《異世界スキルガチャラー》第二試合 The King in Yellow 1

6のトレーサーウルフとの戦いが終わった數分後、啓斗は闘技場の床にへたり込むように座ってナビゲーターと相談していた。

『ふう、第一試合はスキルを2回使うだけでなんとかなりましたねー』

「ギリギリな。今回は時間制限が設けられてて、しかも都合よくあいつらを攻略できるスキルを持ってたからだ」

『まあ、運によるところも結構ありましたね。それじゃ、改めて気合いれて行きましょう!!』

ナビゲーターが両手をグッと握りしめて言うのと同時に、ヴェローナの放送が再開した。

『はい、皆様お待たせいたしました。これより、第二試合を開始したいと思います!』

『今回のルールは簡単です。こちらの闘士と挑戦者のタイマンで、どちらかの生命活が停止するまで殺しあってもらいます』

レイラの説明を聞き、啓斗は背筋に寒気を覚えた。

今回は相手を殺さなければならないが、先ほどのトレーサーウルフの強さも鑑みて、弱い敵が來るはずもない。

つまり、二試合目にしてかなり消耗するのが目に見えたわけだ。

「……それでもなるべく溫存したい。ナビゲーター、狀況判斷を頼むぞ」

『はい、モチロンです。啓斗様を絶対に死なせはしませんから、安心してドーンと構えといてください』

「安心はできなそうだな」

『ヒドイ! 私だって頑張ってるんですよ!?』

啓斗とナビゲーターが會話をしている間にも、ヴェローナとレイラの放送は続く。

同時に、トレーサーウルフが出てきたのと同じように床が開く。ただし、さっきより開く面積が大きい。

『今回の挑戦者の相手は、私たち〈ジャンクヤード・ジャンキーズ〉の生化學者であるミリアが「最高傑作のひとつ」と自負する最強の生!』

『今までの挑戦者じゃ勝てる可能が0なので使用できませんでしたが、今回ならば使っても大丈夫だろうという話し合いの結果になりまして、戦わせる次第になりました』

『では、ご紹介しましょう! 我らがミリア・ナイアー・ラトテップの最強の試作品、「黃の王」のお披目です!』

ヴェローナの高らかな掛け聲と同時に、巨大なの中から何かが飛び出してきた。

それは、まるで黃いペンキを適當に塗りたくったような沢のないぼろ布をまとっている。両腕はが真っ黒なこと以外はちゃんと人間の腕で、ぼろ布のになって顔は見えない。

だが、もっとも注目すべきはその足元だ。その腳は人間のようなちゃんとしたものではなく、太い手のようなものが數本絡み合っているのだ。

「…………」

「今度は唸り聲すら上げないか。それにしても……」

『それにしても……デカくないですかねー……?』

もっとも注目すべき、といったが、啓斗たちはこの足元に注目せざるを得なかったというのが真実だ。

なにしろ、目算で分かるだけでも長が確実に5メートルはある。

『それでは、時間無制限! ルール無し! ……レッディィィィ………』

『今回は一筋縄じゃ行きませんよ。死ぬ気で戦ってください。あ、死んだらダメか』

第二試合の敵、〈黃の王〉のの周りに、弱くはあるが風が渦巻き始めているのを啓斗はじた。

さらに、足の部分の手がび、闘技場全を覆いだす。

『……ッゴー!!!』

『せいぜい頑張ってくださーい』

試合開始の合図と同時に、黃の王が右腕を振り下ろしてくる。

啓斗が回避し、その拳は床に直撃したが、その床に巨大なヒビがった。

『なんって威力! 啓斗様、絶対にアイツの攻撃を喰らっちゃ駄目ですよ! いくら防スキルがあっても連チャンで貰ったら気絶じゃすみません!』

「ああ、分かってる! だが、こいつをどう攻略する? この狀況で【敵対鏡像】は無理だ。攻撃が広範囲すぎるし、確実に巻き込まれる!」

『ですから、隙を窺って最強の一撃を叩き込む先方に切り替えましょう。まずは基本、【分析アナライズ】です!』

「……【分析アナライズ】発。目の前の敵のステータスを表示しろ!」

モンスターNo.4044「黃の王」ランクS

HP:A

MP:A

P・ATK:S

M・ATK:S

DEF:B+

DEX:A-

SPD:C

LUK:E

魔法屬適正

火:C 水:E 風:S 土:D :E 闇:A 無:B

狀態:攻撃態勢

特殊スキル:不明

固有スキル:不明

「スキル不明? どういうことだ?」

『……私の報データベースの中に無いってことです。が、ほとんどあり得ないことのはず』

「今はそんなことを考えている暇はない! いいから戦うぞ、集中しろ!」

『あー、もう! 分かりましたよ!!』

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