康太がカトレアと戦う直前。

三いたトロールの倍の大きさのトロールが落ちてきた。

トロールが地面に著地すると土煙が巻き起こり校庭一帯を包み込んだ。

次第に土煙がなくなり、その大きさが余計に際立つ。

「全くもう、さっきからなんなのよこの魔獣！」

巨大なトロールに魔を打ち込む。

しかし、先程のトロール同様、すぐさま傷口が再生を始めていく。

「あれをやるにしてもここじゃ・・・」

埜々中にはまだ切り札と呼べる魔があった。

それを使えばこの巨大トロールでも一撃で葬り去ることも可能だろう。

だが、それは言わば魔の究極の一撃と呼べる技だ。

それを使用すればこの辺り一帯は間違いなく吹き飛ぶ。

故に、これだけは使用することができなかった。

「よし、決めた！スナイプでで押し切る！」

「閃の弓矢(ライトニング・スナイプ)」ではトロールを倒せなかった。

だがそれでも今埜々がこの場でトロールを足止めできる魔はそれだけだった。

「はあああああ！」

「閃の弓矢(ライトニング・スナイプ)」を打するように放つ埜々。

しかし片一つ殘っていれば、トロールはその凄まじい再生速度で回復していく。

そして右腕の部分が埜々の一撃で切り離される。

すると切り離された腕と殘された方のが別々に再生され、トロールが2に増えた。

「まさか分裂した！？」

そして腕から再生した方のトロールは埜々の攻撃を避けながら、校庭の外に出ようと駆け走り出した。

「行かせるか！」

しかし、埜々の攻撃は當たることなく、食い止めきれないと思った矢先だ。

トロールがどこからともなく飛んで來た水の塊に吹き飛ばされ校庭の中央に吹き飛ばされた。

「やっほー埜々ちゃん。よく1人でこんなのと戦ってたね」

「遠藤さん！」

「だから由子でいいってばー」

青の髪が空になびく。

魔法省名古屋支部長、遠藤由子。

水屬魔の最強の使い手と言ってもいい人が援軍として現れた。

由子の後ろには他の魔法省の職員が20人程度連なっている。

「こんな真晝間の安全區域に魔獣が出たなんて聞いたからね。急いで駆けつけたわけだけど、でっかいねえこれは」

巨大なトロール達を見上げてその様子を伺う。

そしてまた校庭から出ようと走るトロールを睨みつけ、魔を発させる。

智香が使用していた「水の迷宮(アクア・ラビリンス)」を即座に発する。

きを封じられたトロールは不気味なき聲をあげる。

「君達はこの周辺にいる一般人の避難を優先。あれは私と埜々でやるから」

そういうと職員達はすぐさま散らばり、その指示を全うする。

するとそそくさと走って、由子は埜々の隣に立ち、埜々に向けてVサインをする。

「さあ、埜々ちゃん。君の本気ぶっ放しちゃいなよ！」