「……ベネット！！」

「ニャハハ、名前を覚えてもらってるなんて嬉しいニャ。でもそんなにカッカしないでしいニャ。怒るのはに毒だニャ？」

「うるせぇ！ この俺から盜りなんざしやがって、お前にだけは容赦しねぇぞコラァ！！」

怒號のようなび聲を上げてベネットに食い掛かる(兇暴な人格が表面に出ている)啓斗と、それを嘲笑するように見つめるベネット。

ベネットの両隣に立つ2人のは、ルカの方に意識を向けている。

「ヴェローナとレイラはそっちのオンナノコの相手してあげてニャ。アタシは怒り心頭っぽいカレと戦ってあげるから、邪魔しないようにニャ」

「はいはーい！ じゃあレイラ、ベネットさんの言うことは絶対だからね、そっちのドラゴンみたいなの人を倒そう」

「了解。では行きましょう、『ボス』にご迷をお掛けしないように努めます」

二丁拳銃をルカに向かって連しながらヴェローナが突っ込み、その後方からレイラが非常に高い放線を描かせながら手榴弾を投げてくる。

『流石のルカでもあの2人と2対1はまずい！ 助けろ！』

「うるせぇな、それくらい分かってるっつの！」

ルカを助けるために走り出した啓斗だが、いきなり顔面を弾かれて後ろに吹っ飛んだ。

啓斗の顔面を蹴り飛ばしたベネットは、その顔の笑みを崩さずに向き直って大鎌を構える。

「君の相手はアタシだニャ。君がくれた〈ヴァリアブルリーパー〉をチョチョッと改造してもらって、扱いやすくしたニャ。早速実験臺になってしいニャ！」

「その武も俺らから盜んだモンだろうが……お前を分解してお仲間のところに捨ててやるから覚悟しやがれ！」

『おい、ルカを助けろと言ってるだろ！ くそ、もう聞く耳も持ってないな』

冷靜な「啓斗」の言葉を完全に無視し、【トリプル・スピード】を発してベネットの懐に飛び込もうとする。

しかしベネットの方も手慣れたもので、近づかれた瞬間にタイミングを合わせて腹に蹴りをお見舞いし、柄の部分で突き飛ばす。

「ぐおっ！？」

「んー、弱くは無いんだろうけどきが素人さんだニャー。ま、とにかく切れ味テスト行っくニャー！」

きが止まった啓斗に向けて、ベネットは大鎌を振り上げる。その刃には、派手な音を立てながら電流が流れていた。

「あの世へご案ニャーい！！」

「させるかよ！」

白熱した腕をコンクリートの床に叩き付けて発を起こし、ベネットに向けて大量のがれきを飛ばした。

鎌を振り上げていたために防の構えを取ることができず、ベネットも數メートル吹っ飛ばされた。

「あぎゃ！ ちょっと予想外だったニャ、流石ニャね」

「……さっさとやられろよ、この野良貓がぁ！」

未だにニコニコしているベネットと、さらにヒートアップしている啓斗は、同時に相手に向かって突進していく。

「大鎌ぶん投げ攻撃ー！」

回転しながら飛んできた大鎌を間一髪でよけながら突っ込み、ベネットの顔面に毆りかかる。同時にベネットも啓斗の顔面に拳を振るった。

互いの頬に互いの拳が叩き込まれ、ベネットの顔面は発し、啓斗はさっきより強力に吹っ飛ばされて屋上から落ちて行ってしまった。

「ケイト君！？」

「よそ見は！ 撃ちまくりだぁぁぁ！！！」

思わず啓斗の方に注意がそれたルカの隙を突き、超至近距離でヴェローナが銃をした。

その全てがルカの龍化していない生の部分を捉え、そのまま顎を蹴り上げられて倒れてしまった。

「う、うう……」

「おっと、私はちょっと離れるね」

ヴェローナがバックステップして距離を取った數秒後、時間差で手榴弾が落ちてきたと思うとそのまま発した。

「……ううっ、くふっ」

「へぇ、この狀態でも死なないんですね。ここまで耐久力が高い人は初めてですけど、逆に銃殺のし甲斐がありますよ。ね、レイラ？」

「発力向上のための參考になりそうです。できれば殺したくはないですね」

「えー？ まあ、取り敢えず中に風開けてあげましょうか！」

そうしてヴェローナが再び銃をルカに向けたその時、銃が別のところから飛んできた銃弾によって弾き飛ばされた。

「えっ？」

「ど、どこから銃撃が！？」

驚いたレイラが周囲を見渡すと、ベネットの奧に人影が2つあった。

1つは先ほどベネットが吹っ飛ばしたはずの啓斗。もう1つは、その男をここまで運び、そのまま銃撃した人だった。

「ンニャ……あんたも來たのかニャ？ ブルーワース巡査さん」

「犯罪者を取り締まるのが警察の仕事だ。それに、〈ジャンクヤード・ジャンキーズ〉の構員が3人も現行犯逮捕が可能となれば、見過ごすわけにはいかない」

「んー、まあ參加者が増えたっていうのは良いことだニャ。巡査さんもパーティ、楽しんでいってニャ！」

【熱拳バーニングフィスト】で毆られたはずなのに無傷のベネットはケタケタと笑いながら、ミューズに向かって襲い掛かった。