恐怖を植えつけられたマッチョ野郎は、憲兵に連行されていった。

なんでも、あいつはの小さいをターゲットにセクハラするキチガイだったらしい。

ピクピクからの、ボディータッチが一連の流れになっているとは……。

しかもだよ、なんで私というか、汚生ゴミ勇者の小雪がどうたらいうのかな？　全員に言っているらしいんだよね。何これいじめ。マジ最悪なんですけど！

やっぱりこの世界は録でもない！

まあでも、助かったこともあるかな。アンリがブチギレて、ヤンヤンしてたから……。

下手すればこっちが捕まるところだった。

「アンリ、いきなりあんなことをしてはダメだよ」

「嫌です！　小雪お姉ちゃんが酷いことをされていたら、私は私を止められません！」

「はあ、しょうがないわね。でも、アンリが危険な目に遭うかも知れないんだから、絶対に気をつけてよね」

「はいです！」

返事だけは元気なんだけど……理解しているのかな？　不安しかない。

「よし、いったん宿に戻って、傭兵ギルドに行こうか」

「ハイ、小雪お姉ちゃん！　宿はこっちです。ついてきてください」

アンリはにんまりと笑いながら、私の前を歩く。あの笑いが若干怖かったけど、ヤン子だし。いちいち気にしていたらが持たない。

さて、アンリはどんな宿を見つけたのかな？

で、できれば……普通の宿さんいらっしゃい！

アンリの後をついていきながら、エクリプセの町中を歩くこと數分。宿屋に到著した。

傭兵の町って聞いていたから、なんかこう、戦場を思い出せるような、ちょっとばかし汚いところをイメージしていたんだけど、案外綺麗なもんだ。

どこかになと得るなら……そう！　あそこだ！　板鼻宿いたはなしゅく！

確か群馬県安中市板鼻にあって、現在は資料館なんだっけ？　んで、近くに皇和宮様の宿泊所があるとかないとか……。

私が地球にいたときにネットで見た報だから、本當かどうかわからないけど。

寫真で見たときの雰囲気に似ている気がする。群馬はやっぱりすごい！

そんないいじの町にある、歴史をじさせてくれる宿にアンリは連れてきてくれた。

結構お高いんじゃないかしら、なんて思ったこともありました。

いやね、そんなことよりね。宿の名前。

それを見ただけで頭が痛くなってくる。

だって……『百合の楽園』なんだもの。

しかも、特別サービス期間で、百合カップル限定で割引してくれるとか……。

アンリ！　あんた完全に狙っているでしょ！

「ささ、行きましょう、小雪お姉ちゃん」

「ねえ、やっぱり違うところにしない？」

「ここは限定の宿屋さんなんです。他の宿だと、むさくるしいマッチョがベッドの上でギシギシと……」

「ハイストップ！　それ以上言わないでおこうね。もうここでいいから、勘弁してあげるから！　可い顔して、ハイライトのない瞳でそんなこと言わないで！　怖いわ！」

「くふふ、作戦通りっ！」

こやつ……やりおる。まさか狙ってやっていたなんて。今回は諦めよう。

ツッコミどころが多すぎて、流石に疲れちゃったよ……。

宿の中は大きなダブルベッドがあったり、ガラス張りのシャワールームとかあったりしたけど、この際何も見なかったことにして、傭兵ギルドに向かうことにした。

なんか、気にしてツッコミをれてしまったら、アンリの策略にはまりそうな気がして怖い。

いや、絶対にはまるでしょ！

という訳で、私はアンリを連れて、傭兵ギルドに向かう。

荷を置いて、さっさと行くよと言ったら、ちょっとだだこねられた。

やっぱり何か考えてたよ！

だが、私は逃げた、逃げられた。よし、この調子で頑張るぞぉ！

そう思いながら、傭兵ギルドを目指して歩くこと數分。なんか灑落た建にたどり著いた。なんか、中世ヨーロッパ風な建？　とでも言えばいいのだろうか。

こう、高級溢れるじだ。

あれ、ここだけ雰囲気違くねぇ？

「行きましょ、小雪お姉ちゃん！」

アンリが私の腕を引っ張って中にろうとする。

「ちょ、ちょっと待ってよ」

このままっちゃうとフラグ立つから！　テンプレ展開突しちゃうから！　やめてぇ～～。

そんな私の心の聲など知らんぷりなアンリ。ひどいよ。

「わぁ、すごいのです」

「く、テンプレ來るか！」

私はいつでも反撃できるように構えながらあたりを見回した。

「何をしているのですか？」

「いや～なんでもないよ。こういう時って、変な人に絡まれるイメージがあるから。でも、そんなことなさそうだね。思ったより人がいないや」

「そうなのですか？　わたし的には結構人がいるような気がしますが……。それに、小雪お姉ちゃんに視線を向けている人がいるような気配がします。捌きますか？　三枚おろしは得意なんです！」

「捌かないで！　絶対に捌いちゃダメぇ！　ここにいる人達は魚じゃないからだめぇ！」

アンリは肩を落として「殘念です……」と呟く。この子の狂気はどんだけなんですか！

まあ、わたしも人のことが言えないんだけどね！

「とりま、さっさと付済まそうよ」

「そうしましょう！」

さてさて、傭兵ギルドの付と思える場所は三つほどある。

もしかしたらどれでも対応してもらえるかもしれないが、そうじゃないかもしれない。

私を悩ませる理由は、付のにあった。

市役所や郵便局などでは、付を番號やごとに分けているところがある。というか、ほとんどがそうだ。

例えば郵便とか、貯金などとか、まあそんなじに分かれているのと同じだ。

それと同じように、このギルドもで分かれている。赤の付にはごついマッチョなひげもじゃ、黃い付には、金髪耳長の綺麗なお姉さん、青の付には、なんかヘドロのようなものがーーって、最後人じゃねぇ！

え、なにあれ？

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【ヘドロ】

種族：得の知れない何か

別：(自稱処）

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マジでヘドロだった……ってなんでやねん。

ちょっとまて、私の種族が得の知れない何か。んで、あのヘドロも得の知れない何か。ってことはあれと私が同族ですか！

なんかいやぁ！　私はヘドロじゃない！

違う、ノーっ！

【システムメッセージ：対象・西條小雪はヘドロと同一の生命であることに納得しました】

「ここで世界樹の聲ぇ！　って、世界樹さん！　なんで納得すんの！　私はヘドロじゃない！」

「ひゃう、どうしたんですか、小雪お姉ちゃん」

【システムメッセージ：そんなことはわかっていますよ】

「わかっているんだったら言うんじゃねぇよ！　ふざけんな！」

「こ、小雪お姉ちゃん！　視線が集まってるから、落ち著いて！」

「……あ」

やっべ、聲に出してた。ちょー恥ずかしい。だけどわたしゃ悪くない。

悪いのはヘドロ……じゃないな。勝手に出てくる鑑定さんと私をおちょくる世界樹さんが全て悪い。

チガウ、ワタシワルクナイッ！　スベテアイツガワルイ！

「ふぅ～ちょっと落ち著いたよ。ごめんね、アンリ」

「いえ、どんな小雪お姉ちゃんでも、私は味方なの！」

その言葉……なんだか心にグサッと來たよ。傷ついた的な意味で。

アンリ……遠まわしに、お前は頭がおかしい人間だ、みたいなこと言わないで。

死にたくなっちゃう。死ねないけど！

はぁ、気を取り直して本題にろう。

現狀問題となっているのは、どのの付に行けば良いのかということだ。

というのも、何が何の付なのか一切書いてないっていう理不盡。

ちょ、もうちょっと初見さんに優しくしてしい。

もしかして、嫌がらせかな？

「小雪お姉ちゃん、落ち著いた？」

「うん、とりあえずは大丈夫だよ」

「じゃあ、早速付に行きましょう！」

「えっと、アンリはどの付に行けばいいのかわかるの！」

「わからないです」

わー適當！　そんなんで大丈夫なんだろうか。

あ、でもこの子はエムリア王國の第二王。案外大丈夫なんじゃないだろうか。

「あの、すいません！」

わぉ、あの子、いきなり赤の付に行ったよ。勇気あるね。

「あぁ！　なんだクソガキ！　ここは傭兵ギルドの仕事斡旋の窓口だ。てめぇみてぇな、も生えてないようなガキが來る場所じゃねぇんだよ。帰ってママンのおっぱいでも吸ってな！」

アンリは見事、ひげもじゃに怒鳴られた。

そりゃそうなるでしょうに……。

あの子、泣いたりとかしないよね？