俺は2本の剣をクロスさせフィダーに斬り掛かる

この戦いで俺は殆ど魔法を使えない。

全ては最後の封印の為に力を溫存しないといけないからだ。それに、戦闘もできるだけ長引かせたくない。

余計な戦闘で力を減らしたくない

フィダーは右手を前に出す

俺の攻撃は、目に見えない何かにけ止められフィダーの蹴りを腹にくらって後ろに飛ばされる

戦闘前にっていた防結界は一撃で砕された。だが、その結界のおかげでダメージはなく、空中でバランスをとり著地する

「あれは防結界か？」

だとしたら強すぎる。俺の攻撃を軽く止める防結界等見た事ないぞ

「そうだよ、でも込めてる魔力が違うからね。そこらのとは一緒にしないでね」

そう言うとフィダーは俺の目の前に一瞬で現れ右足で俺の顔を蹴り上げ、俺は空中にを浮かせる

「うっ……クソが！」

下から來たフィダーの放った風屬Aランク魔法鎌鼬が飛んでくる

俺はをひねり下を向くと、致命傷となる部分に當たる鎌鼬を優先に、自に當たるものを剣で打ち消していく

ザシュッ！ ザシュッ！ と俺の守りきれなかった腕や足が切られる

痛みに顔を歪めながらも平然を保ち何とか地面に著地する

著地の衝撃で、先程の切り傷の痛みが増す

「ふふっ、そろそろ終わりにしてあげる！」

フィダーは手に魔力を纏い、俺へと向かってくる

それを俺は敢えて避けずに、真正面からけた

「がはっ……」

俺の口からドバドバとが流れる

フィダーが腕を回し、傷にれて痛みが増す

フィダーの腕は、俺の腹を貫通していた

だが、アルトの顔は笑っていた

「何を笑ってるの？ 絶絶命じゃん！」

相変わらずの軽く言うフィダーは何も気づいていないようで安心する

「やっと、隙を見せた……」

俺は腰から生えていた10本の尾でフィダーの四肢を拘束する。

「う……けない！」

暴れるフィダーであったが、その拘束力は強く、なかなか抜け出せない

「これで……終わりだ！」

俺は全ての力をとなる2本の剣に乗せて、勢いよくフィダーのに突き刺す

「対理結界、対魔法結界、オリジナル魔法魔力吸収結界発！」

フィダーを囲むように展開された3つの魔法陣は白くり輝く

「やってくれたね……暫く何も出來ないじゃないか」

フィダーの顔からは笑顔が消え、鬼の形相になっていた

「こちとら最初から勝つつもりなんて無かったんだよ！」

「そうか……だが、俺も最後に細工をしてやる！ 苦しめ……」

そう言ってフィダーは粒子となって消え、その場には、2本の剣が地面に突き刺さっていた。

俺のに刺さっていたフィダーの手もぬけ、吹き出るの量が増える

震える足で立っているアルトは殘りの力で魔法を発する

「よ癒せ……ーの癒しー」

屬Eランク魔法の癒し。回復魔法の初級と呼ばれるもので、簡単なり傷や切り傷は治るが、この場合止程度にしか使えない

あいつの言ってた細工って……

「ネメ……ス……」

俺は最後の力でネメスに念話でそうつなげ、その場に倒れた

「主様！ 主様！」

頭の中に響くネメスの聲。恐らく念話だ

だが俺にはそれに応えるほど力は殘っていない……

俺はその聲を最後に意識を失った

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「主様！」

フルム魔王國の國境の山の麓でネメスは聲を荒らげる

周囲にいたものが何事かとネメスに視線を向ける

「ネメス、どうしたの？」

その中から1人、スーリヤが聲をかける

「主様から……念話がありました。

名前を呼ばれました、今すぐ向かいます！キウンをお呼びください！」

「わしならここにおるぞ」

キウンはネメスの後ろに現れた

「ではすぐに転移で向かいます……ー転移ー」

スーリヤとネメスとキウンの3人は先程までアルトとフィダーが戦っていた場所へと現れた

3人はあたりを見回し、警戒をしながらアルトをさがす

「主よ！」

キウンがアルトを見つけて、駆ける

「主人様が見つかったのか！」

それに続いてネメスもスーリヤもアルトの元へ向かう

「これは！」

アルトが腹にを開け辺りはアルトのものと思われるで赤く染っていた 

そんな狀況を見てネメスとキウンは絶句した

だが、スーリヤは違った

「まだ、まだご主人様に息はあります！」

「本當か！」

「誠か！」

2人はスーリヤの方を向きものすごい剣幕で迫る

「本當よ。私が今から治癒魔法で処置するわ……」

「頼む」

「慈に満ちたる 生命の神よ それは神の業なり その業を持ちて 彼の者の傷を 癒せー生命の慈ー」

屬Zランク魔法生命の慈。

いかなる傷出會っても完治させる魔法

だが、その発には魔力がとても必要であり、神級天使のスーリヤでさえ、発できるのは一発程度だ

アルトの下に魔法陣が展開され、神々しいはアルトを照らす

腹のキズはみるみる塞がり、鎌鼬によってできた傷は一瞬にして無くなる

「これでひとまずは安心よ。でも、は元に戻らないわ、取り敢えずフルム魔王國へ私達でお連れしましょう」

「ですね」

「じゃな」

ネメスはアルトをお姫様抱っこの狀態で抱き、転移で連れ帰った