《異世界スキルガチャラー》2人きり(?)の食事 下

「まずい。ケイトに気づかれた」

ゼーテはシーヴァにそう言う。

「んん、流石僕が認めた男だ。勘が鋭い」

一方的に會話を切ったゼーテを見て思わず吹き出していたシーヴァも、顎に手を當てて考える。

現在、2人は対照的な純黒のスーツと純白のドレスにを包み、レストランへ向かうゴンドラに乗っていた。

「まぁ、どう足掻こうが引き返すこともできない。僕らが向かっても大丈夫だろう」

ゴンドラは靜かにレストランへと2人を運ぶ。

「な、なぁルカ、そこまで固まられるとこっちも張するんだが……」

スカートの裾を握り締めて一向に顔を上げないルカに啓斗は恐る恐る聲をかける。

ルカはあからさまにビクッとして、そろそろと顔を上げた。

「ご……めん、ケイト君。その、あまりにも豪華なレストランだから張しちゃって」

そう言って二へッと笑うが、それも々ぎこちない。

そこでまた啓斗は頭を悩ませる。

(まずい、俺にはこの狀況をどう打開すればいいか分からない!)

啓斗は、転移前の世界でもとの付き合いはなかったため、こういうシチュエーションに慣れていない。

要するに、お互いにこの気まずい空気を破る方法を持っていないのだ。

(どうするどうするどうするどうする……)

(どうしようどうしようどうしようどうしよう……)

最終的に啓斗まで固まってしまった。

どんどん空気が凍りついていくが、限界に達する前に料理が來たことでギリギリセーフとなった。

前菜のスープをすすりながら、啓斗は改めてルカを見る。

今は料理に集中しているからか張が解けている。

この空気をひっくり返すタイミングはここしかない。

「なあ、ルカ」

なるべく自然なじが出るように話しかける。

「な、ななに?」

ルカも普通に返事をしようとはしたのだが、どうにも張でし詰まってしまう。

「マリーはどういうじの子なんだ?俺はほとんど接してないからよく分からないんだ」

ここでマリーの話題を出したのには2つの理由がある。

1つは、言った通りの意味で、マリーについての確認。

もう1つは、気まずい空気を消してルカに調子を戻してもらうためだ。

「え、えーっと……」

ルカの顔のこわばりが張から思い出すためのものに変わったのを見て、啓斗は心でガッツポーズをした。

「マリーちゃんは、普通の小さなの子だよ。人形遊びが大好きで、眠くなったらすぐ寢ちゃう」

「だけど、たまにビックリするような魔法を使うの」

その言葉に、啓斗のセンサーは反応した。

「どういうのだ?」

すぐさま確認をとる。

「んーっと、人形とかおままごとの道とかを宙に浮かせてヒュンッて移させたりする」

ルカは斜め上を見上げながら言った。

(サイコキネシス系統か。あの子はルカに懐いているようだし、上手く仲間に引きれられればいいんだが)

啓斗は今後の戦力にマリーを加えようと考えている。

6歳のだが、だからこそ奇襲やサポートに向いていると思ったのだ。

「分かった、ありがとう。ところで、昨日言っていた戦いの話なんだが」

そのまま「」のからルカを引き離す。

「あの後、しばらく考えたんだ。俺が戦う理由ってやつを」

そう言って啓斗はルカの目を真っ直ぐに見る。

「俺は、ただ知りたいから戦っている。最初の狼の時でもう死ぬ覚悟はできた」

「普通の日常に、今は戻れない。だから、この普通じゃない場所を知り盡くしたい。そう思っただけだ」

「でも、いつかは……こっちと向こうを行き來出來るようになりたい。ただの願だけどな」

最後までルカの瞳をじっと見據えながら啓斗は言い切った。

ルカは、それを聞いてじっくり考え込んだ後に、こう言った。

「私は、ケイト君が來るまで、里と近くの森から出たことなかった。大人達からは、ずっと森の奧に行くのは止められてたし」

「同い年の友達も全然いなかったから、ケイト君が來た時につい嬉しくなっちゃって……」

そこでルカはボロボロと涙を流し始めた。

「え、ルカ、泣くなよ。どうしたんだ?」

啓斗は慌ててルカの頭をでる。

「ご……めん。あの時のケイト君のだらけの姿を思い出しちゃって……」

ルカはあのフォレストウルフ達との戦いを思い出したのだろう。

「はぁ……。あの時か。あれは仕方なかったと言ったろう?俺も悪かったんだし」

啓斗はそう言って何事もないようにデザートのケーキを口にれる。

「お、このケーキ味いな」

心で、話の導先を間違ったかと後悔する啓斗に、ルカはこう言った。

「ケイト君は、これからも旅を続けて戦うの?」

「……ああ。もしかしたら元の世界に戻れる方法が見つかるかもしれないからな。必要があれば戦うさ」

あくまでもケーキから視線を逸らさずに啓斗は返答した。

「……そうなんだ」

ルカはそれを聞いて俯くと、しして決心したように顔を上げる。

「私、ケイト君の旅にずっとついていっていいかな?」

唐突な質問に、啓斗は思い切りむせた。

「ゲホッゲホッゲホッ……そ、そうだな。俺は嬉しいけど、そこまで長期間になると里の人達が心配するんじゃないか?」

啓斗の答えに、ルカは複雑な表をした。

「そうだね。どうしようかな……」

ううむ、と考えるルカに、啓斗は1つの提案をした。

「じゃあ、今までの旅の報告も兼ねて、1度里に行ってみるか?」

それにルカは顔をパァっと明るくして頷いた。

「そうだね!それがいいよ!じゃあ、善は急げ、明日行こう!」

ルカは最初の固まりとはかけ離れたいつもの元気な雰囲気を醸し出し始めた。

そうと決まれば早く寢よう、とせかせかとケーキを食べ始めたルカを、啓斗はのんびり眺めていた。

「ぐぬぬぬ……ケイトめ、やるな。最終的にの話を一切振らずに食事を終わらせるとは……」

「まあ、でも収穫はあったしょ。ケイトにルカがずっと同行するのを、アイツは「嬉しい」って言ったし」

啓斗とルカからは見えない、仕切りのある席で、シーヴァとゼーテはそんな事を言っていた。

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