《異世界転移するような人が平凡な高校生だと思った?》62話 溫泉
仕方なく一人で付所に戻ると、ミスラとシュナが待っていた。
「お、戻ってたのか。早かったな」
 見ると、二人とも著替えたきたようだ。ミスラは青のコートのようなものに著替えており、水の髪にとても似合っている。シュナの方は真っ白て爽やかなワンピース。こちらは髪のに合わせたではなく白いの服だった。だが、そうすることでシュナの綺麗な赤の髪とルビーのような目が際立っている。
「どうですか?」
「凄く似合ってるよ二人とも」
「ありがト。これ、ユウの」
 そう言ってシュナは何やら黒い服を差し出してくる。
「ん?あぁ、俺のも買ってきてくれたのか。....ん?ローブ?」
 手に持って広げてみると、紛れもなくローブだった。よく魔法使いが使ってそうなじの。
「他にも買いましたけど、今はそれを著ててください。片腕を隠す用です」
「あー、なるほど」
 確かに、ここに來るまでんな人に痛々しい目で見られてたしな。これは普通にありがたい。そして、俺は人生初のし廚二病心をくすぐるローブを著る。うん、暑いな。
「ところで、そちらは終わったのですか?」
「あぁ、大の事聴取は終わったんだけどー.....もうしだけ時間をくれ」
「? はい、別にそれはいいですけど」
 そう、大は終わった。後はシスティさんに、ティファが今何しているのかを聞いときたいんだけど.....さっきの踏み抜いた地雷をどうフォローするか絶賛悩み中だ。はぁ、胃が痛い。
「───あのー、佐野さんですか?」
「え?」
 聲をかけられた方を向くと、そこには見知らぬギルドの職員さんが。
「はい、そうですけど。あな──」
 相手の名前を訪ねようとして、はっ!と気づく。
──俺は何をしてるんだ!もしもこの人が知り合いだったらまたさっきの二の舞だぞ!!
 だが、ぎりぎり気づくことが出來た。これなら前回の反省を踏まえて地雷を回避することが出來る。見ると、その職員さんのには、名前の書いてあるプレートがついていた。
 「な、何か用?それにしても今日も可いねアーベル」
 あ、テンパった
「...はぁ.......あ、システィから伝言を預かってます『調が悪いのでティファの詳細はまた後日』だそうです。では私は仕事に戻りますので」
 終始ゴミを見る目の職員さんは言い終えると、軽くお辭儀をして去っていく。
「.........」
 しまった....あれじゃ完全にナンパじゃないか........しかもあの反応は初対面だったな.......
「仕方のない人ですね....」
「....ミスラ」
 まさか、今の場面を察してくれるとは......なんて優しい心の───
 だが、手に雷を迸らせているミスラを見て、そんな思いは一瞬で消え失せた。
「ちょ..!タンマ──ぎゃあああ!!」
 雷をけた俺はその場で倒れ伏した。
「...ふむ、ローブの耐久度は申し分ないですね」
「....防力は皆無だけどな.......」
 なんでローブが無傷で俺が負傷してるんだよ。
「守るべきものと守らなくて良いものをよく分かってる防ですねとても良いことです」
「ゆうしゅウ」
 そんな特殊能力ないだろ....絶対これただの布だし。
「さて、じゃあ行きますか」
「....?どこに?」
 倒れ伏したまま、顔はミスラへ向けて行き先を聞く。
「それはお楽しみです。さぁ、早く立ってください」
「.......はいよ」
 そう急かすミスラに従って仕方なく立ち上がる。
***
 數分ほど街を歩くと、目的地に著いた。
「ここです」
「ここは.....溫泉?」
 へぇ、異世界にも溫泉はあるのか。てっきりでかい風呂なんて無いもんだと思ってた。
「ベストチョイスでしょう?買いしている時に見つけたんです」
 確かに、ダンジョンでは魔法を使って最低限清潔は保っていたとは思うけど、お湯に浸かりたいは相當あった。疲れ切ったにはちょうどいい。
「溫泉?あったかい、いずミ?」
「ればわかりますよ。シュナは気にいるかもしれませんね」
 そりゃこの武道神の塊は、溫泉大好きそうだけども。
「..楽しミ......!」
「よーし、それじゃ行くかー」
「オー!」
***
「あ〜気持ちかった」
 溫泉にじっくり1時間ほどり、外へ涼みに行ってる途中。
「ほー。こんな所にテラスがあったのか....ん?ミスラ?」
「おや、出たんですね」
「うん、シュナはまだってるのか?」
「はい、やはり相當気にったようですね。特にサウナが」
「はは...さすがだな」
「ですね」
 テラスにり、ミスラの隣の席に座る。
「ようやく、落ち著きましたね」
「あぁ、うん。そうだな」
 しの沈黙。ちょうどいい気溫で風がしあるのか、心地よい風が熱くなったを靜めてくれる。目を瞑り涼んでいると、ゆっくりとミスラが口を開いた。
「それで、どんなステータスがあったんですか?」
「....え?」
 急に口を開いたと思えば、なんのことを言っているのか分からなかった。
「ダンジョンで自分のステータスを見て、あんな暗い顔をしていたじゃないですか。何かあったのでしょう?」
「ぁ」
 やっぱり、気づかれていたのか。何も言ってこなかったから、もしかしたら気づいてないと思ったが、そんな甘いはず無いよな。
「別に、話したくないのであれば話さなくともいいです。私は助けられている立場ですから。でも、これだけは言わせてください。以前にも言いましたが、私は貴方が何者であっても絶対に幻滅しません」
「.......」
「ステータスは人の中ではありません。シュナであれば、ステータス上では魔王とあるのでしょうが、それで私たちが倒すべき対象となる訳ではないでしょう?」
 それはそうだ。シュナは倒すべき存在じゃない。それだけは絶対に間違っていないと自負できる。
「....分かった、言うよ」
 幻滅しない、と言われたから言うことにした訳では無い。ただ、前世のことを知りたいと思っているのに、その事を塞ぎ込んでちゃ何もわからないと思ったからだ。
***
「ふむ、『神殺し』ですか」
 とは言ったものの、本當に幻滅しないのかはし気になっている。取り敢えず全て打ち明けると、ミスラはし俯きながら、口を開く。
「なんで、言わなかったんですか...?」
「え?いや、それはその、神を殺したって言うのを神のミスラに言うのが、し言いづらかったと言いますか....」
「そっちじゃありません。詳細の方です」
「え?.....えっと、ステータスの10分の1という?」
「當たり前でしょう。『神殺し』って部分が言いづらかったのであれば、『呪い』とかなんとか言って詳細を伝えれば良かったでしょう」
....ごもっとも
「え、あの.....『神殺し』の部分は何とも思わないので......?」
「は?どうでもいいですよそんなの。いくらでも殺しなさい」
 いや、それはちょっと貴方が言うのは問題発言だと思うのですが....
「言っておくと、人間が神を殺しても、そんな制限はけません。神殺しなんて稱號はこの世に存在しませんから」
「.....はい?」
「というかですね、10分の1ってどれだけ弱化されてるか分かってますか?そんなステータスで私たちと同じように戦ってたとか、雑魚敵の一撃でも灑落にならない程のダメージをけていたんですからね?」
 そう言えば、ボス以外ではあまり攻撃をけてなかったな。ボスの攻撃は圧倒的過ぎて、防力なんて関係ないから気づかなかったのか。なんとも不幸中の幸いというか....でも、取り敢えずこれだけは言っとかないと。
「....本當に、すいませんでした..........それと、ありがとな。々と」
「........そんな事言われたら、責めるに責め切れないじゃないですか....バカ..」
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