グランドマスターの橫のクリスが何やら俺に向かって微笑んでいる

「今日は武作を教えに來たんだが……ける気はあるか？」

クリスは俺に問う

「もちろんだ…だがお前は《剣聖》だろ？武作について分かっているのか？」

《剣聖》と言うからには武を作る生産職ではなく、武を使う戦闘職じゃないのか？

「あぁ、それに関しては大丈夫だ……なくとも君よりはわかっているさ」

クリスは上から目線で嘲るように言う

ムカつくなコイツ……

「……ほう？そこまで言うのであればさぞ凄い武を作れるんだろうな？」

俺は買い言葉で言う

「當たり前だ」

クリスは鼻で笑う

「……じゃあ作ってみろよ」

「ふん……ほらよ」

クリスはいつの間に武を作ったのか左手に持っている短剣を投げてよこす

それを俺は摑み、観察する

「………」

その短剣は俺には到底作れそうにないほどしく、可能をめている武だった

「大會の時はグランドマスターに言われて武作を使えなかったが……使えるなら負けることはなかった」

クリスはそう言う

確かにこの短剣を瞬時に作ることが出來るならクリスは負けなかっただろう

「わかった……お前は俺よりも上だ。武作を教えてしい」

そう言ってクリスに頼む

「……それが依頼だからな」

「さてさて！挨拶も終わった事だし……スズさんは僕と組手でもしようか」

グランドマスターは清々しい笑顔でスズに言う

「え……、いえいえ、勿ないお言葉ですがーー」

そう言いいながらスズは後ずさる

「遠慮しなくていいよ！さぁ、行こうか！」

グランドマスターは一瞬でスズの背後に回り込みスズを擔ぎ上げると訓練所に歩いていった

「主人様ぁぁぁ！」

「………」

俺は親指を上にたてて健闘を祈った

「さて、まず武作とは何かを聞くが……なんだと思う？」

「武を作る事だ」

「確かにその側面もあるが……本質は武に屬を付與する事にある」

「付與？」

「あぁ、付與と言ってもピンからキリまであるが……例えばこの短剣を全力で破壊してくれ」

俺は鎌を構えて短剣に全力で攻撃した

「ほらな？壊れないだろ？これは〈不壊〉の付與をしたからな……基本的には壊れない」

そんな事ができるのか……

「付與の屬は〈不壊〉〈瞬間移〉〈自律〉の3つがある……それぞれ長所もあれば短所もある。武によって付與するモノが変わるんだ」

「長所と短所？」

「あぁ、〈不壊〉は壊れなくなる代わりに切れ味が悪くなる。〈瞬間移〉は武を瞬間移させることができるが長い武には付與できない。〈自律〉は手で持たなくても頭で考えるだけでくようになるが壊れやすくなる……それぞれ一長一短だ」

「なら……どうするんだ？」

聞いていると付與をしない方が強くなる様に思える

「普通のヤツであれば付與はしない方がいいと考えるだろうな……だが付與には絶対的なアドバンテージがあるんだ。付與をした武は質が変わり、自分専用の武になる」

自分専用の武？

「例えば俺なら……こんな風に自分の手の大きさ、長、筋力を計算してベストな形になる」

そう言ってクリスは武を作り出す

「これがどれだけのアドバンテージになるか……やってみればわかる」

俺は頷く

「これで俺の教えることはもう無い……後は能力の引き上げしかないな」

ちょうど良く扉からグランドマスターがってくる

グランドマスターは気絶したスズを床に下す

「終わったのかな？なら今日はこれまでにしよう……スズさんを宿屋までお願いね？」

「わかった」

俺は短く返事をしてスズを擔ぐ

「じゃあな」

そう言って部屋から出た

しかしスズをこんな風にできるグランドマスターってヤバイよな……

そう言えば街で聞いた名工って誰なんだろうな？

俺が知らない間に會ってたりするのかな…

空を見るともう日が沈む頃だった