《異世界スキルガチャラー》ギガンティス討伐任務 4

「これで半分って所かしら。まだこっちを敵を認識してない時にありったけぶつけた訳だけど、魔力6割くらい使っちゃったわね……」

勢を崩したギガンティスを見下ろしながら、ゼーテは呼吸を整える。

【シャイニング・レイ】を約200発生して全てを顔に叩き込んだゼーテだが、彼の魔力では3割削るのでやっとだ。

殘り2割は、ルカの【雨の風矢】と啓斗のスキルチェインを発させた連続攻撃で削っている。

「ここからが正念場になる。……っ! 予兆が來た!!」

ギガンティスがそのまま大きく屈み、息を大きく吸い込む。

ゼーテはそれを見ると、自分は急いで(ここでゼーテは防音魔法を學んでおかなかったことをかなり後悔した)耳栓を著けつつ啓斗たちに向けて通信魔法を行使した。

「ケイト、ルカ! さっき言った咆哮が來るから耳塞いで!!」

『了解だ!』

『わ、分かった!』

啓斗はゼーテからの連絡をけ取ると、ギガンティスに向かって走っている時に探しておいたスキルを発した。

SRスキル【サウンドプルーフ】

すると、使用者の耳に屆く一切の音を遮斷する。効果時間は1分。

「流石にタメで1分は使わないはずだろ、一旦様子見だな」

した瞬間、啓斗は耳に響いていた風の音が消えたのをじた。

「多分この耳栓じゃまともに音防げなさそうだけど……よし、もっと離れよう」

ルカがそう判斷すると同時に、両足が勝手に龍鱗に包まれ、足先が大化して靴を突き破ってしまった。

「あ、やっちゃった。と、とにかく今は離れないと!」

局部的に龍人化させた腳力を使って大きくバックステップし、そのまま走ってギガンティスと距離を取った。

その様子を【百里眼】でしっかり確認した啓斗は、一安心という風に口の端を上げた。

(よし、あの距離ならルカも問題なさそうだな。いやちょっと待て、ゼーテがあの距離でまともな対処をしてるように見えないぞ? いや、まさかな……)

ゼーテもギガンティスから距離を取り出してはいるのだが、もし防音の魔法やら特殊な道を使わなかった場合、鼓を破られる可能が十分にある程度だ。

啓斗がそんな不安を抱えたまま、ギガンティスは息を吸い込むのを止める。そして、文字通り大気を震わすような咆哮が響き渡った。

「------オオオオオオォォォォォ!!!!!!」

完璧に音を遮斷した啓斗には何もじられないが、平原に生えていた草が引っこ抜かれて宙に舞い上がったのを見てどれだけの威力なのかは把握できていた。

すぐにルカの方を確認すると、耳を塞いでこまってはいるが無事のようだ。

そのままゼーテの方を見やると…………

啓斗が心の奧で想定していた最悪の事態が発生していた。

ギガンティスの咆哮の圧に負けて吹き飛ばされており、さらに地面へと落下していってしまっている。

慌てて【百里眼】で狀態を確認すると、耳からを流して白目を剝いている。

「バッカヤロ、自分で咆哮の危険を語っといてあのザマか!」

啓斗は大慌てで、自分が今いる背中の上空からゼーテの元へと向かう。

している途中に、ギガンティスがゆっくりとではあるがゼーテに向かって突進しようと構えているのを橫目にとらえた。

「くそっ、まずいな!」

空中での移でもスピードアップスキルのコンボを使用し、全力を盡くした啓斗は地面から5メートルほどの距離でギリギリゼーテを抱だき抱かかえるのに功した。

既にギガンティスはドスン、ドスンという音を立てて走り出している。

「ぐぅっ、急いで突進を喰らわない位置まで移して…………なっ!?」

この場から退避しようとしたその時、啓斗は自分のが重力に従って真っすぐ落下していく覚に陥った。

焦っていたために移中の啓斗は気づけなかったのだが、既に【3分間インスタントの・空中遊泳フライハイ】を使用してから3分が経過していたのだ。

「マジかよ、この勢じゃ衝撃吸収スキルも発できないしな……こりゃマズいかもな……」

彼が手している衝撃吸収系のスキルは、足から著地して衝撃を吸収してそれを推進力に変えるというものだけだ。

現在啓斗は、ゼーテのを抱えたまま仰向けの狀態で落下していっている。

結局、何もひらめくことができないまま地面に叩き付けられた。

「ガハァッ! ……ああ、背骨イカれたなコレ」

落下と同時に骨が折れるような「ベキャッ」という音を聞きながら吐し、そのままけなくなる。

視線をギガンティスの方へ向ければ、かなりのスピードで近づいてくる腳が見えた。

(まともにモンスターとも戦わないで、アクシデントで死ぬとか……笑えねぇよ……くそっ、が全然かねぇし、意識も……薄れてきた…………)

ゆっくりと降りてくる瞼に抵抗せず、目を閉じようとしたその時だった。

視界の端に、何やらくものが映る。

ルカが到著するにはここからでは遠すぎるし、ゼーテは既に気絶していてける狀態ではない。

それが何者かという純粋な疑問を解決するため、啓斗はひどく重いを無理やり反転させて瞼をこじ開け、前を見た。

そこに立っていたのは見覚えのある姿だった。しかもつい最近見た気がする。

かなり汚れた灰のツナギをに付け、ハサミではない適當な刃でバッサリと切ったような金のショートヘア。

右手にはその背丈と大差ないであろう大きな槌を肩に擔がせて持っている。

その人は振り返ると、外見年齢14、5歳のと呼ぶに相応しいその顔を男勝りにニカッと笑顔にし、左手の親指を立てて言った。

「オレに任せろ、き止めてやっからさ!」

その・・、武屋の娘「ラビア」は、槌を両手に持ち直すと駆け出す。

その速度は、ギガンティスが啓斗たちを踏み潰す前に前腳に到達するのには十分な速さだった。

「焼き砕いてやるよ! 【ヴォルカニック・クラッシュ】!!」

ラビアが槌をギガンティスの前腳に叩き込むと、啓斗が使っていた【フレイム&フリーズエンチャント】の火炎とは比べにならないほどの炎が起こり、一撃でギガンティスがバランスを崩して倒れ込んだ。

そのまま地面をってきたのだが、啓斗たちにぶつかる寸前で止まる。

「うっしゃ、このまま仕留めるぞ!!」

ラビアは槌を握り直してにやりと笑った。

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