「トールは私が預かるよー、流石に今の康太っちには荷が重すぎる」

奏の言葉がに突き刺さる。

夕食を食べ終わり、帰ろうと言い出した康太に奏が告げたのだ。

康太自ももしトールを預かることになっても、果たして大丈夫なのかという不安がずっとのにあった。

「それからあの約束は忘れずに」

奏はそれだけ言って玄関のドアを閉める。

約束とは翌日にもう一度來いというやつだろう。

一何をする気なのかわからないが、あんな風に挑発されたのであれば康太だって引くわけにはいかない。

「あの約束？」

リーシャが首を傾げ問いかける。

奏と康太のやりとりを意味深にじたようだ。

「ちょっとね」

そう言って誤魔化す康太にし不満そうな顔をしたリーシャであったが、ハイネがリーシャのスカートの裾を引っ張っているのに気がつき、そちらに目が向く。

ハイネは眠そうに目をこすりペタンとその場に座り込んだ。

「さて、いい加減疲れたし家に帰ろうか」

二人に笑いながらいう康太。

リーシャからすれば無理をしているようにしか見えないが、リーシャは言葉を飲み込み笑顔でそれに返答する。

「康太ー。眠いのじゃー」

「ガキじゃないんスから自分で歩いてほしいんスけど」

そういいつつも康太はハイネを背中に抱える。

ハイネは大きなあくびをしたと思えばすぐにいびきをかく。

「リーシャ。行こっか？」

「はい」

リーシャは康太の橫に並び、3人で帰る後ろ姿はまるで一つの家族のようだった。

しかし、嵐というものは突然現れるのだ。

たとえそれが善であろうが悪であろうが全てを飲み込む暴風雨が。

家に辿り著き鍵に鍵をれる。

しかし回そうとしたら既に扉は開いていた。

「鍵が開いてる？」

家の鍵を最後に閉めたのはリーシャだったと思い出した康太はリーシャに顔を向けるとリーシャは首を橫に振る。

きっちりとした格のリーシャがそんなミスをするとは康太も思っていない。

であれば、空き巣だろうか。

しかし、學校での騒があったばかりだ。

康太はヴォイド達の顔が思い浮かんだ。

「リーシャ、ハイネを頼むっス」

「康太様・・・」

「大丈夫、なんかあったらすぐ呼ぶから」

リーシャにハイネを預け、ゆっくりと音を立てずに、家の中にる。

するとリビングに人が居る気配をじた。

誰か分からないが勝手に人様の家に上がる事にムカついた康太はその者の顔を見るためにそっと部屋を覗き込む。

リビングにあるテーブルの椅子に座るの派手なアロハシャツを著ていた40代くらいの男だ。

康太は男のその後ろ姿に見覚えがあった。

両目を見開き、柱に足をぶつけ、ガタッと音を立ててしまう。

それに気がついた男は康太の方向に向き直り、ニヤッと口角を上げる。

「お？おせえじゃねえかバカ息子」

「お、親父！？」