霊使いと冠位の10人》口論

「たっだいまー」

リーシャとたわいない會話をしているとドアの開く音と共に奏が帰ってきた。

「おや、この匂いは?」

家に上がるや否や、鼻をクンクンと犬のようにかし、臺所にわれるようにやってきた。

「リーシャっちの手料理じゃないか!」

「お帰りなさいませ。ちゃんと赤松様の分も作ってありますよ」

リーシャを拝むようにして一禮する奏。

康太とリーシャはその様子をみて笑い合った。

その後、奏が康太に向き直り、し真面目な顔で提案をしてきた。

「康太っち、ご飯食べる前にし話そうか」

「ああ」

付いて來いと言わんばかりに奏は二階へ繋がる階段を上がっていく。

し心配風に康太を見てオロオロとするリーシャに康太は頭をポンと叩いてそのまま奏についていった。

奏は2階にある魔の研究室と稱している部屋にっていく。

奏の研究部屋にると如何にも偉そうな人間が座ってそうな肘掛け椅子に奏は腰を落としていた。

「全くもー由っちに押し付けられた雑用のせいで帰るのが遅くなっちゃったよー」

軽い話題からろうとしたのか。

奏は如何にもめんどくさそうな風をして両手をあげる。

「どうしたんだい?」

康太が何かに悩んでいるのかに一目で気がついたようだ。

「奏さん、俺結局何かを守れたんスかね?」

「なにをいってるんだいー?あの子達を守ったじゃないか」

霊使いが霊を守れた。

それは霊使いとしては本意であるだろう。

「まさかなにかい?君は自分の力でなんでも出來るなんて思っていないだろうね。だとしたらそれは傲慢だよー」

呆れながらいう奏。

奏の言うことは當然のことだ。

人が一人でできることなどたかが知れている。

「けど、結局俺のせいで學校にいた人達を危ない目に合わせた」

「違うね。君はただその場にいただけだ。あの襲撃者が來た原因はリーシャやハイネだよ」

真剣にいう彼の言葉には棘があった。

康太からすれば彼霊が悪いだなんて考えてもいない。

しかし、たとえ奏でも彼霊を悪くいうのが許せないと思った。

「まあこういうと康太っちは怒ると思ったけどね」

「別に怒ってなんて・・・」

図星を突かれて言葉に詰まる。

「自惚れだねー康太っち。霊使いだって萬能じゃないよ」

「分かってるっスよそれぐらい」

「いや分かってないねーこれは」

奏の視線が冷たくなる。

思わず康太はを震わせた。

「康太っち、前に言ったよねー。戦うだけが霊使いじゃないって」

「それが何スか」

「もし君が本気で戦いの世界にを落としたいのなら、私にも考えがあるさー」

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