《異世界転移するような人が平凡な高校生だと思った?》63話 束の間の日常
61話 事聴取 II
システィの名前に修正を加えました。
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 私は、『神殺し』の事を祐からカミングアウトされてから、何やかんやあって、今はお互い涼んだりテラスの周りにある自然の風景を眺めたりして、會話はない。勿論、そこに気まづさはない。
「あ」
 
「? なんですか?」
 祐が何かに気づいたような仕草の後、ポケットをに手を突っ込み。あるを取り出した。
「ほら、なんかもう吹っ切れたから見せとこうかなと思って」
 そうして、ポケットから取り出したステータスカードを私に差し出す。
「そうですか。では、遠慮なく拝見させていただきます」
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名前: 佐野  祐
種族:人間
Lv:  100
力: 867560
攻撃力:952600
防力:864800
魔力:1054550
知力:1107550
運:863900
スキル:
言語理解、進化、魔法適正、幻刀、潛伏、鑑定、マッピング、蓄積チャージ、付與、気配知(+熱源知)、気配遮斷、剛力、剣、障壁プロテクション、強化ブースト、重力作:増幅グラビティブースト、重力減衰グラビティダウン、質化、魔剣創造
稱號:
転生者
転移者
世界に呪われし者
神殺し
巫姫の加護
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 ふむ、『神殺し』...ですか。本當にこんな聞いたことの無い稱號があるとは....ですが、まぁこれはもういいでしょう。祐が神を殺していたって、どういう経緯で殺したのか分からない以上、私は祐を信じる。祐は、私で悪に手を染めるような人では無いと。
 もしも、染めたとしたら、それは多分仲間の為。この人はそういう人だ。
 だから、今回し気になったのは違う所、初めて見た稱號。『巫姫の加護』。
「....祐、これはなんですか?」
「ん?....え、なんだそれ」
 この反応は素ですね。今気づいたんですか.....
 それにしても...姫ですか........姫..............
「貴方は前世でも無意識のたらしだったんですかね.....」
「え?」
「いいえ、なんでもありません。それより、この稱號の効果を早く調べてください」
「ミスラも鑑定スキルはあるんだろ?自分で調べればいいのに」
「他人のステータスカードは鑑定出來ないように出來てるんですよ」
「また出た....ミスラの今更初耳報」
「うるさいです」
 祐はまだ何か言いたげだったが、仕方なくステータスカードをけ取ると、スキル『鑑定』を行う。
「.....どうですか?」
 流石に、今回は加護と言うくらいだから、プラスの稱號だとは思いますが....
「...魔法の効果上昇。だってさ」
「なるほど、それが魔法の馬鹿げた威力の正だったんですね」
 最初、私はてっきり蓄積チャージによって威力が高まってるのかと思ってましたが、よく考えれば、毎回そんなことをしていたらあっという間に魔力か盡きてますよね...
「....つくづく、俺は前世の能力に助けられてばっかりだな」
 そういう祐の顔は、悔しいのか嬉しいのか、よく分からない顔をしていた。
 私はもう一度ステータスカードを見返してみる。確かに、このスキルの殆どは祐自信が発現させたものでは無いであろうばかりだ。
 だが、順々に見て言ってると1つだけ、おかしい部分を見つけた。
「.....祐、貴方は『進化』のスキルを確かに使いましたよね?」
「へ?何だ急に。それはまぁ...使った..けど?」
 なんて分かりやすい反応....
「おかしいんです。『進化』を使ったのであれば、何故ステータスカードにまだ『進化』が殘っているんですか?それに、もしも本當に使っていたとして、大した変化が見けられません」
 
「うぐ....それは.......」
 そう、『進化』を使ってこの程度・・・・は有り得ない。數値ではない。スキルや稱號、または種族の方だ。『進化』とは數値を上げるものでは無く、その本から生としての格を上げることを言う。そして、その欄に世界を揺るがすほどのが見當たらない。つまりこれは、『進化』を使っていないという事に他ならない。
「別に、今更怒ることはありませんから、ゲロっちゃってください」
 こっちとしては、むしろ心底安心している。これで神々が祐を狙う事は萬が一にも無くなったのですから。
「......」
「祐?」
「い、いや、そのー。すまん!言えるなら言いたいんだけど、分からないんだ」
 分からない?まぁ確かに、白龍と戦ってた時の祐に、何か特別な力があったようには思えなかったですけど。
「俺が倒れたあの時、聲が聞こえたんだ。ミスラでもシュナでもない誰かの聲が、そしたらなんかいつの間にか俺は立ち上がってて、んで白龍倒しちゃった....的な?」
「ふざけてるんですか?」
「ふざけてないんだよ!意識も朦朧であまり覚えてないんだ!」
 そう訴える祐は本気の顔をしていた。
...はぁ.......まぁいいか。私たちが生きてる。それだけ揃ってれば。
「分かりましたよ、私ももう聞きません。ですが何かわかったのなら教えてくださいね」
「あぁ、うん」
 話は終わり、また場に靜けさが戻ってくる。だが、そんな時間も直ぐに終わり、不意に、ガチャという音と共にこちらに歩いてくる足音が聞こえる。ミスラと祐は自然とそちらへ目を向けると、そこから現れたのはすごい量の湯気を放ちながら歩いてくるシュナだった。それを見て二人は一言。
「「ぎ、ギ〇セカンド......」」
***
溫泉から上がった俺達は、以前俺がティファに勧められた宿へ向かった。
「ここですか?」
「...うん、多分」
「曖昧ですね。自分が泊まっていた宿でしょう?」
「長い間いた訳じゃなければ、2ヶ月も期間が空いてるんだぞ?覚えてろって方が無理な話だって」
「....まぁ、それもそうかも知れませんね。じゃあ、早く行きましょう」
「........ちょっと待ってくれ」
 行きたいのは山々なんだけど、一つだけ大きな問題がある。ここに來るまでずっと考えていた事だ。悩んで悩んで、ずっと悩んで、まだ答えが出ないでいる。
「どうしたんですか?溫泉に何か忘れてきましたか?」
「.....いや、そういうんじゃなくて...」
 ずっと悩んでいる大きな問題。それは───
「將の名前が思い出せない.....」
「は、はぁ....?」
 ティファに連れてこられた時、確かに自己紹介されたのは覚えている。なのに、何故か名前が出てこない.....!
 俺は人の名前を覚えられない呪いに掛かってしまったんだろうか....いや、今はそんなことよりも、ここをどう切り抜けるかだ。まさかまた名前忘れましたとか言ってを傷つけてしまう訳にもいかない。
 頼む!思い出してくれ..!俺!!
「祐」
「な、なんでしょう....?」
 ここで罵倒されても何も言い返せないな。
「そんな心配な顔しなくとも、人の名前を忘れてしまうことなんてよくあるものです。ましてや會った回數さえ1か2回程度なのでしょう?思い出せなければ仕方ありません。素直に言えば大丈夫です」
 ミスラ.........お前は天使か?....いや神か。
「そうだよな.....正直に言った方がいいよな......でも、もうしだけ抗いさせてくれ、何かがでかかってるんだ」
「えぇ、いくらでも」
 さて、何となく心も軽くなったところで、もうし頑張って思い出してみよう。
 ........うーん..........でかかってるのは何となく名前ではない気がする。確か....インパクトがあって.....インパクト.........インパクト............あっ
「...........んー、やっぱり思い出せないな。仕方ない、行こうか」
「そんなスッキリとした顔をして何を思い出したんですか」
 バレてる.......
「い、いや....特に何も.......」
「.....ふーん、そうですか。まぁいいです。行きましょう」
 まさか、今までに見た事のない最強クラスのたわわを思い出したなんて言えるはずもなく、どうしても言えない雰囲気の俺を見て、追求を諦めてくれたのか、ミスラは宿の中へるように促す。
───人の名前を忘れた挙句、唯一思い出せた事がの大きさって.....さては俺最低人間か?
カランコロンという音とともにドアが開くと、そこには以前來た落ち著いた雰囲気とは一変、見違えるほど賑わっていた。
「....店間違えたかな....こんな賑わってた記憶がないんたけど」
「多分晝時だからじゃないですか?」
 確かに、以前來た時は早朝だったな
 店のテーブルは満席で、その中で出來上がった食事を運んでいる、見覚えのあるたわ....顔を見つけた。
───ヤバい、呼びたいんだけどやっぱり名前が思い出せない....
 忙しいのか、たわわのお姉さんってきた俺たちに気づくこと無く、あちこちにき回っている。すると、武裝を橫に置いている強面のおじさんの集団が、思わぬ助け舟を送ってくれた。
「レイラさ〜ん!こっちにビール頼むわ〜!」
「あらあら〜、デールさんったらこんな時間から飲むと冒険行けなくなっちゃいますよ〜?」
「いーんだよ、酔拳だ酔拳!ガハハハ!」
 ナイスだ見知らぬおじさん!!でも酔拳は多分無理だぞ!
「れ、レイラさーん」
「あら?ごめんなさいね〜ったことに気づかなく......え?ゆ、ユウちゃん?」
「はい、ダンジョンから帰ってきました。俺も合わせて3人ほど泊まりたいんですけど」
 この反応、レイラさんも俺は死んだものと捉えていたのか。ティファから聞いたのかな?幽霊でも見てるような目でこちらを凝視してくる。ギルドでもそうだったけど、こういう時、どういう反応すればいいのか、よく分からないんだよな。
「ゆ、ユウちゃん......生きてたのね...良かったわぁ....!帰ってきたばかりなの?」
「え.....と、はい今日帰ってきたばかりです」
 思ったよりすんなりとけれたレイラさんを見て思わず驚いてしまった。
「じゃあお腹すいてるわよね?すぐ作るか食べてって〜今日はお姉さんが奢っちゃうわよぉ〜!」
 そういったレイラさんはサムズアップして笑顔を見せてくれた。すると、先程のデールと呼ばれたおじさんが弾を投下した。
「おいおい、レイラさんあんた、もうお姉さんって歳じゃないだろうに..」
「デールさん?何か言ったかしら〜?あ、もしかしてビールのお代わりぃ〜?」
「.....あ、あぁ、もういっぱい....頼もうか...なぁ......」
 怖い笑顔、最近よく見る気がするなぁ。笑顔なのに怖いってどういう事なんだかなぁ、謎だなぁ。
「あら、そちらのの子二人はユウちゃんの〜....」
「あ、はい仲間で──」
「──彼さん?」
どうしてそうなる.....
「違いますよ、私の名前はミスラ、そして....」
「シュナ...でス」
「ミスラちゃんにシュナちゃんねぇ〜」
 有難いことに、俺が言うまでもなく、ミスラが訂正してくれた。だが、嵐はまだ去っていなかったのだ。
「彼さんじゃないって事は、どっちかが正妻なのかしらぁ〜?」
....何を言ってんだこの人
 申し訳ないと思いつつも、ミスラに助け舟を出して貰えるようアイコンタクトする。それを見てミスラは確かに俺の目を見て小さく頷く。
「はい、そうです」
ちょっと?ミスラさん言葉間違えてますよ?
「ミスラ、せいさい..ってなニ?」
「ふむ、ここは正々堂々と行くべきですね。シュナ、耳を貸してください」
 ミスラの言葉に従い、シュナは耳を貸す。
「ゴニョゴニョ...」
「ふ厶....ふム....................私がユウの正妻です」
「シュナさん!?」
 君もか!?しかもなんか今のとこだけすっごくはっきりと喋ったな!?
「あらあらぁ〜うふふっ」
「シュナ?教えはしましたが譲るとは言ってませんよ?」
「?....ミスラも正妻になればいイ」
「殘念ながら正妻は1人しかなれません」
「厶....」
挙句の果てに、二人だけで話を進め始める。
「れ、レイラさん?違いますからね?俺ロリコンじゃないですからね!?」
「え、えぇ...?ユウちゃん、そこなの?」
こうなったら二人が言い合ってるにレイラさんの誤解を解くことにした。途中から、何が誤解なのか俺もよく分からなくなってきたが。
「分かってるわよぉ〜、ユウちゃんったら必死になっちゃってもう〜。これじゃいつかほんとに二人のどっちかが正妻になっちゃうかしら〜?」
「れ、レイラさん...」
「うふふっ、冗談よ冗談。そろそろ私はお仕事に戻るから席が空いたら適當に座っててちょうだい〜」
「はい、分かりました」
 言うだけ言って、レイラさんは廚房に戻って行った。
 後ろを振り向くと未だに言い合ってるミスラとシュナ。
「一人しかだめならもう、勝負、しかなイ」
「そうですね、じゃあ何で勝負しますか」
「......腕相撲」
「私に1パーセントも勝機がない競技は無しです」
「厶厶厶....」
 俺も日々學んでる。ここで不用意に止めにると、ろくな目に合わないのは経験済みだ。だからこういう時にするべき行。それは────
「さてと」
─────空気になることだ。
 俺は死んだ魚のような目になって、嵐が過ぎ去るのをひたすら待つのだった。
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