《異世界スキルガチャラー》パーティナイト・フィナーレ 3

いきなり発された花火を間一髪で回避しつつ、啓斗は戦いの構えを取る。だが、ベネットの姿を改めて確認すると彼は戦慄した。

「『スーパーぶっ殺しモードスペシャル』発! あの世へ叩き込んでやるニャアァァ!!」

「くそっ、まずい……!」

現在のベネットは、まさに殺戮マシーンというような風貌をしていた。走りながらが変形しており、両腳は普通の人間のようなものから〈貓の腳〉を意識したような強靭かつしなやかなものになっている(変形の影響か、られていた皮が破れて機械の部分が出している)。

両肩部が開き、そこからは何やらレーザーサイトをらせた小型キャノンが顔をのぞかせている。更に、破損していない左腕からは金屬と金屬をこすり合わせる嫌な音がし始め、腕を覆い盡くす無數の小型丸鋸が出現。

肘から下が無い右腕は、どういう原理かは不明だがチューブやら配線やらが手のようにびており、これも確実に武として機能するだろう。

背中からは蜘蛛の腳のような8本の鉄の角がチキチキと音をさせながらいている。

そこまで確認したとき、啓斗はベネットの格が大きくなっているのに気が付いた。160センチメートル後半程度の長であったはずが、今は180センチほどになっており、啓斗の長を超えている。

「チャチャッとあの世に逝きさらしなさいニャー!!」

「うおおっ!?」

ベネットが丸鋸の集合となっている左腕を振り下ろしてくるのを避けた時、啓斗は更に戦慄した。彼は手のひらを見せた狀態で攻撃してきたのだが、その指先一本一本に鋸が仕掛けてあったのだ。

これが意味するのは、つまりこのアンドロイドのには微塵の隙もないということ。製作者がいかに緻にこの「怪」の全に兵を仕込んだのかが窺い知れる。

「避けるんじゃ、ねー!」

「ぐああーっ!!」

避けて背後に回った瞬間に回し蹴りがヒットする。今までのベネットの攻撃と比較にならないほどの衝撃と共に啓斗は吹っ飛ばされる。

空中を飛ぶ啓斗だったが、それよりも速いスピードでベネットが走り迫ってきた。

「うっそだろオイ!?」

「絡め取り取り捕り捕りとりとりトリトリぃぃィ!!」

右腕の配線やらチューブやらがびてきて啓斗の全を縛り、そのまま空中に固定してしまった。

逃れようと本気で抵抗する啓斗だったが、勢を変えられないほど完璧に捕縛されてしまっているため、何も出來ない。

「さて、どーしよっかなぁ? このまま絞殺しちゃおかな? それとも電気流して黒焦げ? やっぱり銃殺の方が良いかな?」

ケラケラ笑いながら、捕縛した啓斗を見上げて目を細める。どこかの配線をこの行に回しているのか、どんどん新しい管が啓斗に巻き付いてくる。

そのさなかでも、ベネットの口からは鮮やかな彩で夜空を彩る花火が発され続け、挙句の果てにはサーカスのような音楽が鳴りだした。

「う……が……ああっ……!」

「そーだ! 中から引き千切ってあげるニャ! の雨降らせて終わりにするニャー」

ベネットがそう言ったと同時に、啓斗の口から管が侵し始めた。の奧へと管がり込んでくる覚に、啓斗は吐き気をもよおした。

「バラバラにしてあげるニャー。あとちょっとかニャー♪」

一方、ヴェローナとレイラは一目散に屋上から逃げ出したのだが、執拗にミューズが追跡してくるため撒けないでいる。

「待て、犯罪者ども! 必ず貴様らを逮捕する!」

「むぅ、しつこいですね……」

「レイラ、とにかくジャンクヤードまで逃げるの! あそこまで行ければ……!」

裝備している空中移用裝置の能の差のおかげで2人は追いつかれずに済んでいるが、ミューズが躊躇いなく発砲してきているため回避がままならない。

「既に本庁に連絡は済んでいる。応援が來るまで奴らを補足し続ければ私の勝ちだ」

その時、突如としてミューズの視界が遮られる。それは、巨大で奇妙な謎の生だった。

思わず逃げていた2人も振り向く。それと同時に通信がった。

『2人とも聞こえる? ミリアよ、応答して』

「ミリアさん! い、一アレは!?」

『そうね、私の作った実験よ。大丈夫、あなたたちを襲ったりはしないわ。あの警をしばらく足止めするくらいはできるだろうから、すぐ逃げて』

「了解しました。ヴェローナ、とにかく行きましょう」

「う、うん!」

「それ」はミューズよりし大きい背丈をした、ピンクがかったの生きだった。こうかくるいのようなのような翼のようなものがついており、數組の細く尖った腳がついていた。頭があるべき場所には、短い手に覆われた渦巻き狀の楕円形がついていた。

「なんなんだ……これは!?」

「それ」はどこから発しているのか、低いうなり聲をあげたかと思うと、ミューズに向かって一直線に飛び掛かってきた。

「ミリア、お前本気なのか? あの生どもは人間に使うとまずいと言ったのはお前だぞ」

「いいのよ、アレは実験過程で出た不良品だから。でも、の機能と耐久度は量産型の1として申し分ない。戦闘データ収集のいい機會だわ」

「……正規品は絶対に開放するなよ。今いる個どもを留めとくのがいっぱいなんだからな。街中に散らばったのを回収なんて無理だぞ」

「分かってるわよ。でもアレは記念すべき実験のNo.1だもの。有効に使いたいじゃない」

ミリアはクククッ、と気味の悪い笑いをこぼした。

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