《異世界スキルガチャラー》VS レイラ・リーブスパーク 2

「ぐっ……うう!」

「私はさ、弾に起スイッチが付いてない・・なんて一言も言ってないよ。ウチの兵開発能力を甘く見すぎ」

啓斗の両腕の皮は焼け爛れ、所々からは折れた骨が突き出ている。もはやピクリともかすことが葉わなくなった腕を見て、啓斗は一つ深呼吸した。

(殘りのMP殘量と回復スキルの行使による消費を考えると、今治すのは得策じゃないな。ラッキーなことに、レイラあのは油斷して近づいてきている。ギリギリまで引き付けてカウンターを狙うしかなさそうだな)

『……啓斗様がなに考えてるかは大分かってますけど、やっぱ怖いくらい冷靜ですねー。ま、それくらいの膽力が無いとやってけませんけど』

目も當てられないような両腕の砕骨折と大火傷による地獄の苦痛があるはずなのだが、啓斗はそれを全く意に介していない様子でレイラを睨みつけている。

『おおーっとぉ、挑戦者、超特大ダメージを間違いなく喰らっているはずなのに! まだ! その眼はを失っていません! いや、逆にギラギラと輝いているぅ!! 私もちょっと參戦したいぃぃ!』

実況のヴェローナは完全にモードにったのか、つい數分前まで妹の生死を心から心配していた姉の姿は既になかった。

「あーあ、ヴェローナったら楽しそうにしちゃって。それに啓斗コイツの目もぜんぜん死んでない。ちょっと警戒したほうが良さそう……」

レイラは徐々に啓斗の方に近づきつつも、小型の手榴弾を次々と投げてよこす。

(敢えて直接投げつけずに足元で破してあげようかなー……っと)

啓斗の周囲に散らばるように投げ落とされた手榴弾は、彼の周りに煙幕を張るようにして発し、真っ白な煙を巻き起こし始めた。

「両腕ブッ飛ばされてもまだ戦える君のに免じて、警告したげるよ。今一斉に起させた弾は塵を飛ばすための専用品なんだよ。まーつまり、目くらましと肺を攻撃するのを併用してるってわけね」

そう言いながらレイラはニヤリと笑った後、どこから取り出したかスターアライヴで使っていたのと同じ型のガスマスクを裝著した。

塵手榴弾ですって!? ちょ、啓斗様ヤバいですよ! 急いで離れないと、吸い込んだら呼吸を破壊されますよ!?』

「いちいち解説するな、それくらい分かってる」

『分かってんだったらさっさと移してください! 啓斗様の能力じゃ回避しないとまともにダメージ負いますよ!』

(……くそっ、ナビゲーターの奴、慌てすぎだろ。ここで安易に回避行を取ったら、それこそ敵の思う壺だ)

吸い込めばり込んでその肺を傷つける塵が大量に混じった煙幕の中で、啓斗は敵の姿を探す。

レイラは煙の中に相當巧妙に隠れたようで、どこにも姿が見えない。

「うっ、ゴホッゴホッ! マズいな……」

『なーにしてるんですかぁ! 早く煙の範囲から出るんですよ、バックステップでも何でもして急いで離れて下さい!』

前方、啓斗の付近にレイラの姿は見當たらない。今のうちなら、素早く後方に離れて両腕を治癒すれば、カウンターのチャンスは無くなるが勢は立て直せるだろう。

啓斗がそう考え、一歩後ろに下がった、その時だった。

「だからさぁ、ウチの兵開発能力ナメんなって言ったよね? 注意力も勘も鈍すぎるよ?」

「なにぃっ!?」

『しまった、化學迷彩!』

背中に痛烈な蹴りが叩き込まれ、啓斗は塵のド真ん中に吹っ飛ばされて転がった。

倒れ込む際に両腕を床に強く打ちつけた時、骨を折ったらしい音も聞いた。

『ここでレイラの追い打ち蹴りがクリーンヒットォ! これはもう決定打になったのではないでしょうかね!?』

ヴェローナもテンションマックスで、マイクを設置しているテーブルを左手でバシバシ叩きながらんでいる。

倒れ伏してきが取れない啓斗にトドメを刺すべく、レイラは手榴弾のピンを抜いた。

「……クヒヒ、消耗してる消耗してる。ここで私が、終わらせてあげるよ」

啓斗とレイラが戦う地下闘技場の上方、開いた天井の近く。

ジャンクヤードのはずれの地上に、ソレは立っている。右腕を鮮に染め、のような小さな軀に見合わぬ巨大な尾をくねらせて。

「わざわざ部下に致命傷追わせちゃったしね、ちゃんと始末してあげないと。魔王サマのためにも、ベルのためにも……ならないからね」

軽く跳躍し、音もなく地下へと急降下する。

「ヒャハハ、行くよ! 【魔の三角バミューダ海域トライアングル】!!」

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