「あー、全く。せっかくの非番だったのに急招集って、なんで大事件って俺らの要無視して起きるんスかね？」

「さあな。だが、市民の平和が脅かされているとなれば、くのは私たちだ」

濃い青のスーツにを包み、同じく青の帽子を被った警らしき男が2人、市街地を走っていた。

1人は茶髪で制服を著崩しており、もう1人は黒髪でしっかりと制服を著ている。まさに対照的と言っても良い2人は、しきりに上空を確認しながら走っている。

黒髪の方は何やらジュラルミンケースを片手に持っている。

「つっても、こっちの加勢に俺ら2人だけって大丈夫なんスか？ なんでも、未確認生が突然出現したって話なんで？」

「ああ、そうだ。偶然近くにいた住人からの報提供でな、寫真も添付されていたんだが、今まで確認されたどんな生とも特徴が完全には一致しなかった」

「そんな得が知れないの相手に2人なんて無理でしょ！？ 上の人たちはバカなんですか！？」

「……あくまでも私たちは『補助役』なんだ。既にその生には殺害許可は出ているが、それを実際にやるのは私たちじゃない」

「……どーいうことっスか？」

目的地に向かう走行速度は緩めずに、真面目な雰囲気の警が語り出す。

「お前、ウチの警察に〈特務課〉っていう部署があるのは知ってるか？」

「え、ええまあ。ったことないし部署名だけじゃ何してるところか分かんないんでよく知りませんけど」

「特務課っていう部署はな、一応部署名がついているが、実質的なココの特別部隊だ。つっても、活は多岐にわたる。例えば、『異國から來た要人の出迎え』だったりというものから、発の処理、それと危険生命の駆除などだ」

「……な、なるほど？」

「で、今たった1人で例のバケモンを足止めしてるのが、その特務課の新人だよ。確か、ブルーワースとかいう姓だったな」

「ブルーワース……あ、アイツかぁ……！」

「知ってるのか？」

「はい、警察學校時代に同期だった野郎です。勉學も実技も萬年1位だったっていう、ちょっとした伝説になった輩っス」

「ほお、そりゃ特務課配屬も納得だな。とにかく、特務課の奴らはんな意味で怪ぞろいだ。何でも、〈ジャンクヤード・ジャンキーズ〉の奴らが中央街まで勢力をばしてこないのは特務課のおだって話まであるんだからな」

「ほへぇー、そら凄いっすね！」

「……言ってる間に著いたぞ。ほら、上で戦ってる」

「……うおぉぉ！？ なんじゃありゃあ！？」

茶髪の警が空を見上げると、そこには驚愕の景が広がっていた。

自分たちとは違う真っ白な、しかし形は同じ制服にを包んだ警が、蟹のような鋏を持つ気の悪いピンクをした怪と戦っている。

「加勢と言っても、俺たちがするのはあの警に資支援をすることだ。俺たちみたいな普通の警じゃ手に負えないような魔どもでも、特務課の奴らは『超』最新式の裝備を支給されてるし扱いにも長けてる。1人の方が戦いやすかったりするんだ」

「……そういうもんなんスかねぇ」

黒髪の方の警が、耳に著けているワイヤレスイヤホンのような形をした裝置に指をあてる。

「ブルーワースさん、要の『道』を持ってきました」

『ご苦労様です。では、思い切り上に投げて下さい』

黒髪の警は制服を翻らせてジュラルミンケースを放り投げ、そのままポケットから取り出した何かのスイッチを押す。

すると自的にケースの蓋が開き、中からミューズの制服のに合わせたかのような白の靴が1足と、々ゴツめの手袋……というかアイアンハンド。そして大量の赤く発する小さな的のようなもの。それらがミューズ目掛けて一直線に飛んでいく。

「さて……この『裝備』が來るまででかかったのが42秒。では、あと1分18秒でケリをつけましょうか。……行くぞ！！！」

ミューズがぶと同時に靴やら手袋やらが到著する。既に履いていた靴をぐと、それも空中で変形し、なんと二の銃になった。しかもミューズの周囲に浮いている。

「なんスか、アレ？」

「私も詳しくは知らないが、あれがミューズ・ブルーワースが真価を発揮できる裝備らしい。さあ、ボヤッとするな。我々は住人の避難導をするぞ！」

「ハ、ハイ！！」

ミューズの眼は鋭くなり、目の前の怪一點を見據えている。どうやら本気でトドメを刺す気のようだ。