《異世界スキルガチャラー》第11階層 おやつの時間

『それにしてもホント人工ばっかりですね』

「……というかもう、ダンジョンと言えるのか?これ」

10階層のゴーレムを倒し、さらに奧へと進んだ啓斗。

しかし、11階層は様相がまるきり違っていた。

『確かに、どう見ても闘技場ですよねココ』

「だよな。ほら見ろ、下から何か出てきた」

ダンジョンの床に突然出現した魔法陣から魔が召喚される。

容姿を簡潔に説明すると、筋骨隆々な狼が二足歩行で歩いている。

そのような魔が五。しかも、11が別々の武を持っている。

『えーっと……?お、あったあった。こいつらは「ウォーリアウルフ」というらしいです』

『數の群れで行し、魔力で生した武を使う。武はあくまで魔力の塊、実は無いので本を真っ直ぐ狙うべし、だそうです』

ナビゲーターの解説を聞いている間にも、狼たちは啓斗を取り囲むように散開する。

「戦略的だな。囲んで一気に……ってわけか」

『啓斗様、こいつらレベルならスナっちのいい餌になります。死を殘して下さいね』

啓斗は、まだ散開途中の狼の中の1匹へ突進した。

敵が反応する前に頭部に拳撃を叩き込む。

SRスキル【ハイパワーガントレット】

両手に鋼鉄製のガントレットを召喚し、更に自の筋力を増大させる。

シンプルなスキルだが、発すれば解除するまで消えないので利便が良い。

強力なパンチを顔面に喰らった狼は大きくよろける。

そのまま間髪れずに腹を毆打すると、狼は思わず前屈みになる。

(……なんだ? まるで、今までこういう喧嘩をしたことがあるみたいにがスムーズにく…… )

屈んだ狼の後頭部に全重を乗せた拳を叩き付けた。

『うーわ、嫌な殺し方ですね。撲殺て』

「死を殘せっていう指令だろ?なら、その中で戦い方を研究するまでだ」

話しながらガントレットを解除し、人差し指の皮を歯で噛みちぎる。

『ちょ、痛い痛い!何してるんですか!』

「何って、を出してるんだよ。いつもの弾丸作りさ」

『ああ、なるほど……ってなるかぁ!なんなんですか!?バカなんですか!?皮覚無いんですか!?』

ぶナビゲーターを目に、啓斗はの滴したたり落ちる指を前方に構える。

【緋クリムゾンノ・銃弾バレット】が発し、の滴しずくが細くも貫通力抜群の弾丸に姿を変える。

『確かに脳天を的確に貫けば即死させられますね。コントロール能も良いですから』

計4発、で作られた弾丸は狼へと高速で飛んでいく。

寸分も狙いを外さず、弾丸は全て狼たちの眉間に著弾した。

脳を貫かれた4の狼は膝から崩れ落ち、仰向けに倒れた。

『お見事ー!消費MPも合計300に抑えましたね!じゃあ、呼びますよ!』

『スナっちー!こいつら食べていいよー!』

「ワン!」

ナビゲーターの呼びかけに呼応し、小型犬が姿を現す。

子犬は狼の死に駆け寄ると、もうひと鳴きしてナビゲーターを見つめた。

「ワン!?」

『うん、食べていいよ!いっぱい食べて長するんだよー!』

「ワンワン!」

すると子犬は、いきなり狼を腳から貪り食い始めた・・・・・・・・・・・・。

グチャリ、グチャリとの千切れる音、ゴリゴリという骨を砕く音が響く。

「おい、魂を食うんじゃなかったのか?」

『ああ、それなんですが、スナっちは厳に言うと死ごと・・・・魂を食べるんですね。死が殘ると、ほんのしの間ですが魂はに殘留します。スナっちの種族はその狀態の死が大好なんですよ』

おぞましい音を立てながら死をがっつく子犬を、啓斗は直視出來なかった。

『スナっち達の種族は、そうして殺した敵の魂を食らうことで能力を奪う力を持っています。今では地上から駆逐されてしまったので、天界で極小數が保護されてますがね』

『更に彼らの特徴はその長の早さにもあります。獲を食えば食うほど圧倒的な早さで長し、奪い取った能力も簡単に使いこなせるようになります』

『古い文獻になら載ってますが、彼らは人々から「奪魂魔スナッチャー」と呼ばれました』

『でも、逆に魂の力が強くて奪魂魔を吸収しちゃう人間がごくごくごくたまーにいたりいなかったり』

ナビゲーターは止まらずにペラペラと喋り続ける。

『ちなみに言うと、奪魂魔を取り込んだ人間は半魔になって暴走。普通はそのまま暴れ狂って死んでしまいます』

『ですが、魔族の中の最も魔力が強い者……つまり「魔王」だけが、魂の暴走を止めることができます。そして、奪魂魔を吸収したのに生き長らえて敵からスキルを奪う能力を手したのが……?』

「マモン……というわけか」

『ご名答。一見、人の下になんて著かなそうなマモンが魔王に忠誠を誓ってるのはそういうカラクリがあるんです』

「命の恩人……か。重要だな」

『あ、そんなこんなしてるに食べ終わったみたいですよ。ほら』

ナビゲーターが指さした方向を見る。

そこにはついさっきまでの可らしい子犬とは違う生がいた。

つい先程まで捕食していたウォーリアウルフと似ている。

『奪魂魔は特定の姿を持ちません。最後に食べた生に似た姿に変するからです』

『この前に吸魂犬って言ったのは、啓斗様以外に正を知らせたくなかったからです』

『私は子犬が大好きでして。子犬の死を後で食べさせますから、次呼ぶ時には可いワンちゃんに戻ってますよ』

「ウオオオオオオオオ!!!」

狼が咆哮する。

『ほら、喜んでますよ。スナっち、戻っておいでー!』

ナビゲーターが一聲かけると、狼は腕時計に吸い込まれるように消えていった。

『それじゃ、改めて先に進みましょうか!』

疑問はし殘るが、啓斗はひとまずナビゲーターの言う通り先に進むことにした。

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