《異世界スキルガチャラー》第18階層 侵者迎撃システム
11階層からは、1階層につきモンスターとの1戦、という形になっていた。
12階層では電撃を放つ小型のネズミの大群、13階層では火炎を吹き出す石像3と戦闘を行った。
14階層では砂の中から現れた巨大なムカデを相手にし、15階層でエルフの里を襲撃した魔に酷似した巨大グモと戦った。
16階層の敵は一つ目巨人で、パワーが非常に高かった。
更に床がわざと脆くしてあったようで、戦闘中に巨人が床をぶち抜き、17階層で待ち構えていた巨大アリジゴクとの混戦にまで発展した。
「ゲホゲホッ……くそっ、砂まみれだ」
『でも凄いですねー。最後は【ソニックブースト】と、エンチャントしたとはいえただの【マジックソード】で倒しきっちゃうんですもん』
「ワン!ガツガツ……ハフハフ……モグモグ……」
『ほら、大喜びでがっついてますよ』
死が消滅していない、もしくは原型を留める程度に破壊した敵がいると自的にスナっちが現れ、まだ帯電しているネズミだろうが石像だろうが喰らい盡くした。
ナビゲーター曰いわく、
『長の糧かてにできそうなものは何でも食べますからねぇ。無機食べちゃうのはあの子特有の癖でしょうか?意味無いのに』
そのまま進んで第18階層まで來た。
また円形の闘技場で魔法陣が中央に敷かれている。
『またですかぁ?もうマンネリですよホントに。やる気あるんですかね?』
「知らん。だが、どうにも今回はそう簡単に行かなさそうだぞ」
魔法陣からは、魔が出現しなかった。
その代わりに………
「撃ってきた!」
『おおっと? 侵者迎撃用のシステムか何かですかね?』
魔法陣の真上の空中にいきなり火球が出現して啓斗に向かって飛んできたのだ。
間一髪で回避には功したのだが、第2第3の火球が次々に襲いかかってくる。
「おい、これはどうすればいい!?」
『今探してますって!えーっと……あと12秒待ってください!』
ナビゲーターが魔法陣について検索する短い時間の中、啓斗は火球を全力で避けまくっていた。
「おい、まだか!?」
『ちょ、あと2秒!…………あった!』
『これはトラップタイプの魔法陣で、規定時間殺されなければOK!』
「規定時間は!?」
『120秒! 殘りは……100秒です! ただし、殘り時間がなくなるにつれ魔法の威力と攻撃頻度が上がります!』
ナビゲーターの言う通り、火球の攻撃速度が上がってきている。
『全全霊で避けてください!URスキルでも何でも使って!』
「MPが無くなるぞ!本當にいいのか!?」
『問題ありません!今は回避に集中して!あと85秒!殘りMPは5200!』
啓斗は【ダッシュアップ】【トリプル・スピード】の併用によって火球から逃げていた。
ナビゲーターはタイマーをどこからか取り出し、殘り時間を示している。
殘り時間は70秒。
そこで、魔法陣の攻撃方法が変化した。
「石槍と雹ひょうだと!? レパートリーが多くないか!?」
床から即席の石槍が飛び出し、天井に分厚い雲がかかったかと思うと野球ボールサイズの雹が降り注ぎ始めた。
上下のダブルパンチとなり、更に避けるのが困難になる。
「くそっ、本気で殺しに來てる!」
『【ソニックブースト】も使ってください!』
【トリプル・スピード】が無ければ恐らく反応し切れずに串刺しにされるか頭蓋にを開けられていただろう。
石槍はピンポイントで足元に出現するため、タイミングが合えばどうにか避けられる。
しかし雹のほうは範囲にランダムに降ってくるため、避けきれない勢で雹の真下に移することがある。
そこで使うのが【ソニックブースト】だ。
一気に部屋の端まで移できるため急回避には最適。
ただし、1度につき300MP消費するのに7秒に1回のペースで使用してしまっている。
『あと20秒!殘りMPは………2150!』
ここで攻撃方法がまた変化した。
最初に攻撃してきた火球が追加されたのである。しかも追尾機能付きのグレードアップ版だ。
「噓だろ!?」
『死ぬ気で避けてください!でも死んじゃダメですよ!』
走り続けて火球から逃げ回りながら石槍を避け、雹をかわす。
正直、一発も食らっていないのはもはや運がいいとしか言えないだろう。
それほどのレベルの度の攻撃である。
『あと10秒!頑張って!』
「ぬあああああああああああああ!!!」
なりふり構わず【ソニックブースト】を使い続ける。
火球からは距離が離せるが、移場所にピンポイントで石槍が出現するためすぐに橫っ飛びで避けなければならない。
『あと5秒!』
するとピタリと攻撃が止む。
しかし、もちろん安全になったわけがない。
いきなり魔法陣が空中に浮かび上がり、そのまま極太のレーザーを発した。
「いやこれ先に進ます気無さすぎだろおぉぉぉぉ!」
『防してえぇぇぇぇ!!!!』
啓斗は、自のにレーザーがれる瞬間に【ジャストシールド】を行使した。
啓斗の目の前に展開された魔法障壁は、圧倒的威力のレーザー攻撃を完璧に打ち消した。
「……今までのどの魔よりもキツかった」
『ギリッギリセーフでしたね。殘りMP……50です』
啓斗は床にバッタリ仰向けで倒れ込んだ。
ナビゲーターも張からか疲れ切った顔をしている。
「で、MPほぼ全部使って無傷で済んだ訳だが、どうするんだ?」
『はい、実はですね、このダンジョンの19階層が休憩ポイントらしいんです。なのでここで使い切っても大丈夫かと』
「……なるほどな。よく調べたもんだ」
啓斗は疲弊し切ったを起こすと、ヨロヨロと19階層への階段を下りていった。
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