《異世界スキルガチャラー》ギガンティス討伐任務 5

まるで発するように燃焼したギガンティスの左前腳は、真っ黒に焦げてしまっている。

見た目からはっきりと分かるその火炎の威力の桁違いさに、啓斗は自分が負っている重傷の痛みも忘れて目を見張った。

彼が驚愕に飲み込まれて呆然としていると、橫から一陣の強風と共にルカが走ってきた。

「ケイト君、ゼーテさん、大丈夫!?」

「あ、ああ、見ての通りボロボロだが、今向こうで戦ってくれてる人のおかげで回復魔法を何とか使う時間ができた。心配しなくていい」

「良かったぁ、でも、あの人いったい誰なの? いきなりギガンティスの腳が大発したけど……」

「そこに関しては俺にも分からない……よし、回復した」

啓斗は2000MPを消費して【ゼノ・ヒール】を2度行使し、自とゼーテの傷を完璧に治した。

そして破られた鼓が修復され、意識を取り戻して飛び起きたゼーテに向かって、啓斗は痛烈なデコピンをかました。

「痛っ! なにすんのよ!?」

「何してる、はこっちのセリフだ! あれだけギガンティスの攻撃で最も注意する點は咆哮だと言っておいて、自分だけまともに喰らってたら元も子もないだろう!」

「う……」

「もしもあの子が助けに來てくれなかったら確実に二人とも即死だったんだぞ! もうし慎重になるか危機を持て! お前の兄さんもお前を助けようとして大怪我したっていうのがまだ分からないのか!?」

あまり聲を荒らげない啓斗には珍しく、鬼の形相でゼーテに向かってまくしたてる。

も何か反論しようとした様子だったが、思い當たる節があったようで、歯を食いしばった後に絞り出すようにして小さく

「ご、ごめん……」

とだけ言って俯いてしまった。

啓斗自もガラにもなく強い口調になってしまったのがし気まずかったようで、無言で頭を2、3度掻いてから話題を切り替えた。

「今、向こうでギガンティスの腳を破した人だが」

ドオォォォォォン!!!

また響いた発音に思わず目を向けると、金屬製と思われる大槌を再び左前腳に振り下ろしているツナギのの姿が目にった。

「……今、向こうでギガンティスの腳を破した人だが、実は面識がある。多分ゼーテも知ってるんじゃないか?」

「私、騎士団員と城の人以外に知り合いなんて思い浮かばないんだけど」

啓斗に目を合わせずにゼーテは素っ気なく返事をする。

があからさまに放ってくる不機嫌オーラを完全に無視して、啓斗はその名を口にした。

「昨日行った武屋の娘なんだ。名前が……確か、ラビアって言ったか」

「ラビアって、まさかラビア・ムルキベルのこと? ヴァーリュオン1の品質を誇ってる鍛冶屋「Vulcan'sヴァルカンズ furnaceファーネス」の娘さんよ?」

「ああ、店の名前も確かそんなじだった。ていうか、鍛冶屋なのか? 看板には武屋ってあったが」

「表向きはね。本業は寶レベルの武を作ったり、王城から依頼をけて修復すること。客の腕を認めてもらえないと他の武屋でも売ってる武しか売ってくれない。まあ、それでも品質はヴァーリュオン國のどこの店と比べても倍くらい違うけど」

「そんなに凄いところだったのか。不自然な裏路地に店を構えてるもんだから怪しんでたんだが」

「とんでもないわ! 王城と何代にも渡って流を続けてきた由緒ある家系で、貴族家の中でも最高位に位置するものすっごい人たちなのよ!」

ついさっきまでのふてくされたじはどこへやら、ゼーテは興もあらわにしゃべり続ける。

「ムルキベル家の筋の特長は、火屬の魔法への適が隨一なこと。しかも火炎ををひたすら突き詰めた人が先祖にいて、伝の奧義もあるらしいの。火の魔法だけで言ったらこの國で右に出る者はいないとも言われてるわ」

「す、凄い人たちなんだね……」

「うん、ルカの言う通り「凄腕」っていうのが一番しっくりくる。そっか、ラビアちゃんか。それならあそこまで強いのも納得ね」

言いながら立ち上がったゼーテだが、ふらついてルカに抱き留められてしまった。

「ゼーテさん、大丈夫?」

「何かグラグラする……」

「俺の回復魔法は、外傷は治せるけど脳とかまで屆いたダメージは消せない。鼓に響いたのが脳まで伝わって殘ってるんだろう。無理をしない方がいい」

「な、に言ってるの。大丈夫に決まってるでしょ、私にだけふがいない思いさせようったってそうはいかないんだから……あうっ!」

やはり平衡覚が保てないようで、ゼーテはその場に座り込んでしまった。

「ルカ、ゼーテを連れてし離れていてくれ。例の作戦、覚えてるよな?」

「うん、いつでも出來るよ! ケイト君、頑張ってね!」

ルカはゼーテを抱え上げると、そのまま啓斗とギガンティスから離れていった。

すると、ラビアがこちらに向かって猛スピードで走ってくる。

「ん、兄さんはまだ戦えんの?」

「ああ、任務だしな。まだギブアップってわけにはいかない」

「てことは実力はあるってことだな。そんじゃ、いっちょぶちかますとしますかぁ!」

啓斗とラビアは、勢を立て直したギガンティスに向かって同時に向かっていった。

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