《異世界スキルガチャラー》1100連目 2人きり(?)の食事 上
「で、こんな朝っぱらからわざわざ部屋に僕を呼び寄せた理由はなんだ?」
時刻は午前5時。シーヴァはゼーテの部屋に呼び出されていた。
「まぁその理由は追々説明するとして、こっちからも質問があるの」
ゼーテのけっこう真面目な表に、シーヴァも耳を傾けることにした。
「シーヴァは、ケイトとルカの関係についてどう思う?」
だが、ゼーテの口から飛び出した質問に、大きくため息をついた。
「……ゼーテ、まさかあの二人をくっ付けようとか考えてるのか?」
的確に図星をさされたゼーテは、たっぷり10秒ほど固まった。
「な、なんで分かったの?」
し肩を落として聞いてみる。
「ふん、17年間も一緒にいる妹の思考回路ぐらい大読める」
シーヴァの返答にゼーテは更に肩を落とした。
「……まあ、常に一緒にいるにしてはあの二人の関係が煮え切らない気がするのも確かだが」
だが、続けられたシーヴァの言葉にゼーテは勢いを取り戻した。
「そうよね!ルカは「命の恩人」って言ってたけど、恩人だからこそ好きになるわね!」
「それに、ルカはどこか放っておけない所がある。男は天然で・・・そういう所があるは嫌いにはならないと僕は思う」
その後、啓斗達を上手くムードにれるための作戦をあーだこーだ2人で考えた挙句、
「んー、やっぱり個室に閉じ込めて2人きりにするのがいいかしら」
「いや待て!確かに可能ではあるが、もしバレたらいくら僕達でもボコボコにされるぞ!?」
そして、結局たどり著いた案がこれだ。
「よし、ここは無難に2人きりのディナーをセッティングしよう!最高級のレストランを予約してくるよ!」
元気に走っていくシーヴァの背中を見送りながら、ゼーテはボソッと言った。
「……お兄ちゃんの方がノリノリじゃん」
ゼーテはルカ達に今日の夕食の場所を伝えるため、2人の部屋に赴おもむくことにした。
「じゃあ、今日は今伝えたレストランで夕食だから。正裝で來て、よろしく」
啓斗は今日の分のガチャを引き、変わらずURを1つ手にれて確認していた。
ゼーテはいきなりノックもなしに部屋にやって來たかと思うと、今日の夕食が超高級レストランであることと、その場所にはルカと2人で來ること、そして正裝で行かなければならないことを啓斗に伝えた。
「ん?ちょっと待て。ルカにもそうやって伝えればいいんじゃないか?」
そう言うとゼーテは突然キレ出した。
「うるっさいわね! 男同伴じゃないとれないの! 個々で行ってもつまみ出されるから!」
不機嫌気味にそう言ってゼーテは部屋を出て行った。
「何なんだ一……」
部屋に1人放置された啓斗は頭を抱えた。
「ふぇ? 男ペアじゃないとれないレストランで晩ご飯?」
啓斗は、ルカに事を説明していた。
「ああ、しかももう予約してるから絶対に來い、だと」
ルカはマリーとの人形遊びを一旦やめる。
「しかも、正裝で行かないとダメらしい。スーツとドレスも選ばないといけない」
啓斗のその言葉で、ルカの頭の中は真っ白になった。
(え…? ってことは、ケイト君と2人で、しかも私ドレスで行くの?)
ルカの思考回路が急速にき出し、この後どうなるかの予測をする。
もしも2人きりで食事などしたら、確実に固まるし、何かの偶然が起きた場合にパニックになりかねない。
なのでどうにかして雙子も連れていくか斷るかしたかったのだが、
「ふぁぁぁぁ……んんむ……」
ここでタイミング悪く、マリーが睡魔に襲われて眠ってしまった。
「ん、丁度いい。マリーも寢てしまったことだし、今からスーツとドレスを選びに行かないか?こういうのは早い方がいい」
そう言うと、有無を言わせずルカの手を摑んで歩き出した(もちろん、暴にしてはいない)。
(わ、ちょ、ちょっ……シーヴァさんの強引なのが移ってるよぉ……)
啓斗に引っ張られながらルカはそんな事を考えていた。
午後9時。
「ここが、指定されたレストランだな」
結局、この前のパーティの時に著たものがしっくり來た2人は、その黒スーツと緑のドレスでレストランに來ていた。
レストランは小高い丘の上に位置しており(移にはゴンドラを使った)、非常に見晴らしのいい場所だった。
そのまま2人でると、予約の確認を取った後に、窓際の席に通された。
案されるがままに席につき、向かい合って座る。
ルカは既にガチガチに固まっており、全ての作がぎこちない。
啓斗の方はいつもと変わらず、下を向いたままのルカの代わりにコースを注文したり飲みを注文したりしていた。
注文が一通り終わり、落ち著いたところで啓斗は確信した。
(見晴らしのいい超高級レストラン、しかも窓際、2人きり、正裝、ディナー……か)
(ここまで大掛かりにするということは、本気で來てるというわけだな。あの二人)
啓斗は、顔に出してはいないがかなりウンザリしている。
(シーヴァ、ゼーテ……ここまでして一何が目的なんだ?)
そして、目の前のを見る。
張から完全に凍りついているルカだが、外見で見れば本當に可く見える。
だが、それを言えばルカの張ゲージをあげるだけだということも啓斗は理解している。
取り敢えず、腕時計の新機能の「トークシステム」を使用。ゼーテにかける。
『ん……? 通信魔法? 誰?』
「俺だ。やってくれたな……ゼーテ」
『やってくれたな、って言われる筋合いはないよ。じゃあ、ごゆっくりー』
ゼーテは一方的に通信を切った。切られる寸前に近くから吹き出すような聲が聞こえたのは気のせいだと考えることにした。
(これは……並の戦闘より神経使うかもな)
休日2日目にして啓斗はまた疲れる羽目になるようだ。
だが、彼の長い夜はまだ始まったばかりである。
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