「……う、んんん！？」

襲い掛かってくる猛烈な頭痛にめまいを覚えながら、「啓斗」はその意識を覚醒させた。

しかも、気づけば自分の腹から大量出・ホテルの隣りの上空を飛んでいる・真上にルカと正不明の人と、いきなり訳の分からないことだらけだ。

「一、何がどうなってるんだ！？ おい、教えろ！」

「うるっせーな！ こちとら好きでお前を呼び出したわけじゃねーんだよ！」

そこで啓斗は、自分の意思に関係なくが上昇しており、さらに今自分の口が勝手に喋ったことに気が付いた。

「本當に何が起きてるんだ！？ 簡潔に説明しろ！」

「あー、俺じゃ話の組み立てが面倒だ。オイ、奧・の・方・で大笑いしてねーでお前が説明しやがれ！ こういうのはお前の役だろが！」

『ふふ、ゴメンね。サラッと説明させてもらうと、この大聲出してる馬鹿が大暴れしてね、當初の目標は達したけど大ピンチになっちゃったから出。で、地震起こしてくれたルカちゃんの方も問題発生っぽくて、見てわかる通り彼の方も誰かを警戒してる』

「……それと、俺のこの狀況をどう結び付けろっていうんだ？」

『なんかキミ、鈍くなってない？ ルカちゃんが心を開くのは、キミじゃなきゃダメなんだよ。が同じでも、言がキミじゃなきゃ無意味だからねぇ。その為に呼んだの』

頭の中に強制的に浮かぶ、小柄な年のヴィジョンが全をかしながらペラペラ喋る。

だが、その顔は何故か黒い霧のようなものに覆われており、顔の郭がしっかりあれば目であろうという部分には黃いが2つ浮いていた。

『ただし、かす方の主導権はキミには無いから。あくまで彼の説得要員としてちょっとだけ働いてもらうよ、ボクと彼の指示の下でね』

「お前ら……」

『まあまあ、そんな怒らない。この一騒終わったらは返すよ。それまでくらい、ボクらにお祭り騒ぎを楽しませてよ。ね？』

「……くそっ、今の狀況じゃ呑むしか無いな」

『そーなるね。じゃ、もうすぐ彼のところに著くから説得して』

數秒後、翼と尾だけが発現している狀態のルカの所まで上昇した。隣まで近づいた瞬間に、勝手に頭が彼の方を向いた。

「あ、ケイト君！ ものすごい出てるけど大丈夫！？」

「ああ、死んでないから大丈夫だ。それより、あの上にいるのは誰だ？」

「私も分かんない。でも、このホテルを破したのはあの人だよ！ 確かに屋上から落としたはずなのに……飛んでる」

「俺たちはこれからジャンクヤードに行かなきゃならない。だがあの異様な風貌から見るに、アイツもまともな奴じゃなさそうだ」

「ど、どういうこと？」

「アイツがジャンクヤードの住人かもしれないってことだ。上手くいけばベネットの報も聞き出せるかもしれない。倒すぞ」

「分かった、行こう！ ……あ、やっぱり見てて怖いからその怪我治しとくね」

ルカが啓斗の腹に軽くれると、淡い緑のとともに彼の怪我がまるで元々無かったかのように治ってしまった。

「ありがとな。よし、行くぞ！」

「うん！」

會話が終わると同時に、啓斗のは思いっ切り上空にいる人に向かっていく。ルカもその後ろにピッタリ付いていった。

だが、上にいる人影も上昇していく。どうやらもう一度屋上に向かっているようだ。

「は、速い！ あんなにきが速いなんて……！」

「何かあるらしい。さっきまで戦ってたらしいが、同じだと思わない方が良さそうだぞ」

「うん、気を付ける」

そこまで話したところで、また脳にヴィジョンが浮かび上がる。今度は年の方と、なにやら啓斗と同じくらいの長をした、同じく黒い霧に顔を覆われ、両目があるべき部分に赤いを宿す青年もいた。

『さーて、そろそろキミにはコ・ッ・チ・に戻ってきてもらうよ。でも眠っちゃダメだ、戦いには冷靜さも必要だからね』

「何を……ううっ！？」

だけは真っすぐに屋上を目指しながら、啓斗は意識を失う。

気づけば、目の前に黃目の年がいる真っ白な空間にいた。赤目の方は既にいなくなっていた。

「ようこそようこそ、ボクらの『ブレインルーム』へ。キミが來るのは……そうだなぁ、もう何年振りになるかな」

「そんなことはどうでもいい。ここで話せば、今表面に出てるあの暴者にも聲が屆くんだろ？」

「そそ、彼が無茶しそうになったら無理やりにでも止めてあげて。ここは心の中、固い意志を持ってべば、一瞬だけど行に現れるはずだ。それじゃ、よろしくね」

そう言うと、年が指を鳴らす。

すると、いきなり映畫館にあるような巨大なモニターが出現した。どうやら自分が今見ている風景が映し出されているようだ。

「じゃ、ボクちょっと疲れたから寢るね。おやすみー」

年のは煙のようにフッと消える。

目の前の映像では、すでに屋上に到著しており、何やらガスマスクを著けた小柄な人に向かい合っていた。

「……増援を確認。更に、増援がこの狀況を打開し得る人であると理解。到著まで數十秒、耐えなければ」

ガスマスクを著けたは、周囲に筒狀のユニットを大量に展開する。と破損合から見るに、さきほどまで「パワードアーマー」だったのようだ。

「コード『弾幕領域』を起、対象を目の前にいる2名に設定」

そう合図すると、筒全てにピンクのる縦線がる。

そして、一斉に(文字通り「速」の)レーザーが放たれる。

間一髪でそれを避けた2人だったが、移先を予測したかのように、その場所に手榴弾が投げ込まれていた。

「うあっ！？」

「マジかよ……！？」

避ける間もなく、2人とも風に巻き込まれた。

「私は『ボス』に注文されてアーマーの能テストをしていただけです。本當の戦い方をすれば、あなたがたを一時的にけなくする程度には対応できます」

そう言った彼のには、気づけば無數の手榴弾が巻き付けられていた。恐らく30は超えているだろう。

「私の本職は弾を使ったお仕事です。では、私の真の腕前をお見せしましょう」

そしては、青の塗裝がされた手榴弾のピンを片手ずつ2個、親指で抜いた。