《異世界スキルガチャラー》不明の襲撃者 2

「ニャッハハハハ! スナイプスナイプスニャアイプゥゥゥ!!」

スナイパーライフルを扱っているとは思えない速度で、弾丸を放ってリロードを行う。

」と呼んでも差し支えないほどに撃ちまくっているのだが、放った弾丸は全て騎士団の団員、馬、馬車の車のうちどれかに命中しているという異常な正確ぶりだ。

「くそっ、誰だか知らないが計畫的に攻撃してきてるな。さっきから人だけじゃなく、移手段も潰しにかかってきてる。しかし、何発もバンバン撃ってきてくれたおかげで大どのあたりにいるか見當がついたぞ」

「ケイト君、どうするの? 私たちの近くにいる人たちは隠れられたけど、代わりに遠くの人たちが狙撃されてるよ!」

ルカが涙目で言う通り、啓斗の周囲の団員は線から隠れるように馬車のを潛めているために銃撃から逃れているが、狀況を把握できていない遠くの団員が狙われている。

「ルカ、俺が今から敵の位置を探るから、言った場所に向かって真っ直ぐ矢を放ってくれ」

「分かった、準備するね」

啓斗は【百里眼】を発させると、線の向こう側を重點的に視て捜索する。

(どこだ……どこにいる……)

啓斗たちが今いる位置からさほど遠くない、約1キロメートル先の小高い丘の上。そこに人影があった。

しかし、その容姿は啓斗が見た中で初めてのものだった。立ったままこちらに向かってスナイパーライフルを構えているその人は、頭の上に貓のような耳を生やしていた。

さらに尾もあり、今はピンと立っている。

「貓の獣人! ルカ、あの丘の上に俺たちを狙っている奴がいる。ちょっと構えてくれ!」

「うん!」

ルカはラビアからもらった弓に矢をつがえると、丘のてっぺんに向けて放つ構えを取った。

「もうし右だ。そう、あともうし上がいい。ルカ、この矢は放ったら完璧にまっすぐ飛ぶって考えていいか?」

「大丈夫、そういう風向きに調整するから」

「分かった、じゃあ俺はお前が矢を放ったと同時に丘に向かって走る。俺が走ったら、お前はゼーテとラビアに狀況を伝えてくれ」

「ケイト君、一人で大丈夫なの?」

「心配なら、やることをやってから助けに來てくれ。それじゃあ、行くぞ」

全力で弓を引きしぼり、矢を放つ。同時に啓斗が【ダッシュアップ】と【トリプル・スピード】を発し、スタートを切った。

「んニャ? 何か飛んで……ゲゲッ!?」

ライフルのスコープを覗くと、凄いスピードで飛んでくる弓の矢と、それに引けを取らない速度でこちらに向かって猛ダッシュしてくる青年が視界にった。

「やっば……ギニャー!!!」

矢はスナイパーライフルの銃口をを見事に貫き、そのまま銃が大発を起こす。確実に発は貓耳のを巻き込んだ。

「よし、流石はルカだ。完璧な狙いだな」

敵の武が破壊されたのを確認している時、啓斗は既に丘のふもとまで來ていた。ほんのしだけじている疲労を無視しつつ、一気に丘を駆け上がる。

頂上まで辿り著くと、見つかったのは一臺のバイクと空の箱が4つ、地面に投げ捨てられてある銃に大が開いて使いにならなくなったスナイパーライフルが一丁。

そして、そのライフルの隣に無・傷・で・立っている貓の獣人と思わしきが立っていた。

「まさか、あの発を回避するとはな」

「ニャヒヒ、流石にこの裝備で発に巻き込まれたらシャレにならないからニャー」

言われてを改めてよく見ると、腰回りにぐるりと手榴弾がくくり付けられており、更には両足にハンドガンが1丁ずつ裝著されているのが分かった。

「でも、まさかアタシの場所がバレるとは思ってなかったニャ。座標特定ソフト搭載の小型攜帯端末でも持ってるのかニャ?」

「別に何でもいいだろう、お前が知ったところで何が起きるわけでもない」

「なら、力盡くで聞き出すだけだニャ。アタシの近接銃戦闘、キミのに刻み込んであげるニャ」

「お前みたいな妙な奴にかまってる時間は無いんだ。さっさと終わらせてやる」

「怖い怖い。それじゃ、いっちょ始めるかニャ!」

そう言い放つと同時に貓は腰の手榴弾のうち1つ、黃い塗裝のを素早く手に取ってピンを抜くと、啓斗に向かって投げつけてきた。

咄嗟にをかわすと、貓の姿がいきなり景に溶け込むように見えなくなる。

「ど、どこに……!?」

「う・し・ろ・ニャ♪」

振り返ると、満面の笑みを浮かべたがマズルスパイクが付いたハンドガンをこちらに向かって振り上げていた。

「うぐうっ!?」

「せっかく投げたバクダンを避けちゃ駄目ニャ。ちゃんと喰らうニャー」

マズルで毆りつけられ、地面に落ちた手榴弾に覆いかぶさるように倒れ込んでしまう。

「安心するニャ。猛烈な閃で目を潰すだけの、ただのスタングレネードだニャ」

バシュン、という音が耳に屆くとともに、啓斗の目にカメラのフラッシュを何十倍にも強化したようなり込む。

「うぐああああぁぁぁぁ!!!!」

「んー、いい聲出すニャー。ほらほら、すぐに対応しないと後ろからBAN! しちゃうニャよー」

両目を抑えてその場から飛び退いた啓斗に、は正確に銃口を向けている。

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