《異世界スキルガチャラー》大地を統べる龍の力

「行くよ!」

ルカが聲を掛けると、ルカがにまとった暴風が敵に襲いかかる。

クモ達はなすすべなく吹き飛び、親玉もきを止める。

更にルカが手をかすと、なんと周りの植のツタが一斉にき出し、アラクネラに絡みつく。

「グッシャァァァァァァァァ!!!」

親玉蜘蛛はを悶えさせて出しようとするが、ツタはまるで鋼のようなさを持っており、一向に引きちぎれない。

「ふっ!」

そのままツタを使ってギリギリと蜘蛛の巨を締め上げる。

そのまま空中に運び、自も飛び上がると、なんと素手でその頭を貫いた。

「おー!強い!凄い!」

ルカは自分のを見渡して大はしゃぎしている。

啓斗はそれを唖然として見つめていた。

(……ルカ、だよな?)

ルカの外見を改めて見ると、かなり人間離れな姿をしている。

まず、最も目につくのは皮だ。全が深い緑の鱗でびっしりと覆われている。

腰からは長い尾が、背中からは翼が生えており、鱗と同じく深い緑だ。(尾と翼は服を突き破って生えている)。

そして、顔は人としての原型を辛うじて留めているというレベルで「ドラゴン」になっていた。

一言で表すならば、「緑龍人」というのが分かりやすいだろうか。

「はへぇぇ……。強いけど……疲れるぅぅ……」

そのままヘナヘナと床に座り込む。

異世界に來て何度目かも分からないため息をつきながら、啓斗はルカを見やる。

「ルカ、それが地龍の力ってことか?」

確認をとってみる。

「うん、そうみたい。詳しく説明するよ」

そう言ってルカは謎の空間でに言われたことを話し始めた。

「あなたの持ってる能力は、私たち龍の力を一時的に借りれるもの。あ、自己紹介が遅れたわね。私は地龍グランドラ」

「大昔に死んじゃったし自慢にはならないけど、この世界の「聖龍」の一だったのよ」

「それで、大100年周期で私達聖龍の力を使える人がエルフ族から現れる。今回はあなた。私は、力が使える人に使い方をレクチャーしてるの」

そう言ったの周囲に、弱い風が吹き始める。その風はみるみるに強風となり、遂には小型の竜巻になった。

「地龍の力は大まかに3つよ。まず、この風を自由にる力」

、地龍は風を消し、足元に植を生やし始めた。

「次に、植と心を通わせて手足のように使える力。草の長を加速させたりツタで相手を捕まえたりできるわ」

地龍が指を鳴らすと、辺りが一瞬にして草原となり、その中央には巨大な樹がそびえ立った。

「まあ、ここまで出來るのは龍本人だけだけどね」

地龍はウフフ、と笑う。

「最後に、1番強力で1番危険な力を教えるわ」

そう言って地龍は地面に手を當てる。

「本當に危ないから、バランスをしっかり保ってね」

言われてルカも勢を整える。

次の瞬間、大地がグラグラと揺れ始める。

地震はドンドン強くなり、たった3秒で10を超える地割れを作り出した。

「大地自と同調して地震を繰り出す力。力の消費が激しいし、攻撃に見境みさかいがないから、いざという時にしか使っちゃダメ」

「平和な草原」から一瞬で「地震の爪痕」に変貌した世界を眺めながら、ルカはコクコクと頷く。

「平原だからまだ地割れだけで済むけど、街なんかでやったら大災害になりかねないから、本當に注意してね?」

地龍が最後にもう一度念を押す。

ルカももう一度しっかりと頷いた。

「それじゃあ、宜しくね。異世界人の彼のこと、しっかり守ってあげるのよ」

すると、視界がグルグル回り始める。

「そろそろ危ないわね。さあ、目覚めたと同時に龍の力はあなたに宿るわ。見た目が変わるのは気にしないで。翼が生えて便利なだけだから」

「それじゃあ、頑張って!」

ルカは、地龍の言葉を聞き終わると意識を失った

「っていうことがあったの」

ルカはそう話を締めくくった。

「…………………………」

啓斗は驚きのあまり聲も出ない。

能力の容も衝撃的だったが、最も気になったのは「地龍」の正である。

先程出會った男は、あの「世界」が地龍だと言った。

だが、ルカには「1人の」として直に會話もしている。その矛盾が分からない。

だが、それを考えている暇は無かった。

「あれ? 皆は?」

ルカの言葉を聞いて啓斗も周りを見る。

つい先程まで通路中に囚われていたエルフ達が姿を消しているのだ。

「あら、せっかく雇ったのに脆いわね。じゃあ、私が直々に奪い取ろうかしら」

いつの間にか巨大蜘蛛の死骸の隣にが立っていた。

そのは、まさに「深紅」と呼ぶに相応しい髪と瞳をしており、さらにの線が出るような(同じく赤い)ドレスをにまとっている。

しかもかなりの長で、180cmはあるだろうか。外見年齢は20代後半くらいに見える。

「ベルから聞いたわ。君、たくさんワザ持ってるらしいじゃない?」

啓斗を指さしながらは言う。

「私はマモン。7柱の「強」を司る悪魔よ。宜しくね」

「肩書きの通り、奪うのが大好きなの。命も、チカラもね……!」

そう言って艶やかな笑みを啓斗に向ける。

啓斗はマモンを睨みつけたが、ルカの方が一瞬凍りついていた。

「あら、気が強い年ね。嫌いじゃないわ。まぁ、取り敢えず……」

マモンは巨大蜘蛛の死骸にれる。

すると、きを止めていたクモ達がまたき出した。

「さあ、今から私が主人よ。そこの2人を捕らえなさい。殺しちゃダメよ」

その言葉と同時に2人を襲い始めた。

「私ね、大事な人を持ってる人からそれを奪うのが一番好きなの」

一転、悪魔と呼ぶに相応しい禍々しい笑みを浮かべたマモンに、2人は戦慄する。

「ルカちゃん、だったかしら?私を追わないと、あなたの友達とか全員死んじゃうわよ?」

そのままスタスタと2人とは逆、跡の奧へと歩いていく。

「追わないと皆が……!で、でも……」

今現在、戦う能力を持っているのはルカのみ。

MPが0の啓斗はただのひ弱な青年に過ぎない。置いていけば、迫り來るクモに抵抗するすべは無いだろう。

啓斗が戦えないとは知らないまでも、戦闘準備をしない啓斗に何か異変はじている。

マモンの背中と啓斗を見比べながらルカは頭を悩ませる。

だが、啓斗はこう言った。

「何してる!早く追え!見失ったら二度と追いつけないぞ!」

「で、でもそしたらケイト君は……」

「良いから追え!こっちは何とかするさ!」

思いきり背中を押されたルカは、戸いながらも走り出す。

「振り返るな!奴だけに集中しろ!」

後ろからは啓斗の大聲が響いた。

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