啓斗に連絡を取ろうと通信魔法を行使し続けているシーヴァだが、何故か繋がらない。

「くっ……出ないか。ゼーテ！どうやら通信が阻害される領域まで行ったらしい！」

「噓でしょ！？ もうそんな奧の階層まで行ったってこと！？」

「分からない！ だが、繋がらないものは繋がらないんだ！ 彼を止めるのを第一に考えろ！ 僕もすぐに復活してやる！」

シーヴァはビリビリと痛むに治癒魔法を使う。

ゼーテは、超高速で襲い來るルカの爪を必死にけ流していた。

「ガルルルルルルルルルルルルァァァァァァァァァァ！！！！」

完全に我を失ったルカは、耳をつんざく咆哮を上げながら雙子に襲いかかる。

『啓斗様ー！起きてくださーい！お時間ですよー！』

「んん……んんん………はぁ、もうそんなに経ったのか」

『はい。次は20階層！流れ的に見ると、また強敵が現れそうですね』

「だな、気を引き締めて行こうか」

そして啓斗は、心底嫌そうにテーブルの上の瓶を見る。

『持っていった方が得策ですよ。味はともかく、効果は本ですし』

「だよな………」

啓斗は瓶を左手で持つと、十九階層の部屋を後にした。

『そういえば啓斗様！』

「ん？」

二十階層へと降りる階段で、ナビゲーターが思い出したように聲をかける。

『この2時間で啓斗様についての履歴を全部読んだんですけど、隨分すごい経歴ですね』

「…………！！！」

その言葉に、啓斗の心臓がドクンと大きく跳ねた。

『啓斗様、どうしてあなたがこ・っ・ち・側・に召喚される対象になったのかようやく理解できました』

『転移対象に選ばれるのにも々條件がありますんで、比較的頭よくて現代でも大丈夫そうな方なのにどうして選出されたのか疑問だったんですよ』

『いやしかし、まさか啓斗様があんな……』

ナビゲーターはその先を口にできなかった。

啓斗が、今までに見た事のない目でじっと彼を見ていたからだ。

その目は、の通った人間のものとは思えない冷たい眼差しだった。

『ほ、ほら。そういう目が出來ちゃうせいですよ』

「…………………」

啓斗はナビゲーターの発言で我に返り、バツが悪そうに目を逸らした。

『だ、大丈夫ですよ！私これでも天使ですから、言いふらしたりなんてしません！なんなら相談に乗りますよ？』

「………何も言うな。何も聞くな。それだけでいい」

『りょ、了解です……』

かなり重くなった空気の中、啓斗は20階層への扉を開いた。

10層と似たような巨大なホールに出た。

しかし、一つ違う部分がある。足元が全て砂になっているのだ。

「きにくいな」

『ですね。あ、何かきましたよ！』

砂の下で巨大な何かがいているように砂がドンドン盛り上がっていく。

「まずい……！！」

『速っ！？逃げてぇー！！』

砂の下でく者は、驚異的なスピードで啓斗の真下にまで移。

啓斗は【ソニックブースト】でその場から遠くに離れた。

砂の盛り上がりが巨大になり、そのまま砂が吹き飛んだ。

「……またデカいのが相手か」

『はいはい、アレを調べますねー』

砂塵の中から姿を現したのは、超巨大な蛇だった。

縦長の、どこが瞳孔か分からない眼が7つほどあり、その全てが獨立して瞬まばたきを繰り返している。

「ゴーレムの次は大蛇か。機械相手の後は巨大生、何か様子を見られてるみたいだな」

『そうですね。……んーっと、あった！名稱は「災禍の落し子」！ある超危険生のですね！』

「は一なにになるんだ？ でこのデカさじゃの想像がつかないぞ……」

『はい、になると「世界蛇 ヨルムンガンド」になります。この世界でも危険度最高クラスにるヤバいモンスターですね』

人差し指を立ててペラペラと説明するナビゲーターの話を聞きつつ、蛇の様子を伺う。

「シュルルルルル……シュー……」

ガスれのような呼吸音を鳴らしながら、ズリズリと近づいてくる。

「ナビゲーター、スキルセットを呼び出してくれ。あと、コイツ倒したら一旦帰るぞ」

『了解しましたー。あ、食べさせるんで死殘してくださいね』

「逆にこんな奴の死を消し飛ばせる力がある奴に會ってみたいぞ？」

啓斗は、【サウザンドダガー】【ボルテージ】【マジックソード(エンチャント済み)】【貫通増強】を全て同時発。

手には魔法剣、周囲の空中には千本のダガーナイフが出現し、更に啓斗自も赤いオーラを纏う。

「全開だ。爬蟲類の駆除に時間を掛けてる暇は無いんだよ」

『ひゅー！かっくいー！』

大蛇が大口を開けて襲い掛かってくる。

啓斗は覚でナイフを作しながら大蛇のきを予測する。

ナビゲーターはそんな啓斗からし離れて、ボソリと言った。

『いやぁ、確かにそういう病・気・なら納得かもしれませんね。しかし、こっちに來てから刺激だらけ。もしも好奇心が強かったら表・に出てくる可能も……』