畫面を開く。

「危なかった。1日引かないだけでかなりの損だからな」

そのまま100連ガチャを引く。

すると、虹球が出てきたのだが、球は腕時計に吸収された。

『おっめでとうございます!ただいま啓斗様が手なさったのは、腕時計のグレードアップでーす!』

突然、ナビゲーターのホログラムが現れる。

『今回のグレードアップは、「トークシステム」の追加です!』

『簡単に言うと電話ですね。電話を所持している方や、通信魔法が使える方に自由に通信ができるようになります』

『あ、こっちからかける時は迷にならないように気をつけて下さいね!』

『グレードアップは他にも數種類あるので、是非狙ってみてください!』

今回も喋るだけ喋ってホログラムは消えた。

「相変わらず自由で謎な奴だな……」

今回は運悪く他にめぼしいスキルが無かったので、そのまま寢ることにした。

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