《異世界スキルガチャラー》パーティナイト・フィナーレ 2

「あー、もう! ベネット何してんの! 敵と戦う時はまず能力値を分析しろっていつも言ってるのに!」

「今のはベネットの過失というよりかは向こうの行が予想外だったせいだろ。お前、オーバーリアクションじゃないか?」

巨大モニター越しにベネットたちと啓斗たちの戦いを観戦していたローグ・ジェド・ミリアのジャンキーズ3名。

現在起きているベネットの異常に、ローグは頭を掻きむしって焦っている。

「焦るに決まってるよ! 彼は僕の最高傑作なんだ! このまま分解されてデータ消去なんてされたら自殺モノだよ!!」

「ちょっと、落ち著きなさい。あなたこの前言ってたじゃない、あの子の行と戦闘の記録はリアルタイムでバックアップしてるから問題ないって」

「……あ、そうだよね。そうだったそうだった。アレさえ無事ならこの狀況も何も問題なかったんだった」

「全く、しっかりしろ。ウチは俺のヤクとお前のメカニックとハッキングの腕、それとヴェローナの売で持ってるんだ。むしろ今はヴェローナたちの救出を優先すべきだろう」

「……分かったよ。ベネット用の義は費用がかさむからなるべく壊したくなかったんだけど、彼を一旦犠牲にしてヴェローナとレイラを助けるよ」

そう言うとローグは床に放ってあったノートパソコンを拾って立ち上げ、何かの作をし出す。

「あの狀況からみると、ベネットたちがやや不利というじだが。一発逆転の手があるのか?」

「まあね。負荷がめちゃんこ大きいから、モードを搭載はしてたんだけど1回も起してないんだ。ベネットは存在すらたぶん忘れてるよ」

「そんなに負擔大きいの? 大丈夫かしら……」

「今回はもうベネットの義の耐久を無視して戦わせるから、関係ないよ。えーっと、義に保存されてる自我データと戦闘記録を転送して…………よし」

ローグがパソコンを作している間にも、モニター畫面には啓斗とヴェローナの戦いの様子がリアルタイムで映し出されている。

狀況的には、ヴェローナが啓斗に反撃してベネットの元へと走っているところだ。それと同時に、増援要請を知らせるランプが點燈した。

「ああ、ヴェローナもレイラも焦りすぎだ! ジェド、彼に連絡して急いでレイラと一緒に出するように言って! ミリアさんはレイラに増援要請についての応答!」

「分かった。ヴェローナにはベネットは放っておいて逃走するように伝えておく」

「ミリアさんはレイラに増援はいらないっていう返事ね! ちょっと、聞いてる!?」

しかし、ミリアは返事を一切せずに何やら自の攜帯型端末を作し続けている。

「ねえ、何してるの!?」

「こんなチャンス滅多にないもの……私は私のやりたい事を今回はやらせてもらうわ!」

「ちょ、何言って……ミリアさん!?」

ミリアはニタリと笑みを浮かべると、を翻して階段を駆け下りて行ってしまった。

「ミリアさん、何をする気なんだ?」

「……ローグ、通信を終えたぞ。ミリアがどうしたんだ?」

「ミリアさん、いきなり階段を下りて行っちゃったんだ。訳が分かんないいよ」

「まさか、アイツ! この混に乗じてアレを解き放つつもりなのか!」

そう言うやいなやジェドはミリアを追って地下三階へと走って行ってしまった。

「……とにかく、今僕がやるべきことはベネットにこのパーティを終わらせてもらうことだ。さあ、華麗に幕引きしてくれ!『モード:ザ・フィナーレ』起!」

「ベネットさん、ベネットさん! ……ダメだ、ピクリともかない」

啓斗を屋上の床にめり込ませてベネットのところへ到達したヴェローナだったが、膝立ちの狀態で口から白煙を吹き出しながらブスブスという音をさせているベネットをどうすればいいか分かっていない。

途方に暮れていたその時、通信がる。

『ヴェローナ、こちらベースのジェドだ。そっちの狀況は把握できてる』

「ジェドさん! ベネットさんが、ベネットさんが……!!」

『ああ、分かってる。まずは落ち著け、ベネットの回収に関してはこちらで確実に何とかする。お前とレイラは第一優先でそこから出、帰還してこい。これは命令だ』

「で、でも……!」

『黙って従え! 俺たちもお前とレイラに死なれちゃ困るんだ! つべこべ言っている場合じゃないんだ!!』

「っ! ……分かりました。レイラを連れて急ぎ逃走します」

『ああ、それでいい。バックアップは任せろ、とにかく行け!』

ジェドが通信を切ると同時に、ヴェローナはミューズに翻弄されているレイラの元へと走り出す。啓斗もダメージをじさせない様子で既に立ち上がってルカの元へと走っていた。

啓斗が倒れたルカに駆け寄り、ヴェローナがレイラに素早く退卻の旨を伝えたその時だった。

「ドッ、ドッ、ドッ、ドォーン!!!」

いきなりベネットの口の中からる玉が3発撃ちだされる。

それはマギクニカの夜空に向かって飛ぶと、巨大な花火となって鮮やかに散る。

「アヒャヒニャーハハハハハ!! レディースアーンドジェントルマーン! 今宵は楽しい楽しい宴の時間でぇございましたが、そろそろ幕引きとさせて頂きます!」

ベネットの全がまるでイルミネーションのように発しだし、さらに眼球のが白黒反転した。

「さあ、さあ、さあさあ參りましょう! パーティの幕引きには、派手な花火と飛沫が欠かせません! 愚かな愚かな異國人様、パーティの終わりに一花添えて下さいませ! ニャッハハハハヒヒ!! 」

そしてベネットは、一直線に啓斗目掛けて花火を撃ちだしながら襲い掛かってきた。

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