「お姉さんはハチの巣にしてしっかり殺してあげます……よ！」

「そんなの免に決まってるでしょ！」

俊敏かつ強靭な裁きで、ヴェローナはルカの必死の攻撃を全てさばきながら要所要所で銃を撃ち込んでくる。

ルカよりし小さい、155センチメートル程度の軀はルカの周囲を縦橫無盡にき回っており、恐らく龍化しているルカほどのレベルの視力が無ければ捉えきれないだろう。

「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねー！！」

「うっ……ぐうううぅ！？」

四方八方から放たれる銃弾は、現在は両腕両腳と尾、翼の部分しか龍化していないルカの龍鱗が無いの部位を的確に貫く。

銃弾がを貫通した瞬間にその傷はある程度治癒しているのだが、彼の力は減していく一方だ。

そして、ルカが理を保てる限界の力をあっという間に突破してしまった。

「うう……う、ウゥ……ウガアァァァァ！！」

「……！？ だ、第二形態、いや、第三形態ですか！？」

遂にルカは全が完全に龍化し、目の前で目を見開いている「敵」を倒すためだけに、本能に従って襲い掛かった。

「ちょっ、早……！？」

「ガルアアァ！」

龍爪による切り裂き攻撃を間一髪で回避するが、し切れずに頬を軽く切ってしまう。

垂れたを右手の親指でサッとぬぐいながら、ヴェローナは何やら通信を始める。そのまま距離を取ると、その位置に先ほどレイラが搭乗していた〈パワードアーマー〉の殘骸が飛んできた。

いや、正確に言えば殘骸ではない。合すればパワードアーマーになるであろう沢山の「パーツ」が飛んできたのだ。そのパーツは、最初に屋上の床に散らばっていた無數の銃火を運んでいた。

「クアッ！！」

「ショットガンでも喰らえーっ！」

浮遊しているアーマーのパーツのうちの1つから散弾銃をもぎ取ると、小さく跳躍しながら攻撃してきているルカに向かってぶっ放した。

腹部に命中した散弾は、龍鱗を一部吹き飛ばしながらそのにめり込んだ。

「ガオッ！？」

「よし、究極改造した試作品だからもしかしてと思って撃ってみたら正解だった！」

ルカを數メートル引き離すことに功したヴェローナだが、ショットガンの銃は一発撃っただけでひしゃげてしまった。

「む、耐久に難ありですか。まあ、威力は申し分ないから改造を続けましょう」

壊れたショットガンを投げ捨てると、他のアーマーパーツから今度は巨大なロケットランチャーを取り、もう龍鱗が生え変わったルカに向けて構えた。

このロケットランチャーはヴェローナの長よりしだけ長いという大きさで、弾頭もかなりの大きさだ。人間が撃ち込まれれば、まず骨のかけらも殘らないだろうという威力をめている可能が非常に高い。

「ガアアアァァ！！！」

「きが直線的だし、これは當たりますよ」

猛然と突進してくるルカに向けてに狙いをつけ、ロケットランチャーを発する。弾頭は彼に吸い込まれるように飛び、その鱗にれた瞬間に大発を引き起こした。

「よし、今のうちに……」

ヴェローナは他のパーツから今度はサブマシンガンを二取り、発によって起きた煙に向かって走る。

「煙が晴れるまで、3、2、1……」

煙が晴れると、上を向いて白目を剝いた狀態のルカが見える。きが止まった彼に向けてSMGを連しつつ、パーツを自分と平行移させる。

「これで、トドメェェ！！」

マシンガンの弾丸をほぼ全てモロに喰らったルカは倒れ込み、ヴェローナはその寸前の位置で跳躍する。空中でパーツからグレネードランチャーを取り、回りながら倒れたルカに4、5発撃ち込む。

「ジ・エンド！ いやぁ、久しぶりに撃ちまくってイイキモチですぅ……」

著地すると同時に連続の発が起き、またルカの姿が見えなくなる。ヴェローナは恍惚の表でうっとりと空を見上げて笑った。

煙が晴れた後には、龍化が解除されたルカが全に酷い火傷を負った狀態で仰向けに倒れていた。