《異世界スキルガチャラー》第二試合 The King in Yellow 3

『おおっとぉー!! ここで黃の王の必殺の拳が挑戦者をとらえたぁ!! このまま決著がついてしまうのでしょうかぁ!?』

背中を拳で強打されて床に叩き付けられ、普通の人間なら有り得ない「バウンド」をして、そのまま仰向けにひっくり返って倒れた。

もちろんのことだが、派手に飛沫が舞った。

『うーわ、あんな吹っ飛び方、格闘ゲームかアニメーションくらいでしか見たことないですよ』

『んー、やっぱり私の作品は最高ね。破壊力も申し分ないわ』

頭部全を鮮で真っ赤に染めながら、啓斗は大の字になったままかなくなる。

しかし(すぐ近くで啓斗の狀況が確認できるナビゲーターに限るが)、まだ微かに呼吸をしているため、死んではいないようだ。

『まずいですね、今の啓斗様じゃ一般人に蹴っ飛ばされただけでも即死しちゃいます。でも、奴・ら・が私らに介して來ないのは、私ができるだけフェアに徹してるから……のはず。でも、このままじゃ…んー……』

思っていることが全て聲に出ているナビゲーターは早口でそこまで言うと、數秒だけ悩んだような素振りをした後に1つ頷いた。

『……私の仕事は啓斗様を導き、ピンチの時に助けて差し上げること。フフ、そうですよ、私があんなのに負けるはずないんですから。今は啓斗様の無事が優先……!』

ナビゲーターはニヤリと笑ってそう言うと、軽く口笛を吹いた。

次の瞬間、啓斗の腕時計の中から小柄な年が姿を現した。上下白のTシャツにハーフパンツという異様な様相で、ズボンのポケットに手を突っ込んで不敵な笑みを浮かべている。

「ゴシュジン、久しぶりに出番だネ?」

『うん、正直頼りたくないけど、スナっちにしか頼めないから。今回は本気でやっちゃって』

「オッケー、んじゃあ終わったらちゃーんとご褒くれるってこト?」

『……いーからさっさとやっちゃって! 本気出したら5秒もかかんないでしょ!』

「へーい、そんじゃま行きますカ」

突如現れた謎の年に視聴者やヴェローナたちは驚いているようだったが、そんな時間は無かった。

「今日のご馳走は生タコだねぇ? では……イタダキマァス!!!」

【丸吞ミ】

対象のと魂を丸ごと呑み込むスキル。

呑み込んだ対象を理的に消化できる能力と、その魂を消滅もしくは吸収できる能力を両方備えていなければならない。

どちらかが不足した場合、胃が破裂するか脳が破壊されて死に至る。

スナっちは猛烈な勢いで黃の王に飛び掛かり、その頭部に當たるであろう部分に嚙みつく。

すると奇妙なことに、そのままゆっくりとスナっちが黃の王のに呑み込みながら地面へと降りていく。

まで呑み込んだ後は、殘っていた手をまるで麺をすするようにしてチュルンとに取り込んでしまった。

「ふぃー、味かっター。しかもコイツなかなか強いし、一石二鳥ってやつだったよナ」

『……なんだろ、スナっちが戦っちゃうと一部を除いて大がこんなじになるから本當はやりたくなかったんだよねー。はい、スナっち帰って』

「ういーっス。後でちゃんとゴホービちょーだイ!」

スナっちはナビゲーターに向かって軽く手を振ると、満足げに笑いながら姿を消した。

『……さて、不正の後始末は明日にでもするとしまして、えーっと……啓斗様のの主導権を一時的に私がもらって……回復スキルを……』

【ゼノ・ヒール】が発し、啓斗の負傷がほぼ完全に回復する。

は止まったものの、流れ出た分はそのままなので、目にったをゴシゴシ拭いながらゆっくり起き上がった。

「……いったい何が起きたんだ?」

『あー……アレです! また啓斗様の他の人格が出てきてぶっ殺しちゃったんですよ! 闘技場凄い汚れたんで、向こうが片付けてました』

「……そうか」

啓斗は手のきを確認しながら溜息をつく。

ナビゲーターは心で啓斗にウソがばれやしないかとビクビクしていたが、彼がそのまま休憩にったのでホッとしてまたいつもの調子で喋り出した。

『とにかく、あと一勝すれば啓斗様の完全勝利ですから、気を引き締めていきましょう!』

「ああ、そうだな。一戦目から危険で二戦目はアレだ、三戦目もどうせロクな奴じゃないだろうし警戒するか」

服に付いたを拭き払いながら、啓斗は次の敵を待った。

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