《異世界スキルガチャラー》啓斗の「ステータス」

「はあ!?100層ダンジョンに一人で行く!?アンタ正気!?」

朝食を終えてのんびりした雰囲気が流れる中で、啓斗はゼーテとルカにも無限ダンジョンに行く旨を伝えたのだが、ゼーテはシーヴァ以上に猛反対した。

「あのねぇ!ちょっといい加減にしなさいよ!毎日何かしらと戦ってるのよアンタ!」

「そうだよ!が治ってるからってストレスまで解消される訳じゃないよ!?」

100層ダンジョンがどういう場所かは知らないが、ルカも啓斗が心配で止めにかかる。

「俺は行くと決めたんだ。シーヴァも賛してくれたし、問題は無いはずだが」

「おいケイト君! 僕は君の説得を諦めただけであって賛はしてないからな!?」

「シーヴァ!なに簡単に引き下がってんのよ!もっと全力で止めなさいよ!」

その後10分に渡ってテーブルを囲んだ論爭は続いたが、啓斗が何を言っても頑として譲らなかったので3人が音ねを上げた。

「ハァ、ハァ……ホントに強ね……」

「だから僕も諦めたんだ、ゼーテ……」

「むう、ケイト君……なんで?」

異常なほどヒートアップしたゼーテと、それに引っ張られたルカ、終始苦い顔をしていたシーヴァは全員息を切らしている。

「……分かった、もういいわ。ただし、これだけは約束して。あまり奧には行き過ぎないこと。いい? 約束しないなら、実力行使をさせてもらうわ」

そう言ってゼーテが眼帯に手をかけると、シーヴァもこちらに敵意を向けてくるのをじる。

「ゼーテが本気でやるなら、僕も妹に加勢する。しっかり約束してくれ」

雙子の今までにない眼に圧倒された啓斗は、頷くしかなかった。

「……わ、分かった。約束するから殺気を放つのをやめろ」

啓斗の言葉にようやく落ち著いたゼーテは、そのまま席を立った。

「すまないな。昔、100層ダンジョンで々僕が遅れをとってね。それからゼーテはあの場所を嫌っているんだ」

バツの悪そうな顔をしながらシーヴァは語る。

「そこが確か……50階層だった。あそこから敵の強さが段違いになるんだ。だから僕は50階層以降はやめておいた方がいいと思う」

「……分かった。馬車はもう來てるのか?」

「ああ、正門に待たせてある。いつでも行くといい。10日経つ前には戻って來るんだぞ」

その後、ゼーテに続いて啓斗も席を立ち、馬車に向かった。

2人だけ殘されたシーヴァとルカ。

のんびりコーヒーを飲んでいるシーヴァをじーっと見つめていたルカだったが、シーヴァがいきなりこちらを見返したので慌てて視線を逸らした。

「おや、僕に見とれてたのかい?」

「あ、いやそういうわけでは……」

「だろうね。君は…………いや、なんでもない。そうだ、ケイトから聞いたんだが、不思議な力が覚醒したらしいね。後で見せてくれないか?」

「あ……分かりました!じゃあ、また後で!」

ルカは焦ったように立ち上がると、足早に出て行った。

「ふむ、まだ僕には警戒心があるのかな?」

「ああ、地龍の森からケイトが持ってきた書があったな。し読んでみるか」

シーヴァは、現在啓斗が寢泊まりしている部屋へと向かった。

「……100層ダンジョン、一何があるのか」

馬車の中、1人考え込んでいた啓斗の前に、いきなりナビゲーターが現れた。

『おい!おい、おい、おい、おい、啓斗様!』

『私の存在を忘れないで下さいって!ダンジョンに同行できるの私だけなんですから!』

ナビゲーターのホログラムは大きくなり、最初に會った時と同じ長になった。

『これからは々と私がアドバイスしつつの進行になるので、改めて宜しくお願いしますね』

「……そうだな。相談役がいるのは確かに心強い。よろしく頼む」

『それじゃあ、早速なんですが……ご自のステータスを確認されてはどうでしょう?自分の能力を知るのは初歩ですから』

ナビゲーターの意見はもっともだったので、啓斗は腕時計のメニューを開く。

新しく追加されていた「マイステータス」をタップした。

藤崎 啓斗

種族 人間(異人)

Lv0

HP:1000/1000

MP:10000/10000

P・ATK:C

M・ATK:G

DEF:D

DEX:B

SPD:C

LUK:E

魔法屬適正

火:G 水:G 風:G 土:G :G 闇:G 無:G

狀態:正常

特殊スキル:無し

固有スキル:

【スキルガチャラー】

腕時計を経由して「スキルガチャ」にアクセスすることが出來、排出されたスキルを自在に使用できる。

既に手したスキルがもう一度排出された場合、スキルの「レベル」が上がり、効果が増す。

「レベル」の上昇によってスキル名が変更されるケースもある。

ただし、スキルガチャからどんな威力、種類のスキルが出現するかは本人の運次第。

『はい、そんなじですね。ちなみにDEFやらSPDとかは1番上がSSで、1番下がGです』

『Lv0っていうのは、スキル抜きのステータスは上がらないっていう意味ですね』

『MPが10000もあるのは、サービスです。こちら側で一いだ形になります』

『魔法屬の全適正がGなのも、啓斗様がこの世界の人間じゃないからです』

ナビゲーターの説明を聞いた啓斗は、1つの疑問が浮かんだ。

「……なあ、なんでそっちで俺のステータスを自由に変更できるんだ?」

その質問に、ナビゲーターはあからさまに揺した素振りを見せた。

『はえ!?まあ、それは、アレですよアレ。えーっと、あー…………やっぱり言わなきゃダメですかねぇ』

口を尖らせて啓斗を見つめるナビゲーター。

「ここまで來たら教えてくれてもいいだろう。お前は何者だ?」

ダンジョンに到達するまであと數十分。

直に顔を合わせてはいないが、2人はお互いの目をまっすぐ見ていた。

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